お友達、もちろん協力3
そしてキーケックの意外と綺麗な手に指を絡めて、手と手を握り合う。
「あっ」
ジケと手を絡めたキーケックが照れて頬を赤める。
なんで顔を赤くするのだと思わなくないけどキーケックだからと気にしない。
「古の契約。汝、心に繋がる盟約によりて友に力を与うえるものとなるを良しとするか?」
「うん、僕の力も使って」
ジケの手首の辺りから赤い糸が出てくる。
手首を伝った赤い糸はジの小指に巻き付いて、そのままキーケックの小指にも巻きついた。
さらに先は伸びていきフィオスの体に巻きついて、ピッパラの体にもグルリと巻き付いた。
まだ伸びる赤い糸はキーケックの親指に巻きついて、ジケの親指にも巻きついて手首にら消えていく。
グルリと長い赤い糸でジケとキーケックとフィオスとピッパラが繋がった。
キーケックと繋がったような不思議な感覚が流れ込んでくる。
強い信頼、感謝、親愛の情を感じる。
ピッパラはあんまり何も考えていないようだけど契約者であるキーケックの嬉しそうな感情に喜びを感じていた。
「キーケックありがとう。君のおかげでクトゥワさんにも会えたし、色々と実験してくれているの助かってるよ」
「僕もジケに会えてよかった。大切な、友達」
ほんのりと魔力が増えた感覚があって赤い糸が消えていく。
小さいけれど確実な変化。
6人目。7フィオスの力。
「これで終わり?」
「そ。あんがと」
「えへへ」
キーケックの頭を撫でてやる。
すると嬉しそうにへにゃりと笑ってくれるのだから撫でがいもあるというものだ。
いつの間にかフィオスはピッパラの背中に乗っていて、ピッパラはモスモスと歩いていた。
なんだかフィオスはよく他の魔獣の背中にライドしている気がする。
「じゃあ次はクトゥワさんお願いできますか?」
「えー」
「リアーネに後でお願いするからさ」
ついでというと悪いがキーケックにやってもらったのでそのままクトゥワにもお願いすることにした。
クトゥワの魔獣は頭ほどの大きさもある派手な色をした鳥であった。
クトゥワにも似て非常に頭が良くて、優しい目をしていた。
流石に大人のクトゥワと手を握り合うのはジケも少し恥ずかしい。
クトゥワはジケと手を握り合うとキーケックを見る時のような優しい顔をして笑った。
キーケックの時と同じように赤い糸がジケとクトゥワを繋ぐ。
友人や恩人としてだけでなく父性のようなものも感じた。
息子の友達、雇用主以上に思って信頼してくれている。
「いつもありがとうございます」
「こちらこそ、会長殿には感謝してもしきれません」
過去では最終的には国に引き抜かれて色々な魔物の活用法を見つけ出したクトゥワ。
今回の人生ではたまたまキーケックと出会い、そこからジケがクトゥワが手腕を発揮できる環境を整えた。
このことが未来にどんな影響を与えるかは知らないが早くに魔獣たちが活用できるものだと知れればもっと世界は良くなるかもしれないとは思う。
「よっしゃー! 次は……」
「今日はここまで」
「ぬえー!? なんでだよ!」
リアーネがやる気になって腕を回しているがジケはここでストップをかけた。
「あんまり一気に増やしすぎるとまた感覚を取り戻すのが難しくなるんだ」
ちょっとずつ増やしてしっかり体に馴染ませていく。
ひとまず2フィオス分を増やしてその違いに体を慣らしていこうと思う。
特にリアーネは比較的一緒にいる機会も多いのでいつでも魔力をもらうことができる。
申し訳ないけど少し待ってもらうことにした。
「体が慣れたら次はリアーネだからさ」
「ぶぅー、せっかくやる気になってたのに」
「リアーネならちょっとやそっとじゃ信頼揺るがないだろ?」
「またそんな良い言い方すんだからずるいよな」
信頼してくれて、そしてその信頼は変わらないだろうと言われればもう引くしかない。
拗ねたようにしながらもリアーネはほんのりと頬を赤くしていた。
「さて、ちょっと体動かしておこうかな」
2フィオスでも魔力の量が変われば感覚が違う。
自分では同じ量の魔力を込めたつもりでも増えた分込める魔力が増えていたりする。
こうした微妙な違いを放っておけばいざという時に困ってしまうのはジケになるのだ。
「んじゃ俺とやるか?」
「おっ、いいな」
「ライナス!」
「ドクマーさん、これは俺からのお願いですから」
久々に親友と手合わせする。
お互いに手加減をしながらだけどお互いに強くなったなと剣を合わせながら思った。
もしかしたらライナスは過去よりももっと強くなるかもしれない。
「そりゃそうか、ロイヤルガードの弟子だもんな」
「それだけじゃなく俺だってちゃんと努力してんだからな!」
「それも分かってるさ!」
ジケとライナスが斬り合う。
最悪エニもいるし、なんて思いながら。
「男子って感じだな」
「怪我しても治さないかんねー!」
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