第2話 にぃたんとつるるんとおりちばんの件

こないだ達哉パパが来たと思ったら食べるだけ食べて帰ったの。パパならそのまま居ると思ってたんだけど帰っちゃった。達哉パパはいつもいないの。何でなのか、ねーたんも知らないって。ねーたんに分からないことは、ひよりには全然分からなーーい!


「すずひよ~!明日からお泊りでお仕事行かなきゃならなくなった。ごめんね。」


「ええーーっ!かぁちゃま、ひよりと2人でお留守番させるつもり?」

いつも大人しいねーたんが困ってる。


「ご飯を横取りしたり、私のベッドで寝たり、あちこちのモノを落としまくってる超自由なひよりの世話をしろと?」


ね、、ねーたん、それ言い過ぎ。ひよりのことそんな風に思ってたんだ。そんなにひより困ったちゃんだった?うえーーん(涙)


「利衣太兄ちゃんとつるるんに来て貰うから大丈夫よ、すずな」


「それなら安心!良かった~」


ねーたんは知ってるみたいだけど…。りぃた兄ちゃん?つるるん?誰それ?


「利衣太兄ちゃんは私達の年の離れたお兄ちゃん。今はつるるんのところにいるの。つるるんは、かぁちゃまのお母さん。私達からみたら、おばあちゃんだね」


不思議そうな顔をしてたらしく、ねーたんが説明してくれた。


年の離れたお兄ちゃんがいたんだ。ひより知らなかった。おばあちゃんがいることも知らなかった。

それにお兄ちゃんはどうして、かぁちゃまと一緒に住まないのかな…。

また分からないことが増えちゃった。

あれっ?ねーたん何で知ってるの?まぁいっか~


翌朝、かぁちゃまはお泊りのカバンを持って出かけていった。


「ねーたん、にいちゃん達はいつ来てくれるの?」


「もう来てるよ」


いきなり後ろから聞きなれない声がした。振り向いたら見たことないイケメンが立ってる!


「すずちゃん久しぶり!ひよりちゃんとは初めましてだね。僕が利衣太兄ちゃんだよ。」


うわぁぁぁ。こんなイケメンの兄ちゃんがいるなんて知らなかった!、友達に自慢しよ~!


そういえば、おばあちゃんはまだかな?


「んとね、つるるんは足が悪いからゆっくり…。あ、もう来てた。それとね、ひよりちゃん。つるるんのことを『おばあちゃん』って呼んだら激おこで返事しないから絶対言っちゃだめだよ。」


「利衣太、聞こえてるよ!こんな小さな子に本気で怒らへんて。すずなちゃん、ひよりちゃん。こんにちは。ひよりちゃんは初めましてやね。」


つるるん、関西弁で優しそう。おやつくれるかな?


「あら、ひよりちゃん。おやつ欲しいの?これでええかな?」


わーい!一番好きなおやつ!つるるん最高!おやつくれる~。


「ひより幸せが来たね!」


ねーたんにも、ひよりの思ってることがバレてる~。


「それだけ嬉しい顔してたら僕でもわかるよ」


りぃた兄ちゃんにもバレてる~。ひより隠し事できないタイプかも~。


「利衣太。長い毛なんだからブラッシングしないとダメやん。梳いてあげるからこっちおいで」


「もう今日はしなくていいよ。」


「そんなに面倒くさがらないくててもええやん。私がしたげるから。」


りぃた兄ちゃんは渋々つるるんの前に座ってブラッシングされてる。照れてるのかな?イケメンのブラッシングなんて見ることないから新鮮!これも家族団らんなのかな。


「そうだね。これも団らんかな。普段会ってなくても通じてる感じするよね。」


ねーたんにも、ひよりの気持ちわかるみたい。


りぃた兄ちゃんのブラッシングが終わったら、つるるんは私達のご飯の用意をしてくれた。でも、つるるんが作ってくれるんじゃなくて、かぁちゃまが用意しててくれたんだって。

出張に行かなきゃならなくても、私達のことを考えてくれてるんだ。

かあちゃまも最高!


「すずちゃん、ひよちゃん。こっちちおいで~」


つるるんが呼んでる。


「つるるんはね、甘えて欲しいの。小さい子と触れ合える機会が少ないからヨシヨシしたいんだよ。」


「りぃた兄ちゃんも甘えてた?」

「前はね。今は出来なくなったんだ。そんなことよりさ、つるるんのところに行くといいよ。側に来て欲しくて一杯おやつ用意してたからね。」


その言葉を聞いてダッシュでつるるんに甘えに行った。


「ひより、ずるい~」


ねーたんも負けずにダッシュして来た。ねーたん身軽で足は早い速いから負けてられない!


「2人とも急がんでもおやつ一杯あるから大丈夫やで。」


やったーー!おやつ三昧できる!かぁちゃまはケチだから少ししかくれないもんね。つるるん最高!

おやつが済んだら、今度はりぃた兄ちゃんが追いかけっこやかくれんぼして遊んでくれた。りぃた兄ちゃん前はこのおうちに住んでたから見つかりにくい場所教えてくれたよ。これで、ねーたんとかくれんぼも勝てそう!やっぱりお兄ちゃんっていいな。


ごはん食べて、おやつ食べて、一杯遊んで、気づいたら眠ってた。

夜中目が覚めて周りを見たら、ねーたんしか見えなかった。りぃた兄ちゃんとつるるんは視界に入ってこなかった。たまたま見えないだけと思って再び眠りに落ちて気づいたら朝まで寝てた。


「すずひよ~起きろ~!」


目が覚めると、かぁちゃまが帰ってた。


「かぁちゃまお帰り~」


ねーたんはちゃんと起きててご挨拶してる。何でいつもちゃんと起きてお迎えできるんだろう不思議。


「利衣太とつるるんはどうだった?優しかった?利衣太怖くなかった?」


「つるるん最高だった!りぃた兄ちゃんは全然怖くなかったよ。何で?」


「ご機嫌悪くなると変貌するのよ。本当に大変だったんだ…」


かぁちゃまの言いようから、りぃた兄ちゃんと暮らせない理由がその辺りにある気がした。でも昨日はすごく優しかったし楽しかったのになぁ。りぃた兄ちゃんと一緒に暮らさない理由を聞きたかったけど、あまり触れない方がいいのかもしれないなぁ。


「ねーたん…」


「ん、聞くのはやめておこうか。」


ねーたんも同じことを考えてたみたい。やっぱりそういう理由なのかな。

「でも、昨日のことはとっても楽しい思い出だよ。また会いたいね、ねーたん」


「ひよりはおやつ目当てなんじゃないの?」


あ、バレてた。ねーたんは何もかもお見通しだ。でも離れて暮らす家族でも集まればいつでも団らんになるんだね。おやつも貰えるし、おりちばんってオイシイ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る