お友達、もちろん協力1
悩みに悩んでメンバーを決めた。
ケントウシソウの採取のためにクトゥワとキーケック親子、そしてジケの護衛としてリアーネとユディット、エニも付いてきてくれることになった。
さらについでにグルゼイも今回ついてくることになった。
一応クトゥワも魔物研究家として身の安全を守るためにある程度は戦えるのでこれぐらいの人がいれば問題ないだろうと思う。
タミとケリはみんなで面倒見てくれつつ、昼間はフィオス歌劇団の方で主に預かってくれることになった。
古くなっていた小道具や大道具の修理や刷新も進んで歌劇団も新しく生まれ変わりつつある。
ジケが引き抜いたイグノックスも今は劇団の衣装作りに励んでいる。
毎日ニコニコとしてイグノックスも楽しそうだった。
「大丈夫そう?」
「ああ、これぐらいでダメになるようなやわな魔獣じゃねえからな」
今回のちょっとした遠征には馬車を使う。
しかし馬車と言いながらいつもの馬車ではない。
というか馬ですらない。
今回は屋根付きの馬車ではなく屋根のない荷車を利用する。
倒したケントウシソウを持ち帰るのに手に持って帰るのは大変だからである。
そして荷車を引くのも今回は馬ではなく魔獣たちにお願いしようということになった。
魔獣車とでもいえばいいのか、大型の魔獣に引かせるということも別にないことではない。
馬と違ってちゃんと魔獣にあつらえた引かせるための設備が必要になるのでちょっと面倒だが、準備さえしてしまえば野生の馬を飼い慣らすよりは楽だったりする。
ジケについては自前の馬車工房がある。
少し前から魔獣に引いてもらう計画を立てていて専用の設備を作っていた。
今荷車を引いているのはリアーネの魔獣であるケフベラスだった。
大柄の人と同じぐらいの体格があるケフベラスの体に合わせて作ったハーネスをつけている。
一体で大丈夫かなという心配はあったけれどさすがは魔獣であって一体でも十分に人が乗る荷車を引っ張ってくれた。
向かっているのはケントウシソウの群生地となっている土地ではなく冒険者ギルドである。
なぜならそこでジケたちを監視する国の兵士たちと待ち合わせとなっているからである。
「おっ、きたきた!」
「あれ?」
「よっ!」
国の兵士は3人くると聞いていた。
冒険者ギルドの前に3人固まっている人がいて、ジケたちのことをを見つけて1人がぶんぶんと手を振った。
その手を振る1人はジケもよく知っている人だった。
「ライナス!」
ジケは荷車から飛び降りてライナスに駆け寄る。
「また少しおっきくなったんじゃないか?」
「もっと差をつけてやるつもりだったけどお前もおっきくなったな!」
元々ジケよりも体格のいいライナスであったがさらに成長している。
過去でもライナスは割と高身長になっていたので今回もそうそうそれは変わらないと思う。
「まさか……今回同行するのって」
「そう、俺だ!」
ライナスがドーンと胸を張る。
まさか同行者がライナスだとは思わなくてジケは驚く。
「ライナス、あなたが一緒に来るの?」
「エニじゃないか。そうだよ、俺がジケを助けて……んぎゃ! なにすんだよ!」
「知り合いなのは分かるが礼節は守りなさい」
後ろから頭を殴りつけられたライナスはむくれたような顔をして振り返った。
白い髭を短く切り揃えた高齢の兵士が厳しい表情を浮かべていてライナスはウッと気まずそうに目を逸らす。
「我々の依頼を受けていただきありがとうございます。今回同行させていただくドクマーと申します。こちらがマクリオ」
「よろしくお願いします!」
「そしてこちらがライナスです」
「……よろしくお願いします」
マクリオは真面目そうな青年だった。
どうやらドクマーが2人の上司でまとめ役であるようだ。
「こちらこそよろしくお願いします」
軽く挨拶を交わして早速出発する。
「フィオスも久しぶりだな!」
「ライナス君……」
「まあまあ、のんびりと行きましょうよ」
ジケたちは馬車に乗っているがドクマーとマクリオは後ろから歩いてついてきていた。
荷車の方も速度を調整して無理なく歩いてついていけるぐらいの速度にしていた。
同行させてもらう身なのだから馬車に乗り込むなどあり得ないとドクマーは思うけれどライナスは馬車に乗ってフィオスを撫でていた。
少し怒ったようなドクマーをジケが取りなす。
ドクマーの気持ちも分からなくないが、ライナスの気持ちも分かる。
どうせなら楽しい方がいいし、久々にライナスとも会うのでちょっとのんびりしたいと思ったのでライナスの肩を持ってしまう。
「はぁ……ご迷惑をおかけします」
「ま、それは昔からだから」
「な、そんなに迷惑かけてないだろ?」
「ふぅーん? 誰かさんが大事なパン落として来たなんてことあったけどね」
「あ、あれは……」
「下手な嘘なんかついてさ」
「う……うぅ……」
エニに言い包められてライナスがガックリとうなだれる。
昔から口で勝てたことなどないのだから素直に認めておけばいいのにと思う。
「歩くの大変になったら言ってください。交代で休みながら進みましょう」
「お気遣い感謝します」
荷物もあるので全員がいっぺんに荷車に乗ることはできない。
ただ歩き詰めでいざという時に疲れてしまっても困るので適宜歩く人を交代していくつもりだった。
ーーー
後書き
名前の変更などについてのお知らせを第十一章の始めにまとめました。
どう名前を変更するかも現在決まっている分はそちらに記載しております。
今日もうすでに読んでしまってこちらの後書き気づかない人もいると思うので明日もまた同じ後書き書きますのでどうぞよしなに!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます