騎士の誓い11
これから働いてもらうつもりなので自分の食い扶持は自分で稼いでもらうとしよう。
それにだ、ユディットの持つ可能性は大きい。
「ま、まあそう固くならずに頼むよ」
過去においてもジとユディットには直接的な関わりはなかった。
しかし接点はなくても関わりはあったというのか。
ジが一方的にユディットのことを知っていたのでありユディットは一部で有名なひとであった。
蟲独の暗殺者と言えば過去でユディットのことを指していた。
いつも1人なので孤独、そして蜘蛛の毒を使っていたので蠱毒とかけられてそう呼ばれていた。
どうしてそんな道を歩むことになったのか細かな経緯は本人と知り合いでもないので知りもしない。
知らなくても予想はできないこともない。
ヘギウス家の没落と同じく近しい者の死が人を狂わせた。
シハラはあのままいけば亡くなっていた。
理由も経緯も想像に難くないがシハラの死によってユディットは闇に堕ちるに至った。
ジと共に歩んでいく道が光の道とは言い難いけれど少なくともユディットが暗殺業に精を出す人生にはならないことは保証する。
それに有名になってしまうほどの暗殺者になれるポテンシャルを持っている。
上手く活かすことが出来ればユディットは光の当たるところで有名になれるかもしれない。
「なにそれ、カッコいいー!」
耐えきれなくなったシハラが目を輝かせてジとユディットを見る。
騎士の誓いがシハラにはカッコいいものに見えていたようだ。
「これは騎士の誓いさ。お前にもそのうち何なのか分かるさ」
ユディットが立ち上がりシハラの頭を撫でる。
「それで具体的には何をすれば良いのでしょうか?」
「ちょっとした事業をやろうと思っていてね。
それにユディットとジョーリオの力が必要なんだ」
「分かりました。何でもお申し付けください」
「まずはその言葉遣いやめない?」
「それは出来ません」
別にそんな厳格な上下関係求めちゃいない。
理由は定かではないがユディットは騎士たる態度というものにこだわっている。
シハラに対する態度でも分かる。
ユディットは相当堅物で融通が効かない性格だと。
ジはユディットのやたらと丁寧で持ち上げるような態度に背中が痒くなるような思いであった。
何はともあれだ、目的にしていたユディットを抱き込むことには成功した。
騎士の誓いを受けるなんて予想外なことはあっても自分に不利益なことはない。
シハラの笑顔も見ることができた。
ウェルデンからも連絡が来たし計画を進めることが出来る。
のんびり生きるためのジの大きな計画が動き出したのである。
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