立ち入り許可の条件2

「お待たせいたしました。副ギルド長のバラヤノードです。奥のお部屋にどうぞ」


 ちょうどラグサンスが離れたタイミングで冒険者ギルドの担当者が来た。

 副ギルド長のバラヤノードについて部屋に入る。


 どうにもジケが責任者だと分かっていない冒険者ギルドの職員のお姉さんがジュースいる?と聞いてきたのでいると答えておいた。


「えーとそれで今回は立ち入り禁止区域にいる魔物のケントウシソウについて調査研究のために討伐をしたいということでしたね」


「はい、そうです」


 ジケではなくクトゥワが答えてくれる。

 対応するのも面倒なのでジケもそのまま対応を任せる。


「それについて……国側から派遣された同行の薬草の採取の協力が要請されています」


「ええ、それについて聞いています。前向きに考えていますがもう少し細かな条件など聞かせていただければと」


「そうですね。もちろんです」


 バラヤノードは手元の資料をパラパラとめくって確認する。


「ええと……人数は3人。食料など基本的なものは自分達で持っていきますが野営などの集まりには加えてほしいそうです。もちろん戦闘などにも参加しますし、ケントウシソウの討伐にも協力するそうです」


 国からもらった詳細な資料を読み上げる。


「薬草の採取では周りの警戒や魔物が現れた時の戦闘などの協力をお願いしたいそうです。必要ならケントウシソウとの戦闘のために人員の増員も可能なようですね」


「なるほど……どうですか、会長殿?」


「うん……良い条件じゃないかな?」


 後ろに控えていた職員のお姉さんが驚いた顔をしている。

 クトゥワが最終的に意見を求めた相手がジケであったから。


 どうしてこんなところに子供がいるのかという疑問はありつつも大人しくて良くできた子供だと思っていた。

 まさか商会長だとは思いもしなかった。


 というか、それが普通の反応なのである。

 なんだかんだと周りの人はジケのことに慣れてきているがまだまだジケは子供である。


 商会長をしている偉い人なんて初見で見抜ける人はまずいない。


「出発はいつでも大丈夫なのですか?」


「出発の二日ほど前にこちらに連絡をくださればと思います」


 条件としてはそれほど悪くない。

 ケントウシソウの討伐も手伝ってくれるというのなら悪いこともない。


 3人ぐらいならそんなに邪魔になることもないはずだ。

 薬草が必要だというのなら採取しておけば後々どこかで困った人を救えることにもなるかもしれない。


 ジケはその条件を受けることにした。

 お互いに利益のある話なので損はない。


「ではこちらの準備を終えたらご連絡差し上げることにします」


「分かりました。そのように国の方にも伝えておきます」


 一応契約書のようなものを交わしてジケたちは冒険者ギルドを出た。


「それじゃあ向かう準備しないとね。必要なものとか……あとは誰いくかも考えないとな」


 とりあえず行けるようになったことはいいとして、諸々の準備をしなければならない。

 どれぐらい移動に時間がかかるのか計算してその間の食料や消耗品の準備、町があるなら宿のお金とかも必要だ。


 そもそも何人行くのか決めないとそうしたものの準備もできない。


「うーん誰が良いかね?」


 こうした魔物系、冒険系にはリアーネがいてくれると心強い。

 スイロウ族の時はユディットだったし今度はニノサンかなとかエニは来るかなとか考える。


 今回は魔物に関わることなのでクトゥワとキーケックもメンバー入りさせるべきだろうかなど編成も簡単ではない。

 意外と人材も揃ってきたので難しさも出てきてしまったなとジケは思う。


「誰がいいかな〜」


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