第5話 占い師は家庭内でも霊力使い過ぎてる件
最近めっきり落ち着かない。知らないことが多すぎるよ、かぁちゃま。
もうこれ以上私達に隠してることはないよね?
ひよりは不安だらけになってるよ。元々怖がりさんんだからさぁ…安心させてやって欲しいよ。
色んなことがあったけど、何一つハッキリしないままで日々が過ぎてく。
知りたい気持ちと、知りたくない気持ちが心の中でケンカしてる。
でも聞きたい!
「かぁちゃま。すずひよは年子って言ったよね。私達を続けて生んだってこと?」
「まぁそうなるかな。」
「パパは同じ人?」
「あーーそれ、そこかぁ。まぁ達哉でないことは確かだね。」
何度聞いても、かぁちゃまはごまかしてばかり。言いたくない?これも暗い過去なの?
「あ、ごめん。珍しいところからメール来てるから読んでいいかな。」
もぅ話たくないからってあからさまにはぐらかさなくてもいいのに…。
いつもはサラッと読んで終わるのに、今日はじっくり読んでる。そんなに話したくないの?
じっと訴える目で見てたけど、みるみるうちにかぁちゃまが青ざめていく。そして小さく
「えっ… 本当に…」って呟いたままじっとメールを見てた。
固まったと思ってたら今度は突然電話をかけてる。
「達哉!どうしよう。おかあさんが亡くなったって!どしたらいい?ねぇ何したらいい?」
かぁちゃまが動揺してる。パニクってるみたい。誰のおかあさんが亡くなったんだろう…。
達哉パパはかぁちゃまの様子がおかしいのを察したのか、驚きの速さでやって来た。
「かや!大丈夫か。で、誰のおかあさんが亡くなったんだ。お前の母親は…」
「すずな」
「はい?」
思わず返事したけど私を呼んだわけじゃなかったみたい。
「すずなの母親が亡くなったって…」
「マジか?」
達哉パパもとても驚いてる。っていうか…
今、すずなの母親って言わなかった? えっ…すずなの母親ってかぁちゃまでしょ?違うの?
「まだ若かったよな?」
「そうだよ。まだ死ぬ年じゃないよ!でもどうしよう…。どうしたらいい?」
「連絡先は知ってるのか?」
「メールだけしか知らない。」
「じゃあ、これ以上何もできないだろう。」
「そうだね…。何も考えられなくて…」
かぁちゃまがショックなのは分かるけど、すずなもショックだよ。ねぇ、かぁちゃま、すずな誰の子なの?
「住所聞いてお花でも送らせて貰ってはどうかな?」
「達哉、それいい考えだね。聞いてみる。」
かぁちゃまはメールで住所を聞き出そうとしてるたみたい。すずなには住所教えてくれないの?すずなの本当のお母さんなんでしょう?どうして何も教えてくれないの?
かぁちゃまに、すがりついてみたけど軽く離された。かぁちゃまも今は余裕がないみたい。ふぅって深いため息で落ち着きを取り戻そうとしてる。
しばらく様子を見て、落ち着いた頃合いをみて話を聞こうと思って側に行ってかぁちゃまの顔を覗き込んでみた。かぁちゃまは私を見つけるとギュって抱きしめた。
「すずな…。昨日あなたのおかあにゃんが亡くなったんだって。実家に連れて行ってあげられなくてごめんね。」
やっぱり、すずなの本当にお母さんは別にいるんだ。
「ねーたん、ねーたん。それじゃひよりのお母さんはかぁちゃまでいいの?」
「そんなの分からないよっ!」
怒りモードで返事したから、ひよりは怖がってすみっこに隠れてしまった。
あれっ…。今『おかあにゃん』って言わなかった?おかあにゃん?!
「なぁすずなのおかあにゃんって何歳だっけ?
「4歳を目前にして天使になったんだって。すずなを産んでまだ2年しか経ってないのに…」
「猫にとって4歳って人に換算したら何歳なんだ?」
「4歳前だったそうだから、人で考えたら30歳くらいなんじゃないかな。」
「若すぎるなぁ…」
すずなのお母さんは猫? えっ…猫が母親ってことは、すずなは…?
「すずなもやっと2歳超えて大人猫になったのにね…」
「おかあにゃんは、まだ小さいすずなを残して天使になるなんて心残りだったろうね。」
大人猫?すずな?えっすずな猫なの?猫だったの?
隣でひよりも一緒に大騒ぎしてる。
「ねーたんが猫ってことは、ひよりも猫なの?」
「すずなは実家が分かってるから、おかあにゃんや兄弟のことも知れるけど、ひよりは譲渡施設から里子にしたから、純血種とはいえ何も分からないんだよね。」
ひよりも猫だった…。私達は猫?猫の姉妹なのね…。それも親が全く違う姉妹…。
だから、達哉パパはパパじゃなかったんだ。猫だから、かぁちゃまが本当の母親なわけないよね。
「すずなを里子に迎えて、ひよりと出会って仲良くできるかなと思ったら年も近いし、ゆるい性格だったからケンカもなくていい姉妹になってくれたんだよね。すずなのおかあにゃんも安心してくれたらいいんだけどなぁ。」
「安心してるんじゃないかな。体がなくなったなら自由に会いに来れるしな。」
「霊感ゼロの達哉に言われたくないわ~」
なんだか分からないことだらけだったけど、私達が猫ってわかったら納得できることばかりだった。
達哉パパが本物のパパでないのも当然だよね。かぁちゃまですら本当の母親ではないんだもん。
その思いが聞こえたみたいに、かぁちゃまが呟いた。
「すずひよには産んでくれたおかあにゃんがいるけど、今は私があなた達の母親には間違いないからね。これからも仲良くしてね、すずひよ。」
「だから、俺もすずひよのパパにしてくれよ。」
「自分で猫飼ったらいいじゃない。」
「そりゃそう思うだろうけどさ、すずなは俺が見つけて『可愛い子がいる』って教えてやったじゃないか。」
「確かにね。でも、ひよりは私が見つけたよ。」
「ひよりの時は俺も見つけてすぐに里親に立候補したけどさ、独身の男はなかなか里親にならせて貰えないんだよ。どれだけ猫好きかをアピールしようと思ったら、もう決まってたんだ。まさかそれがかやだと思わなかったよ。すずなの妹が来たって会いに来たら俺が里子にしたかった子がいて驚いたよ。だからさぁ俺をパパに…」
「ダメ!達哉が来たら、すずひよと遊ぶ時間が減る!」
「利衣太がいる時もそう言ってなかなか会わせてくれなかったよな。ほとんど会えないまま…」
「そうだね。利衣太はうちに来た時すでにシニアだったし3年弱で天使になったもんね。」
利衣太兄ちゃん天使って…。天使…?ってことはもう現世にいないってこと…?
こないだ一緒にお留守番したよね、ひより?
「うん!お留守番した!」
「でも、利衣太はすずひよがお留守番する時に姿見せてくれてるよ。つるるんと一緒に。」
「おいっ!つるるんってお前のお母さんだろ?お母さんもすでに鬼籍の人でなかったか?」
「うん、そうだよ。だから利衣太と仲良くすずひよの面倒みくれてるよ。」
「それって、すずひよみえてるの?」
「この子達はかなり霊力強いから、生身の人間とか猫の姿で見えてるはず!」
確かに見えてたね、ひより。
「うん!見えてた~」
「かやが寂しくないっていうは、そういうことなのか?」
「そうだね~。単品でいても、この子達いるし、霊力使ったら利衣太や母と話もできるし、前世とも会話を楽しめるから一人で全然平気だよ。」
「すずひよ~。これで不安も解消したかな?これからも、かぁちゃまと仲良く暮らそうね。」
「は~い!」
「は~い!」
「はーい!」
「ちょっと達哉!達哉は入ってないよ~」
「えーーっ!俺も入れてくれよ。なぁすずひよのパパにならせてくれよ~」
「そんなに言うなら考えてあげてもいいかな。」
「いいのか?」
「ただし、考えるだけね!」
かぁちゃまは大笑いしてる。達哉パパも入れてあげればいいのに。
でも、やっと疑問も解消したし良かったと思うすずな2歳・とっても幸せ。
ひより1歳。これでおやつが出たら最高なんだけどなぁ。
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