第2話 席替えとチンアナゴ②
俺は今、、、人生最大のピンチに立ってる…!
それは…そう!誰もが一度は経験したことがあるだろう、席替えだっ。
それなのに…どうして…隣にっ!
さかのぼること先週末、リア充共に人数合わせで誘われ水族館に行った日のこと。
『一瞬なのでよく見てて下さいね〜!』
『えええぇええぇえ!!!』
あれって…あれって本当に
ペンギンに餌あげをする姿…もといバイト中の鯨井さんを偶然目撃してしまったのだ。
落ち着け俺、あれは鯨井さんじゃない。多分すごく似てる誰かだ、、。普段は窓際で1人大人しく本を読んでるし、たまに誰かと話してると思ったら
(絶対この人じゃん…!!)
つい心の中で叫んじゃった…
丸眼鏡をかけ教室の隅で本を読むようなインキャとはほど遠いが…。
「気まずいっ!!!」
「…!」(ビクッ)
あ、やべ。つい声が。
なんか今、隣ですげー驚いた人がいた気が…。
「あ、え、えーっと、、その、急に大きな声出してごめんというか、あの、隣になった
「…………(コクッ)」
え…今の俺の声か?この世の者とは思えないキョドリだったぞ…。
会話3秒で終わったし。鯨井さんすげー引いてるじゃん。引きすぎて声出ないの?やばいこのままじゃキモイやつ認定される。遠回しにでも先週のことを聞かなければ…えっと…
「あ、あの、鯨井さんは水族館でバイトしてるんですか…?」
……やっべ。やっべぇよ。考えた末それかよ俺。
「……。」
え、なにその塩焼きにされた
もうキモイ認定は不可避かもしれない。
「な、な訳ないですよね!この学校バイト禁止ですもんね!はは、急に変なこと聞いちゃってほんとマジすいません!」
「……えっ。え、ええええええ!そうなの、!?」
彼女の驚く声だけがただただ響いていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「まさか…知らなかったの…?」
俺の問いに対し、小さく頷く彼女-
(これ…余計に聞きづらくなったな)
同じ質問は2度出来ない。完全に詰んだ…泳げないマグロ。
「チンア…に…たい…。」
なんか今ぼそっと聞こえた。え、ちん?え、ちんって言った?鯨井さんが?
下ネタ…ではないですよね。
「チン…?」
「…っ!」
聞き返してみると、彼女は顔を真っ赤にしてうずくまった。自分の発言が誤解を生むことに気づいたらしい。なんか可愛いな…
「え、えっと、チンアナゴになりたいって言って…!あ、でもそれは穴があったら入りたいって事で、そもそもチンアナゴっていうのはウナギ目アナゴ科の生き物で…すごく似てるけど実は種類があって、東京で見れるのは主に3種類、」
「「チンアナゴ、ニシキアナゴ、ホワイトスポッテッドガーデンイール」」
やべ、つい口に出ちまった。今日はよく
「えっ…なんで知って…!」
あ、鯨井さんすごく驚いてる。
「…実は
これ高校では黙ってようと思ったのに。
また”歩く月城ペディア魚版”とか言われちゃう…
「わかるっ!可愛いよね!特にちっちゃなひれとかえらを必死に動かしてる姿とか超可愛いっ!」
パァッと顔が明るくなったと思ったら、目をキラキラさせながら体を俺に向けて乗り出してる。その姿勢やめてっ!ある部分が強調されちゃうから!あとメガネずれてますよ!
「…。」
今度は俺が黙る番になっちゃう。
「あっ…ごめん、つい長々と…。」
…眼鏡をかけ直しながら席に座った。なんかすごく落ち込んでいらっしゃる…。
感情の
「いや、別に俺も魚好きだし、全然大丈夫だよ…」
「そ、そうかな…!よかった…!また”歩く
あなたもですかっ…!ネーミングセンスはどこも同じなのかね…。
一瞬表情が和らいだ
その日はお互いメアドを交換して幕を閉じた。
高校入って1ヶ月…初めての女子のメアド…!
おっと危ない…ついにやけてしまう。
『改めまして、
こんな時も魚なのか鯨井さん…でも、少しは仲良くなれたかな。
『
…送信っと。
席替えは…まぁよかったかも。明日からが少し楽しみになった。
にしてもなんか忘れてるような…
「…結局バイトの事聞けてなくね…!?」
前言撤回。
__________________________________
【後書き】
どうも、おしずまきです。
第二話も読んでいただきありがとうございます!嬉しい限りです。
第二話は少し長めになってしまいました(笑)
これにて「席替えとチンアナゴ」はおしまいです。
次はどんなタイトルになるのか…
実は
第一話に出てこない主人公…ラノベとして成立するのか。ほんと彼は一話で何してたんでしょうね…。それにしても、彼も結構な魚好きです(笑)
よければ高評価、フォロー、コメントなど…欲張れば拡散も、大歓迎です!
まだまだPV数も少なくて…読んでくださる方々、本当にありがとうございます。
それではまた次回でお会いしましょう、おしずまきでした!
※第三話は来週日曜(5月28日)更新予定です。
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