第1話-3
境田二縦。直人には忘れられない名前である。中学時代からの親友、
「周りにばれない様に子供の名前に電車の要素を盛り込みたい」
という“オーダー”に答え、レールを「二」本の「縦」の線に見立て大学の帰り道に
「二縦はどうだ?」
と提案した。克はその名前を何度も復唱し、噛み締めるように
「うん。」
と一言だけ言葉を発した。
中高大院と全て克と一緒だった。克より全てにおいて勝っていた。彼女も俺の方がいた人数は多かったし、学力もいつも俺がクラスで一位、克は三番四番だった。しかし、克が級長に選ばれた。俺は克しか親友と呼べる友達はいなかったが、克は多くの親友と呼べる友達がいたと思う。嫉妬した。
だが、
「いやぁ直人はやっぱりすごいなぁ!」
といつも帰り道で大きな声で言う克を見て優越感を得ていた。その理由でしか俺は克を好けなかった。欠けているやつの方が好かれるのかよ。完璧なやつは嫌いか?お前らは克が好きなんじゃなくて「人の欠点」が好きなんだろ?そう何度も何度も心の中でクラスメイトに問いかけたが誰も答えなかった。
「いや、そんなことないよ。俺より克の方がすごいと思う。」
そんなことあるよ。俺の方がすごい。
「いやいや本当に俺直人に勝てるところないもん!」
そうだな、でも周りは何かが欠けているお前の方が好きらしいぞ。なんで。どうして。こいつが好かれて俺が好かれないんだ。
「おい、直人!」
___衝突。
一瞬何が起こったのか理解が出来なかった。
足に力が入らない。気づいた時には目の前は大きな血だまりが広がっていた。
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