　ヤクルト1000がSNSで話題だ。飲めばストレス軽減・寝つきがよくなる・目覚めが良くなるという。「ヤクをキメる」なんて表現も散見する。

　気になって何度か飲んでみた。味は普通のヤクルトと変わらず美味しい。確かに、飲んだあとすぐ眠くなった。寝起きも良かった気がする。

　ヤクルト1000を飲んだら悪夢を見る頻度が増えたという声も聞いた。悪夢とまではいかないが、不可思議な夢を見た。そして、起きたときに鮮明に夢を記憶していた。疲労感の軽減は実感しなかったが、これは数日程度のチャレンジだったためで、長期的に摂取すればまた違うだろう。

　少し前には養命酒が疲労回復に効果的だと話題だった。ミーハーなのでその時も試してみた。明らかに寝つきが良くなり、寝起きも爽快だった。

　ヤクルト1000が1日1本を推奨するのに対し養命酒は1日3回の飲用を勧めている。漢方に近い成分が入っており、じわじわと効くからだという。

　仕事で車に乗るため朝は飲まず、就寝前の1回のみ飲んでいたが、それでも如実に結果が出た。すっかり養命酒信者となり、今も疲れた日は飲んでいる。味はシナモンの風味が強い。アルコール度数も高めなのでお酒に弱い人は注意が必要だが、バニラアイスにかけると美味しいとの情報もあるので気になる方はお試しあれ。

　他にも、疲労回復の手段としてこれがいい、あれがいいと周期的に耳にする。キレートレモンだったり、小指湿布であったり、サプリメントであったり、お酢であったりと手法や種類は様々だ。そのたび一度は試している気がする。

　疲労回復法が目に入るようになったのは、それだけSNS（特にTwitter）のユーザーが年齢を重ねたからだ――という意見を見かけて図星でもあった。Twitterが世間に浸透したときに学生だった人も今やアラサーだ。疲労回復法を欲する世代になるのも無理はない。

　あるいは、それほど社会が疲れているのかもしれない。多種多様な疲労回復法が流行するほどにみんな疲れている。肉体的にも精神的にも。みんな毎日お疲れ様ですと思わずにはいられない。

　しかし、ここまで「疲労回復法が頻繁にSNSでバズっている」ふうに話を進めてきたが、もしかすると流行っているのは私の周囲だけで、世間の大多数はそうでもない可能性も捨てきれない。となると単純に私と周囲が疲れており、疲労回復を欲しているがゆえにそういった情報が目に入る――単なるエコーチェンバー効果だったりして。

　それはそれでどこか切ない気もする。みんな同じようにちょっと疲れていてほしいかも――と、身勝手な願望を抱きながら私は今夜も養命酒を飲む。