「僕に魔法をかけて」隣の席はニャンコな藤沢さん。

桃もちみいか(天音葵葉)

第1話 気になる藤沢さん

 春うららかな土曜日。

 気持ちよく晴れた空は青く澄んで、陽射しが強い。

 僕は愛犬モナカと散歩中。

 こうして外を歩いているとちょっと汗ばんできます。


 桜はもう散っちゃったな。

 今はツバキが咲きごろだって、おばあちゃんが言っていたなあ。


 僕はふと昨日の小学校の教室を思い出す。

 隣の席の藤沢涼花ふじさわすずかさんは、ツンと澄ましてる。

 藤沢さんとは初めて同じクラスになったんだ。

 僕は隣の席なのに、藤沢さんとまだほとんどお喋りしたことがないんだよ。

 ……僕は藤沢さんと仲良くなりたいなって思ってるんだけどな。

 せっかくのお隣同士の席なんだし。


 友達の日下くさかくんが言うには藤沢さんは勉強がすごく出来て容姿端麗でお嬢様らしい。

 あまり笑わないし、お喋りしない藤沢さん。

 挨拶をしてもニコリともしてくれないから、嫌われてるのかな? ってちょっと僕は怖気づいてしまい話しかけづらい。

 

 周りのクラスメートが言うには、藤沢さんは誰とも打ち解けず、学校には仲良しがいないんだって。


 僕も日下くさかくんが友達になってくれるまで、学校に仲良しな友達がいなかった。

 僕は気持ちが弱くて臆病で、引っ込み思案で大人しくて人見知りだから。

 人に意見したり、主張するのが苦手なんだ。


 だから、藤沢さんが気になるんだ。

 実は僕と同じじゃないかって。


 本当は仲良しな友達が欲しいんじゃないかなあ。

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