第38話 ニンジャの里へ立ち寄った

 天空城への道のりの中、僕たちは船に乗ってマルちゃんの故郷『アサダ列島』へ。


 その島国に、天空城があるというのだ。


 西洋風だった世界の様子が、一気に大昔の日本みたいになってきた。


 さすがにチョンマゲの人とかはいない。が、ポニテのサムライなどは歩いている。


 警察機関や裁判所も、「奉行所」とか言われていた。


 看板はどれも、誰でも読める字で書いてある。一応、共通言語を使用しているのか。船も出ているし、海外との交流も盛んなのだろう。


 試しに屋台で買い食いをしてみた。

 冒険者カードでの決済は、使えるみたい。


 この銀行みたいなシステムは宇宙人経由だと、クロードさんは言っていた。宇宙人の影響は、この国も受けているのだろう。宇宙人の城が浮いているくらいだからね。


「ギルドあった!」


 牛肉の串焼きを食べながら、マルちゃんが建物を指差す。


「冒険者ギルドは、ちゃんとギルドって書いてあるね」


 隣に『協会』って書いてあるから、協同組合みたいなニュアンスかな?


「ようこそ、ギルドへ。お仕事のご依頼ですか?」


 仕事は、受けておくか。天空城の所在はまだわからないもんね。


「……ああ、やっぱりあった」


 僕は、一枚の紙を見つける。『獣人を探しています』との依頼書が。


「ウチの里だね。あたしをつきだしたら、報酬がもらえるけど」


 マルちゃんの提案に、僕は首を横に振る。


「依頼はキャンセルさせる。こっちで元気にしていますって、里にあいさつをしに行こう」


 僕たちはマルちゃんの案内で、ニンジャの里に連れて行ってもらった。


「ここは、ハタナカの村だよ」


 山に囲まれた村を、マルちゃんが指さす。


 小さな村で、とてもニンジャが住んでいるようには思えない。


 逆に、ここまで人畜無害の村に擬態しているのは見事だと思った。さすがにこちらのレベルが高いと、相手の強さや気配はわかってしまう。


「おお、マルグリット!」

「じっちゃん!」


 マルちゃんが、白髪の男性と抱き合った。


「あなた方が、見つけてくださったのか?」

「紹介するね。リーダーのアユムと、魔術師のエリアーヌ。あたしの仲間!」


 僕はマルちゃんの身元を確認してもらうため、冒険者カードを見せる。


「たしかに。しかもアムンセン王家の名誉国民とは。成長したもんだ」


 このおじいさんは、里の長老らしい。


 里は、冒険者ギルド経由でマルちゃんの無事を確認していた。

 さすがニンジャの情報網だね。

 ドレイ落ちも覚悟していたので、立派に育ったのがうれしいようである。

 ただ、行方不明なのは確かなので、張り紙を剥がせないでいた。


 マルちゃん保護の報酬は、一晩泊めてもらうことにしてもらう。天空城の詳しい情報もあるらしい。


「天空城のことはさておき、あなた方を盛大に歓迎しよう! 皆の者、聞くがよい! マルグリットが、夫を連れて帰ってきた!」


 僕は一瞬で、ニンジャの情報網を疑いはじめた。

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