第27話 国王様と、お茶をした

 王様との対面は、拍子抜けもいいところだった。


「堅苦しいのは、おイヤでしょ? テラスへいらして」


 シルヴェーヌ様のはからいで、僕たちはお城の中庭へ行こうと案内される。いきなり、お茶の席とは。もっと王座の間で、厳粛に行われるんだと思っていたが。


 廊下を進むと、獣人族の騎士さんや貴族さんもいた。獣人とかは、差別されているわけじゃないのか。だったら、マルちゃんへの扱いも安心だろう。


 マルちゃんの方はというと、まったく気後れしている様子はない。高そうなツボや大理石の廊下を、興味深そうにキョロキョロと見ていた。


「アユムといったな。国王のヤニクだ。我が娘エリアーヌを助けてくれて、感謝する」


 あいさつもそこそこに、会話が始まる。


 僕は緊張していたが、マルちゃんは焼き菓子をバクバク口に入れていく。


「大きくなったなぁ、エリアーヌ。酔った勢いでできた子だから、妻にも嫌われるんじゃないかと思っていたけど」


 もっと偉そうな人かなと思っていたのに、王様はめちゃ気のいいおじさんでしかない。こりゃよそで女の人を作っちゃうよね、って印象を受けた。


「どのような経緯であれ、命に罪はありません。あなたを責めるつもりはないのですよ、エリアーヌ。ゆっくりなさって」

「ありがとうございます、王妃さま」


 王妃様いわく、王様の隠し子は一人や二人ではないらしい。慣れちゃったのか。大変だな。


「ゴーチエ王子……シルヴェーヌの兄の婚約を祝う、ダンスパーティがございますの。お食事も用意してありますわ。ゴーチエは今、席を外していますが」


 なんでも近隣の魔物討伐も兼ねて、婚約者を迎えに行っているとか。


「王族自ら、退治に出向くんですね?」

「ええ。アムンセンは王様自体がクセの悪い人でして、あまり評判がよろしくありません。税金などはあまり要求しない分、民には慕われているのですが」


 魔物討伐や各種公務などへ積極的におもむき、信用回復に努めているのだとか。


「面目次第もねえよ」


 当の王様は、これである。


「ダンス用の衣装もご用意しました。でもエリアーヌ、お宿で休みますの? 客間はたくさんございますのに」

「他の方を差し置いて、冒険者風情が図々しいマネなんてできません。お気持ちだけ受け取ります」

「そう。では、お城にいる間はお世話させてくださいな。こちらへ。マルグリットさまも」


 エリちゃんとマルちゃんの手を取り、シルヴェーヌさんはお城の中へ。


「クロード、アユムはお前が案内しろ」

「かしこまりました」


 シルヴェーヌさんに仕える老執事さんが、僕を試着室へ連れて行ってくれるという。


「私は、先王よりお仕えしております、クロードと申します。お見知りおきを」

「はい。失礼ですけど、クロードさん」

「なんなりと」

「あなた、宇宙人ですよね?」

「……ほほう」


 クロードさんが、足を止めた。

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