第31話 連携して、宇宙人と戦った

 ヘビ頭の形をしたシッポから細身の剣を吐き出し、アストレアが僕に切っ先を向けた。


「あなたは、本当に宇宙人なんですか?」

「もはやアタシは、何星人かも忘れたよ! この世界に居着きすぎてさ!」


 アストレアが、サーベルで斬りかかる。終始口元に笑みを浮かべながらなので、不気味だ。


「このお!」


 マルちゃんが、背後から爪でノドを狙う。


「しゃらくさい!」


 蛇が、舌をサーベル状に突き刺しにかかった。


「うおっと!」


 はじめて対峙する強敵に、二対一でも苦戦する。


 エリちゃんにオイルを出してもらって……ダメだ。ここは王都だから、火が回ると危ない。毒も川や土壌に混ざったら大変だよね。だったら、これなら?


「花粉攻撃だ、エリちゃん!」

「そんなシケた攻撃が通じるの!?」

「やってみよう!」


 エリちゃんが、薬草や木々から採取した花粉を、アストレアに撒き散らす。


 仮面をかぶっている方の顔には、まったく効いていない。視界も奪えず、平然としている。


「ゲッホ! 目に染みる!」


 だが、ヘビの方には効果てきめんだったようだ。ヘビにまぶたがないって本当だったんだね。


「今だマルちゃん!」

「おう!」


 ヘビ部分のノドを狙い、マルちゃんが回し蹴りを食らわせた。サンダルから足の指でクナイを挟んで、蹴りかかる。


「ダメだ、浅い!」


 マルちゃんでも、手応えのなさがわかったようだ。腐っても魔王軍の実力者か。


「くう!」


 アストレアが、ヘビの頭を切り捨てた。


 気づかれたか。クナイに毒を仕込んでいたのを。


「油断もスキもないね。サンダルから爪が伸びていたのにナイフに持ち替えたから、妙な気配がしていた」


 アストレアの人間部分が、口を開く。人格が、こちらに移ったようだ。


 あらかじめ、クナイにエリちゃん特製の速攻毒を仕込んでおいたのだが。やはり歴戦の魔族には通じないか。それでも、相手の力を奪うことには成功したらしい。


 戦力を半分失って、明らかにアストレアの戦闘力が落ちた。僕とマルちゃんを相手に、苦戦している。


「形勢逆転ですね」

「どうかしら? あれを見なさいな」


 丘の下を、アストレアが指差す。


 王都の城下町から、火が見えた。


「あたしは、ここに王族と兵士たちを引き付ける役割。実働部隊はすでに王都へ入り込んでいる。すでに王都の都市機能はこちらが奪った!」


 松明を持ったモンスターが、こちらに走ってくる。


「ほら。成果を報告しに部下がやってきたよ! これであんたたちもおしま――」

「襲撃部隊が壊滅しました! 南西部・北東部共に、魔物部隊は先回りされた兵士によってすべて撃退されています!」

「なんだって!?」

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