第32話 隕石でできた武器を届けてもらった

 僕たちはイーサクさんのお店で、「襲撃されやすそうな場所」を予習していた。その場所を王様に教えて、対処するように頼んでいたのである。


 警備は、冒険者にでも頼んでおけばいい。必要最小限の戦力で、魔族の動きを止められるだろう。多少の戦闘行為が行われるだろうが、街もお城も守れる。


 僕はそう睨んだのだ。


「バカな。街の騒動が、沈静化していく。貴様、どんな魔法を!?」


 消えていく街の炎を眺めながら、アストレアが悔しがっている。


「僕は、なにもしていませんよ。事前に用事を済ませただけです」

「クソ! 城に最大級戦力を集めたのがアダになったか! しかし、貴様らを倒せばすべてノーカウント! なんの問題もないよ!」


 アストレアが、サーベルを二つ構えた。


「いくら知恵があっても、戦闘力がなくてはさぁ!」


 本気になったアストレアが、猛然と襲いかかってくる。


 主に僕へと攻撃を向けてきた。


 僕は、防戦一方になる。


 マルちゃんもエリちゃんも加勢してくれた。


 が、まるで歯が立たない。やられたりはしないが、決定打に欠ける。


閃空斬せんくうざん!」

「同じ手は食わない!」


 衝撃波も、通じない。すべて、サーベルで打ち消された。


 投げたシールドに反射させて死角から攻撃するも、動きが読まれてしまう。


 さすがに、敵の大将というだけある。


「うわ!?」


 とうとう、剣が折れてしまった。


 どうすれば。


「おーい。アユムー」


 呑気な声が、街の方角から聞こえてきた。この声は、たしか。


「やっと装備品ができあがったよ。街が大騒ぎでさ、胸騒ぎがしたからキミらを追跡してきたよ」


 ドワーフの鍛冶屋、イーサクさんだ。ダチョウみたいなモンスターに乗って、高速でこちらに向かってくる。その手には、宇宙人の素材でできたであろう剣とヨロイが。


「アユム、装備を受け取って!」


 エリちゃんたちが盾になって、アストレアの足を止めてくれた。


「よくここだとわかりましたね?」

「あんだけ派手に暴れていたらね。それより、ほれ。頼まれていた装備品だよ」


 イーサクさんが、装備を投げてよこす。


 僕は受け取ろうとしたら、装備のほうが勝手に僕の身体を包んだ。変身ヒーローみたいに。


「こっちは他の子の分、ねっ!」


 他にも、杖と短刀を受け取る。



 装備は、フルプレートメイルだ。それでいて、レザーアーマーくらいには軽い。

 それに剣は、ロングソードになっている。片手でも両手でも扱えるような長さだ。


「異界の怪物から甲殻を剥ぎ取って作ったヨロイと、隕石を素材に使った剣だよ。魔力浸透力は段違いだろう」

「ありがとうございます。あなたは逃げてください!」

「たしかにやばいね。そうさせてもらう!」


 イーサクさんが去っていく。


 倒されたエリちゃんに、アストレアのサーベルが迫った。


 僕は、隕石剣でアストレアの武器を止めようとする。


「うっわ!」


 隕石の剣が、サーベルを切り裂く。

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