相棒①

「ショーゴ」

 新しく組むことになった相棒が、おれの名を呼ぶ。全く、先が思いやられる。

 何もこんな所でイチャつかなくたって。


「ゼロ、問題を起こすなよ。それに、あんた。誰に喧嘩を売ってるか分かってるのか?」

 大男は突然現れて、偉そうな口を訊く若い男を見やる。

『何だ、まだガキじゃねえか。それに、コイツもまた美形だ』

 秀でた額を出し漆黒の髪は首の辺りで切り揃えてあり、見つめている瞳は意思の強さが窺える。

 レイジの妖艶な美しさとは違って、征服したい欲望を起こさせる。


「じゃあ、お前が相手してくれるのか? 俺はどっちでも良いぜ」

「生憎、おれは男と寝る趣味は無いんでね。もし有ったとしても、あんたなんかお断りだ」

 言われた男は顔を真っ赤にして怒りだす。

「テメエ、よくも言いやがったな! こっちに面かせ!」

 泣いて謝るかと思いきや、しごく冷静にコッチって何処だよ、と言いながら後を付いて来る。


 食堂の出口には見物人が鈴なりになっていて、少し得意げに通る時、相棒が飛び出して来て土下座して謝りだす。

「すみません! コイツまだ新入りで貴方がたTKの事を解って無いんです。どうかお赦し下さい!」

『TKだって?』

 『TK』――トップ・キラー。

 小耳に挟んだ事がある。

 生え抜きのエリート集団、実戦組と能力組からなっていて、各一名づつ組んで二人で仕事(殺し)をこなす

 狙った獲物は逃がした事が無いと聞いた。


『そんな奴らが……こんな子供なのか?』

「馬鹿やろう! お前も謝れ!」

 相棒の顔は蒼白で、とても嘘だとは思えない。

 一緒に土下座して謝る。せっかく掴んだ仕事だ。こんな事でクビになってたまるか!


「そうだね。でも、クビになるよりも先にあんたの首が危なかったよ。だって……」

「見てご覧よ」

ショーゴの視線の先には、ゼンが殺気を放っていた。

「外出する時はせいぜい気を付けるんだね」

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