第39話 仲間の夫と誤解された
ニンジャの里は、僕を囲んでお祭り騒ぎとなる。
たき火を囲んでの演舞を、僕はあぐらをかきながら見学していた。
天空城の情報を、聞きたいだけなんだけど。
「あのー、マルちゃん、どうしよう?」
僕は、マルちゃんに助けを求めた。
誤解されたままでは、申し訳ない。
「みんな騒ぎたいだけ。任務任務で、娯楽に飢えている。騒げれば、動機はなんでもいい」
なるほど。本心から祝っているわけでは、ないんだね? ならいいか
「まあ、わたしにも豪華な衣装とごちそうが並んでるから、敵対されていはいないみたいね」
エリちゃんの前には、豪華なお肉やお野菜が並んでいる。
「ひとまず、騒ぎが落ち着いたらお話ということだから。今はただ、盛り上がろう」
マルちゃんも、えらく冷静になっていた。
僕も、ゴハン食べよっと。
うーん、おいしい!
アムンセンの整った料理も最高だけど、こういった里のおばんざいは懐かしさもあっていいな。
おばあちゃんの家に来たみたいだ。僕は異世界へ来るまで、ヒジキとかゴボウとか好んで食べなかった。今はすごく恋しい。
おいなりさんもあるのか。甘い油揚げの中身は、酸味の効いた山菜ゴハンだ。
ぜいたくではないけど、温かみのある料理だ。歓迎してくれているのが伝わってくる。
飲めないお酒を断るのは、大変だったけど。
宴も終わり、天空城の話に。
「東の空に、黒い雲に覆われている場所がある。そこに天空城があるという」
だが、誰も入ったことはないらしい。城の真下まで来た冒険者はいるらしいが、宇宙人たちの妨害にあって敗走したという。以来、誰もそこへ攻撃を仕掛けようとはしない。
「天空城が現れる前から、我が国は何度も宇宙人やモンスターの襲撃を受けてきた。しかし、勇者が来てくれたおかげで根源的に解決をした」
ユウキは、この土地にも来ていたのだ。
「でも、天空城には手を出せなかった?」
「天空城は、彼が去った後に現れたのだ」
なるほど。ユウキは新たな脅威が迫っているのを知らないか、知っていても駆けつけられないのか。
「そういえば、みんな東洋風な名前ですが、マルちゃんはマルグリットって西洋風なんですよね。意味があるんでしょうか?」
長老は、「フム」とアゴに手を当てる。話していいかどうか、悩んでいる様子だ。
「じっちゃん、あたしは大丈夫だから」
「そうか。では話そう」
マルちゃんの言葉で、長老はうなずく。
「この子の名は、マルグリットか、マコトという名前で悩んだ。母親の土地にちなんで、マルグリットとしたのだ。『母親のいた世界』の言葉で、『秘密の愛』を意味するという」
「え、それじゃあマルちゃんは」
「うむ。里の男と、宇宙人との間に生まれた子だ」
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