第33話 敵の大将と決着をつけた

「なんと、バカな!?」


 アスタルテの顔が、歪んだ。自分の剣が地球人に折られるなんて、思ってなかったのだろう。


「勇者以外にも、こんなに強い地球人がいたとは!?」

「僕の強さは、みんなとの絆の力だ!」


 この力は、一人では手に入れられなかった。


 僕は、みんなから守ってもらっている。僕も、みんなの手助けをしたい。そうやって動いていたら、いつの間にか強くなっていたんだ。


「こっちだって、強くなってるんだから!」


 エリちゃんが、煙幕を張る。


「なあ、体が動かない!?」


 どうやら、質量のある煙を出しているようだ。


「やあ!」


 そこへ、マルちゃんが短剣で斬りかかる。


 硬い装甲を持つ腕で、マルちゃんの剣を防ごうとした。


「ぐお!?」


 マルちゃんの剣が、アストレアの腕を切り落とす。


「行くぞぉ!」

「しゃらくさい!」


 追撃を繰り出そうとしたマルちゃんを、アストレアが蹴りで突き飛ばした。煙幕も、弾かれてしまう。


「やっぱり強い……ん?」


 イーサクさんから受け取ったヨロイから、とんでもない量の魔力を感じ取る。このパワーって、武器に活用できないかな?


「トドメだ。閃空斬せんくうざん!」


 隕石でできた剣から、衝撃波を放つ。


「バカめ! 一度破った技を!」


 剣を失ったアストレアが、今度は肉体で受け止める。


「どうだっ! 武器がなかろうと貴様の攻撃な……おおおおお!?」


 衝撃波が、敵の胴体にめり込んでいった。


「武器が替わって、攻撃力がアップしたのかぁ!?」


 アストレアの表情に、余裕がなくなる。


「閃空斬!」


 さらに、必殺技をもう一発見舞った。より強大になった波動が、さっき撃った衝撃波と交差する。


 今度こそ、衝撃波がアストレアの身体を貫いた。



 アストレアの切断面から、光が溢れ出す。



「みんな、伏せて!」


 僕たちは、身をかがめた。


 アストレアの身体が、大爆発を起こす。

 光の柱となって、おびただしいまでの魔力が天へと昇っていった。



「勝った?」


 敵の姿はない。僕たちは、どうにか敵のボスをやっつけたようだ。


 あれだけ大きな光の柱だ。ユウキにも見えたかな。


 そう考えていると、マルちゃんが僕に抱きついてきた。


「やったぞ、アユム! 強い!」


 マルちゃんのぬくもりを感じ取りながら、僕は勝利の重要性を噛みしめる。


「うわああ……」


 悲鳴をあげる元気もなく、僕はヘナヘナと草むらに転倒した。


「大丈夫か、アユム!?」

「力を使い果たしちゃったみたい」

「エリクサーの出番ね!」


 僕は、魔力加工されたエリちゃん特製の甘酒を飲む。


「ありがとう、元気になったよ」


 あんな強い宇宙人を、どうにか退けた。


 これで少しは僕も、アタッカーとして役に立てただろうか。


 高レベルの魔族を倒し、強くなった実感はある。


 寝転んだままの僕に、ドレスアップしたお姫様二人が手を差し伸べる。


「さて、王様がパーティ会場でお待ちだぞー、アユムー」

「お手をどうぞ、アユム」

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