第21話 王都へ向かうことになった
翌日、僕たちはギルドでジョブの再登録をした。
ちなみに、孤児たちは仕事に向かっている。街に活気が戻って、みんな安心したみたい。
「街の代表者に代わって、感謝する。これが報酬だ」
報酬を受け取った。ジルダの領主から、信じられない金額が支払われたという。
こんなお金、どうしようか? 自分たちが受け取るにしても、多すぎた。
「孤児たちに分配しようかな?」
「それが一番いいわね」
これで、報酬面は決まる。
「欲がねえな。では続いて、この『鉄壁のヘヌリ』さまから贈りもんだ」
ドワーフのギルマスが、胸を叩く。彼は、ヘヌリさんというらしい。
「王都に、知り合いのドワーフがいる。『イーサク』ってヤロウだ。書状を書いておいてやるよ。『オレが金を出すから装備を整えてやってくれ』、って書いておく」
紙に書状と、最後に『ヘヌリ より』とサインした。
「ありがとう、ヘヌリさん」
「いいってことよ。それと、処刑された貴族から遺言だ」
ドクロ党を指揮していた貴族は、先日処刑されたらしい。
「僕たちにですか?」
「ああ。『娘を看取ってくれて、感謝する』ってよ……」
「そう、ですか」
子どもの死に目に会えないなんて。でも、それくらいのことをしたのだと割り切るしかなかった。
人の親である心があったのに、なぜあんな悪事を働いていたのか。家族を救うために、宇宙人なんかと手を組んだのだろうか。理解できない。利用されるってわかっていたはずなのに。
「とまあ、伝言はこんくらいだ。ところで、敵のことだが」
例の宇宙人退治について、ボクは詳細な報告をした。
「宇宙人か。やはりな」
ヘヌリさんが、カウンターにうなだれる。
「なにか気になることでも?」
「ああ。ヤツラは倒しても倒しても、次々と別の宇宙人を送り込んできてな。参っている」
彼らは街を壊し、人を欺き、都市機能をマヒさせていく。
「ギルドの人たちにやる気を感じられないのは、そのせいですね?」
「そうだ。倒しても倒しても、すぐに新しい敵が出る。イタチごっこが続いているんだ。そのせいで、国の騎士たちや冒険者たちは、あきらめモードに入っている。街を立て直しても、また潰されるんだからな」
躍起になっているのは、トレハン勢だけらしい。宇宙人の貴重な品を目当てに、狩りまくっているという。
「とはいえ、ヤツラの装備を手にしたところで、使いこなせるとは限らねえ。武器が暴発してパーティごと壊滅、なんてザラにあった」
未知の装備には、それだけリスクがあるわけか。
で、ジョブとスキルの相談だ。
「ルーンナイトか、えらいめんどくせえジョブにしたんだな?」
ギルマスのドワーフさんが、苦笑いを浮かべる。
ちまたでは、ルーンナイトは「不遇職」「全体的に中途半端」とのウワサだそうだ。
『オレもルーンナイト目指してイキったことがあった。すぐにファイターでやり直したよ。魔法の習得ってのは、剣術と組み合わせると効率が悪い」
「一応、鍛えれば最強職の一角なんですよね?」
「だが、最強への道のりは遠いぜ。一極集中じゃないからな。つっても、器用なおめえならやれそうだ」
これは、がんばるしかないね。
「そうそう、王都から連絡だ。お前さんたちに、賞状を渡したいってよ」
ドクロ党及び、彼らが作っていた麻薬の栽培阻止に貢献したからだそうだ。また、宇宙人についても詳しく話を聞きたいそうな。
先日倒した宇宙人の襲撃ルートには、王都も含まれていた。そのお礼がしたいという。
「どうする? 王都からは、迎えを出すぜってよ」
「結構です。自分たちでレベルを上げつつ向かいます」
「わかった。王都は狙われているから
次の目的地は、王都だね。
「わーい。王都楽しそう!」
マルちゃんは王都へ行くのを楽しみにしているみたい。
「王、都……」
なぜか、エリちゃんが苦い顔になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます