始まりの創造神からのメール
キャラクター画面を確認すると、そこには残り一つとなった職業枠の欄に【EX職業解放】と称した新たな項目が出現していた。
「な、なにがどうなっているんだ……?」
今までは上級職・複合職・基本職という枠組みの中から基本職しか選べなったはずだ。
それが今回、なんとEX職業として新たな選択肢が生まれている。
しかも俺が選べる最後の一つとなった三つ目の枠でだ。
こうなった理由が気になる。
めっちゃ気になる。
そんな事を思った俺はすぐに【ログ】を確認しようとしたが、期待していた【ログ】には解放に関するそれらしき記載が一切ない。
一体どういう事だろうか。
今まで全てのボーナス、またアプリの機能に関する出来事は【ログ】に保管されていた。
であるのに、今回はなんの前触れもなく項目が増えていたのである。
「つまり、アプリの力を上回る存在からの干渉……、という事か」
これまでの経緯からして、そういう事なのだろう。
そして、そんな俺の推察を見透かしてか、スマホには一通のメールが届いた。
「おいおいおい。そりゃあ無いだろ、あり得ないだろ。なんでメールが届くんだよ」
だってそうだろ。
この都市は今完全に九尾の異能により隔離されているはずで、その仮説が正しい理由として電気が通っておらず、スマホから検索サイトを利用しようとしてもネットに繋がらないからだ。
であるのに、なぜかメールが届く。
という事は、これはアレか。
ようやくアプリへの干渉者とのご対面というやつなのかな。
不審に思いつつも、ようやくこのアプリに関係する人物との繋がりを持てた事を期待してメールを開いた。
【始まりの創造神より】
優秀な創造神たる君へ。
いつも向こうの世界が世話になっている。
私はこの地球の……、いや、数多ある世界の創造者、【始まりの創造神】と呼ばれる者だ。
言うなれば私は君の先輩、といったところになるだろうか。
君も突然の事に戸惑っているだろうが、どうか冷静に聞いて欲しい。
まず最初に、このメールの目的を話そう。
それは君も気になっているだろうEX職業の解放と、そして私からのお願い、最後に警告についてだ。
EX職業の解放について。
これは私からの詫びと言ってもいいだろう。
本来、この地球における特異点の管理に関しては私が全てを担っていた。
であるのにも関わらず、後輩たる君に特異点の一つ、九尾に関する尻ぬぐいをさせてしまう事になった事、誠に申し訳ない。
その対価として、本来他の【創造神】達が持ちえない特権、EX職業へのアクセスを解放させてもらった。
これでは仕事の対価としてはまるでイーブンにもならないが、どうかこの窮地を乗り切るための手段として、とりあえず有効活用して欲しい。
次に私からのお願いについてだ。
まあ、お願いといっても君の意に沿わないような事ではない。
多少大変ではあるだろうけどね。
……具体的には、どうか君の創造した異世界の特異点達と同じように、土地神である九尾についても解決して欲しいという事だ。
君は今まで、創造した世界で愛のある解決をしてきた。
私は見て来たよ。
他の創造神達と違う、君のやり方を。
どのチャプターも素晴らしい、実に素晴らしい終わり方だった。
だからどうか、今回も君の思うままに、そして暴力だけでは到達できない【真の創造】を私に見せてはくれないだろうか。
……お願いというのは以上だ。
そして最後に、このお願いの対価として君に警告を伝えよう。
とても重要な事だ、心して聞いてくれ。
────君の世界に、他の【
では、健闘を祈る。
「ふむ…………」
これはアレだな。
懸念していた事がついに具現化してきた、と言った所だろうか。
まあ、当然このアプリが俺の手に渡った時点で、製作者なりそれに準じた同格の存在がいるのだろう、という事は分かっていた。
ただ、この世界では異世界で培った
しかし、その前提はこの星、この時代の地球に限定された事だとすればどうだろうか。
他の時代や別の星には、アプリという創造神の権利が別の形で存在していてもおかしくはない。
さらに、始まりの創造神とか名乗っていた者の想定で言えば、千年後における俺の世界では、どうやら何らかの理由で別の
「それ、すげえヤバいじゃん」
どういう接触かは分からないが、とりあえずロクな事にならないからこうして警告してきたのだろう。
確かにこりゃ、EX職業くらい解放してくれないと九尾にかまけている時間も無いわ。
これだけ優遇してもらって、やっと労力と対価のつり合いが取れるかどうかといったところだろう。
とはいえ、この始まりの創造神とやらがここまで俺に対し気にかけてくれるならば、利用しない手はない。
チャプターを進めて行けばどうせどこかで会う事になりそうだし、いまは利用できるだけ利用するまでだ。
「で、このEX職業と、奴のお願いについてなんだけど……」
お願いについては自由にやれっていうから、その通りにやればいい。
特に問題はない。
だが、こうして思考している間に流し見していたEX職業については正直、規格外と言わざるを得なかった。
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