第34話 王都主催のパーティに招待された

 お城の方は、どうなったんだろう?


「クロードさん、王様におケガは?」

「大事ありませんぞ、賊は忍び込んだようですが、始末しました」


 クロードさんの周りには、魔物が倒れている。

 やられた魔物は、塵となって消えていく。


 やっぱり、クロードさんは強かったんだ。


「さあ、湯を張っております。しばし身体の泥を落としてらっしゃいませ」

「ありがとうございます。いただきます」


 その後、一時間かけてお風呂に。血の匂いとかさせないよう、入念に全身を洗う。時刻はすっかり夜になっている。


 改めてドレスアップした僕たちは、王家主催のパーティに出席した。


「アユム、やっぱその格好が似合うぞ」

「ありがとう。マルちゃんもかわいいよ」

「ムフー」


 僕が褒めると、マルちゃんがシッポを激しく振る。


「エリちゃんもすごいね。きれい」

「あ、ありがとうアユム」


 王様の隠し子であるエリちゃんも、きれいにおめかししていた。こう見ると、やはり上品な王族の血を受け継いでいるのだなと思えた。


「さあ、ゴハンだゴハン!」


 やっぱりそれが目当てだよね。


 チキンの丸焼きや、魚の姿焼きを、ウサギ耳のメイドさんが切り分けている。


「会社に持って帰れるものは、持って帰るわよ」

「そうだね」


 パーティは、さっきまでの魔物騒ぎから一転して、賑やかに。


「楽しんでいますか?」

「はい。こんなにおいしいものに囲まれて」

「それはよかったです」


 シルヴェーヌさんによると、「魔族なんかに屈しない」というアピールも込められているんだって。


 あと王様が税金を使って、城下町でも軽いお祭りを始めたらしい。そっちにも寄ってみたいな。


「先程はありがとう。このゴーチエ、みなさんの働きには感謝している」


 ゴーチエ王子が、婚約者さんと一緒にあいさつに来た。今日の主役なのに、僕たちにかまってていいのだろうか?


「貴公、名前を教えてくれぬか」

「アユムです。普段は冒険者をしていて、ジルダで会社を持っています」

「ほう、経営者でもあるのか。頼もしいな。もしトラブルがあったら私に言うがよい。我が婚約者も、孤児援助活動を頻繁に行っている」


 王子に紹介され、婚約者さんが頭を下げた。


「冒険者カードはお持ちですか? 見せてくださいな」

「はい。どうぞ」


 カードを見せると、「少々お待ちください」と、ひとさし指を這わせる。


 僕たちの冒険者カードに、自分の国の紋章が浮かぶ。クレジットカードの発行会社マークみたいなサイズで。


 ゴーチエ王子も同じことをして、紋章を僕たちのカードに貼り付けた。


「王都アムンセンと、隣国ファエドラの紋章だ。これで諸君らは、我が国および妻の国の名誉国民だ。トラブルがあったら、こちらを見せるがよい」

「ありがとうございます」

「では、楽しんでくれ」


 王子は立ち去り、貴族の集まりに加わる。


「みんなは食べていて。僕は、話したい人がいるから」


 僕は、クロードさんの元へ。

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