ゴールデンカムイ展話
久々の更新となったが皆さまいかがお過ごしだろうか。梅雨が明けたと思ったら猛暑が続き身体がついていかない方もいるのでは。どうぞご自愛ください。
今回はタイトルの通りゴールデンカムイ展に行ったよ~という話である。ゴールデンカムイ展とは、野田サトル氏作の漫画「ゴールデンカムイ」のイラストや参考資料などの展示会で、4/28~6/27にかけて東京・水道橋の東京ドームシティ
※以降は「ゴールデンカムイ」原作及びゴールデンカムイ展のネタバレが含まれるのでご注意ください。
そもそも、「ゴールデンカムイ」ってどんな漫画? という点から話をしていきたい。
舞台は明治の北海道。日露戦争帰りの元兵士である
そんな中、ヒグマに襲われたところをアイヌの少女・アシリパ(※「リ」は小文字)に助けられる。彼女もまたアイヌの埋蔵金に関係する人物の一人であり、杉元とアシリパは相棒となり金塊探しの旅に出る……といったような話である。
作中で杉元たちは北海道中を旅する。アシリパが狩猟の仕方やアイヌ文化を杉元に説明する場面も多い。アイヌの伝統料理や習わし、野生動物の習性、当時の文化的背景などが描写され、学びも多い。それでいて埋蔵金のありかを示したカギを有する囚人たちと殺し合いのバトルもする。血なまぐさくて面白く、ためにもなる。ちょっとこのエッセイで作品の良さを語りきるのは難しいのでぜひ興味があれば読んでみていただきたい。
ゴールデンカムイ展では、野田先生がアイヌ文化の描写にあたって参考とした資料や作中で登場した武器の類、原画が展示されていた。
曜日によって入場特典のミニ色紙の絵柄が違う。私は推しである
推しの尾形に関する説明は最小限にとどめるが、彼は作中随一の射撃の腕を持つ兵士で、味方になったかと思えばあっさりと寝返ったりもする。生い立ちが複雑で、ドストエフスキーが好きな人は多分尾形を好きになると思う。
展示会の話に戻る。入口から巨大なパネルとともに杉元たちの旅の歩みが描かれる。作中で杉元が携行していた装備品のモデルや、アシリパが身にまとうアイヌの民族衣装も展示されている。キャプションには野田先生のコメントつきだ。会場内はスマートフォンによる撮影が(一部ゾーンを除き)許可されており、遠慮なくパシャパシャと撮影した。
その先には埋蔵金のカギを握る網走監獄の囚人たちの人となりが描かれるスペースがある。実在の人物をモデルにしたキャラもおり、当時の新聞記事があったりもした。モデルの人物が気になって調べたこともあったので、とても興味深かった。
さらに先に行くと、アイヌの文化を紹介するゾーンとなる。恥ずかしながら、「ゴールデンカムイ」を読むまで私の中でアイヌの知識は「シャーマンキング」のホロホロで得た知識ほどしかなかった。ゴールデンカムイで知ったことは多い。
もちろん、両作品におけるアイヌの描写が必ずしも史実通りではないということは承知している。が、もし「ゴールデンカムイ」を読まなければ、私は樺太アイヌや千島アイヌ、北海道アイヌと住む場所によってアイヌの文化が大きく異なることを知らずに生きていったと思うし、同じような認識の人は少なくはないと思う。興味を持つきっかけになったという点で「ゴールデンカムイ」の及ぼした影響は大きいと感じる。
そして原画やカラーイラスト、原稿展示のゾーンへゆき、最後はこの展覧会のために描かれた至高の1枚が展示されていた。(途中から撮影禁止ゾーンとなるので注意が必要だ)
展示会を通して、野田先生の作品にかける熱量がひしひしと感じられた。展示一つ一つをじっくりと見ているファンの姿が印象的だった。
「ゴールデンカムイ」は特定のキャラクターに人気が集中するでもなく、まんべんなくすべてのキャラクターにファンがいる。敵であっても絶対悪が存在せず、その背景には
「ゴールデンカムイ」のキャラクターは己の理念をしっかりと持っていて、時に迷い惑いながらもきちんと己の芯を通そうとする。そこが魅力的だ。応援したくなるし、応援されている気がする。たとえ杉元たちと敵対する立場であっても、強い芯を有している点は変わらない。価値観がブレることが少ない。
何より、背景には一人一人の人生がある。どんな人生を送りどんな価値観が形成されて今に至るのかが細かく描写されていて、引き込まれる。
そんな魅力的なキャラがどうやって生み出されたのか、その断片をうかがい知ることができて非常に良い経験だった。グッズ売り場では展示品の図録があったので迷わず購入した。すでに品切れの商品も多く、かご一杯にグッズを詰めて笑顔のファンの人にこちらもほほえましくなった。私は脱獄王・
作品の舞台となった北海道での開催も決まったゴールデンカムイ展。いよいよ今月、最終巻が刊行される。すでに本誌で杉元たちの旅の行方を見届けたが、単行本での加筆が多いと聞いてワクワクしている。刊行までは図録を繰り返し読みながら作品の世界を堪能しようと思う。
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