第四.五話:デマ情報ご苦労さん
《翌日午前10時》
ハレタカヨ中心区域【ワツトイ】──────
ここワツトイは、ハレタカヨの中でも2番目に発展が進む大きな街だ。
この
どこを見ても興味が
そんなこの街は人口も多く、ワツトイに初めて来る人のほとんどがここでの日常をよくお祭りの日か何かと
今日もワツトイはいつも通りの
昨晩トンロワラグの
「ぬおーいっ!! こっちだぁーすっ!
そう狂ったように叫んでいるのは赤いツンツン頭の上から白いキャップ・水色のYシャツの上に自身よりもオーバーサイズの白いパーカーを
そしてソモに犯人呼ばわりされて捕まっているのは、首もとが隠れる長さの黒髪に全身黒い制服を着た【
二人は幼い頃からの旧友であり、いわばこの状況は友達同士ののおふざけ真っ最中という感じだ。
「おいバカっ、やめろって」
ソモが嫌がり抵抗するスレチサの腕を
ウィーン
ゆっくりとリアドアガラスが下がる。
そこから顔を表したのは顔面に大小様々な傷跡をつくり全ての歯がサメのように鋭く尖っていて、表情だけで人を殺せかねない鬼のような
男の名は【
タママが二人を
「デマ情報ご苦労さん、クソガキ共」
空気に
「………………ヒャッ」
全身を震わせたスレチサが深く頭を下げ謝る。
「………………本当にすいませんでしたっ!!」
一瞬二人にとって地獄のような空気が流れたが、タママはそれ以上何も言ってくることはなかった。
ただ、去る直前までタママは顔面をリアドアガラスに押しつけて二人をじっと見てきた。
ガラスに顔を押し付けた場合、常人なら変顔になっているところだがタママの場合は違った。まるで恐怖を越えたその先のような顔をしていた。
その後タママを乗せた車が完全に見えなくなると二人は、溶けかけのアイスのような安定しない足を精一杯動かし近くにあったベンチへと腰を下ろした。
二人は目を
これにより、二人の想像力は驚くべき進化を
結局タママを記憶から抹消するのは不可能だったが、とりあえず落ち着きを取り戻した二人は再び歩き出していた。
スレチサが大きなタメ息をつく。
「あーハズっ。お前のせいでめっちゃ睨まれた……」
「まぁそう落ち込むなって。
今のはな、
だからあの
ところでさ、今朝からずっと気になってたんだけど………こりゃ一体何事だ?」
スレチサが感情のない目をソモに向ける。
「…………。
お前さ、一回自首して
スレチサがそう言葉を放つと、ソモは
「ふぃっ!? ふぁっ!? ふぅっ!?
何だよそれっ! 友達に捕まってこいとか酷すぎだろお前っ!!
いくら友達でも言って良いことと悪いことがあんだろっ!!」
ソモのその様子を見たスレチサは顔をひきつらせ引いていた。
「ジョーダンに決まってるだろ……。お前がさっき言ってた俺達だけに許された禁断の遊びってやつだよ。
てか、さっきそれを実際に行動に移したやつに言われたくねえよ」
「…………そうだったのかよ、まんまと騙されたぜ。
結構ムズいし、すぐ関係ぶっ壊れちまうなこの遊び。
たぶんこのまま続けてたら、明日にはお前消えちまうから一回この遊びは封印しようっ」
(どちらかが消えるんじゃなくて、消える方……俺確定かよ)
「よしっそれじゃあ、封印の合言葉は【ごめんなさい】でいくぞ。せーので互いに合言葉を言って頭を下げるんだ」
(ふっ、なんだよ封印の合言葉って。恥ずかしがり屋なりの照れ隠しってか。まあ、なんだかんだ言ってソモは……)
「せーのっ!!」
「ごめんなさいっ」
スレチサは封印の合言葉を言って頭を下げた。
(ん? あれ、おかしいな? 今ソモのやつ「ごめんなさい」って言ってたか?)
そう不審に思いスレチサが顔を上げると、ソモは勝ち
目が合うとソモはその
「これで封印されました」
(コイツっ!!)
それから二人は何もなかったように肩を並べて再び歩き始めた。
「ほら向こうにあるドでけえ
昨日の夜、トンロワラグの公園で二人の男の遺体が見つかったんだと。しかも
一人は分かんねえけど、もう一人はあのエンクローターズ育成学校の生徒だったらしい」
「えぇっ、まじかよそれ。………犯人はどうなったんだ?」
「このサイレンパレード見りゃ
「そうか…………」
「なあスレチサ」
「どうした?」
「俺さ、正直このまま見てみぬをフリした第三者のままでいようと思ったんだ…………でもそれじゃダメよな?」
「え? 何だよお前知ってて聞いてきたのかよ……うざ。
「いや、悪いがそのお代は払えない。
状況を今初めて知ったのは
「は? ワケわからん」
「しかし俺が第三者ではないのも事実だ。
なにせ今お前から聞いた情報と俺の過去と照らし合わせたことで、たった今俺は犯人を
これも全部
「…………。まあ、そのイタイ発言は置いておくとして。一体犯人は誰なんだ?
「まあ落ちつけよおバカさんっ、今からゆっくり教えてやるよ。
《ここから、ソモの喋り方がスローモーションになる》
「………………やっぱりか。にしても全然頭に入ってこないな……何倍速だよこれ。
この分だと
(そんなことよりもたぶんお前は前世【
「犯人は──────あの鬼ンケンシュタインだぁぁっ!!」
「違うだろっこの決めつけ星人っ!」
「じゃあ──────あいつだぁぁっ!!」
「………………」
ソモが指を指した先にいたのは、電話中のカウリだった。
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