第一章

第1話 席替えとチンアナゴ①

 どうしよう…。

 私は今、人生最大のに立っている…!!

「まさか同級生にバイト姿見られるとはなぁ…」


 東京都立西和とうきょうとりつせいわ高校1年B組______の窓際の席で私は一人呟いた。

 この学校は他校と比べ、生徒人数や年間行事が少し少ない。


「あんまり人と関わりたくないからこの学校選んだのにぃ…」

 先週末、私は水族館でバイト中、月城《つきしろ》君を見た。というより見られた!

「絶対気づいてる…!陸にいる時のくらい目があってたもん…!」


 せっかく高校では静かに過ごせると思っていたのに。これってもしかして開始1ヶ月で早々の危機…?私って実はものすごく運悪い…?


「ちょっと海緒みお、さっきっから何ブツブツ独り言言ってんの。」

「え、あ、ごめん夏海なつみ…声出てた?」

 いつの間にか、私の前に中学からの親友が立っていた。

 私の独り言聞かれてた…?恥かしい…つい口から出てしまった。


になりたい」

「…」

 七海が困惑した表情で私を見てくる。どうしたんだろう。体調でも悪いのかな?

「海緒、、一応確認するけど…どういう意味」

「え?えっと、穴があったら入りたいなって…」

「……。」

 まだ悩んでるみたい。チンアナゴの説明が先だったかな?

「えっと、チンアナゴっていうのは、」

「そういうとこ昔から変わらないねぇ…海緒。今まで親友続けてきた私を褒めて欲しいくらいに。」

「ありがとう…?」

「素直に褒めるそういうとこも大好きだわ」


「それで七海、どうしたの?」

「すっかり話がれてたね…。今日、席替えだね。」


「えっ…」

 私は今、人生最大のピンチに立って(以下略)!

「そういえば先週先生がそんなこと言ってたような…」

「海緒すっかり忘れてるじゃんw ま、近くになれたらいいね。」

 七海はそれだけ言い残して自席に戻って行った。


 どうしよう…!!また新しい悩みができちゃったじゃん…!!

「これで月城君の隣とかになったら超気まずい…」

 幸い、彼は今、私の席から反対の廊下側の席にいる。

 くじ運が悪くない限り近くにはならない…と思いたい。


 〜♪

 予鈴が鳴ると同時に、先生が教室に入ってきた。

「じゃぁ朝のHRは席替えな〜」

「平和な1日でありますように…」

 私は祈りながら、くじを引く。




______

【後書き】

今回も読んでいただきありがとうございました!

プロローグに続く第一話です。楽しんでいただけたでしょうか。

プロローグでは、月城君目線だったので、今話は鯨井さん目線です。

席替えをする鯨井さん…運命はいかに!(笑)


よければフォロー、レビュー、コメントなど、大歓迎です!

それではまた次回お会いしましょう、おしずまきでした!



 次回第二話「席替えとチンアナゴ②」21日(日曜)公開予定です。

※私の諸事情(主に定期テスト…クソッ)があるため、多少時期に変更があるかもあいれません。ご了承下さい。

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