第四.五話《続》:リポムファンカース前

 なにがなんやら状況を理解できずにいたカウリは丸柱に背を付けたまま、きょとんとした表情で二人の方を見ていた…………



 カウリがいたのは、ミハリとの待ち合わせ場所だった【リポムファンカース】という大型デパートの前。


 少し前にミハリも到着していたのだがちょっとだけリポムファンカースに寄らせてほしいと彼女にお願いされたため、カウリはそれをこころよ了承りょうしょうしその間リンロと通話をして待っていたところだった───


 

 カウリと目が合い気まずくなったスレチサが、一旦いったんソモの方へと目を向ける。


 ソモを見たスレチサの身体に、鳥になってしまうんじゃないかというほどの鳥肌が立つ。


 なんとおそろしいことにソモは言い逃れ不可避ふかひのこの状況で「どうしたんですか?」と言わんとばかりのきょとん顔をし、カウリのきょとん顔に応戦おうせんしていたのだ。


 ソモが口を開く。


 「どうしたんですか?」


 (言ったあぁぁぁ~~~っ!!! それはお前のセリフじゃねえぇぇぇ~~~っ!!)


 いてもたってもいられなかったスレチサは、すぐさまソモの頭を鷲掴わしづかみにし自身と共に土下座をさせカウリに謝罪した。


 「急に指を指して大声で言い掛かってしまい(ソモが)、本当にすいませんでしたっ!!」


 続けてそのまま土下座をした状態でスレチサが、ソモの方を向き叫ぶ。


 「オマエヤバァァーーーッ!! ハズぅぅーーーッ!!」



 今まで共に過ごしてきた11年間の中で初めて目にするスレチサの表情・気迫・声量に驚愕きょうがくしたソモは、まるで口の中に手洗いの達人がいるのかと思わせるほどの泡を吹き気絶した…………


 (大声にビックリしただけなのに何故この人たちは謝ってくれるのだろうか)と疑念ぎねんいだきつつ、二人の様子を見ていてなんだか申し訳ない気持ちになったカウリはとりあえず流れに合わせようと二人に許し込めて優しく微笑ほほえみ一礼した。


 するとカウリの許しを感じ取ってか、スレチサの表情が少しやわらいだ。


 スレチサはここぞとばかりに申し訳なさそうにしながらも立ち上がり、再度カウリに謝り頭を下げた。



 ズズズズズズズ



 気絶したソモを引きずりながら、スレチサがその場を去っていく。


 そんな二人の後ろ姿を心配そうにカウリが見守っていると、不意ふいに彼の目の上に暗い影が落ちた。


 「?」


 カウリがその影に気付くと、視線を変える間もなくして影を落としていたものがカウリの目飛び込んできた。


 バッ!!


 「!!」


 大きく目を見開いたカウリ。



 それは【棒付きキャンディーを咥えた小さな少女と少女を抱き抱える祖父そふらしき人物二人の上半身】だった──────


 

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