トラしかいない。別にいいけど


 ファイアボールだけでなく、他の属性の魔法を使いながら歩き続ける。


 今のところ全てのエネミーが魔法ゴリ押しでなんとかなっていることと死んでも街にリスポーンするので、調子に乗って奥へ奥へと進んでいく。


「【フレイムウォール】」


 街で買った、初心者限定お買い得と書かれた魔法書の束にあった魔法の【火魔法】が【火炎魔法】にレベルアップしたためか、少し高度な魔法も使えるようになっていく。


「頑張ればもうちょっと奥いけるかな〜?」


 相変わらず襲いかかってくるのはフォレストタイガーのみであり、レベルが上がっているのか、少しずつ倒しにくくなってくる。


 フォレストタイガーの突進をフレイウォールで阻み、ついでにフォレストタイガーを燃やしにかかる。


「これぞ一石二鳥ってね?」


 ふんふふ〜ん、と変な歌を奏でながら奥へと進む。


「MPだけは異様にあるし、問題なし。あ、【サンダーボール】」


 リーフフィアが草むらから現れたフォレストタイガーに気が付き、魔法を撃つ。


「にしても、トラしか出てこないや」


 草陰から襲いかかってきたフォレストタイガーを難なく倒し、前へと進む。


「【ウォーターボール】」


 一撃で死ななかったフォレストタイガーをウォーターボールで窒息死させる。


「【アイスランス】」


 グサリとフォレストタイガーの胴体に氷の槍が刺さる。


 フォレストタイガーはダメージエフェクトを空に飛ばしてそのまま消えていった。


「流石、上位魔法。威力が違う」


 ただ、とリーフフィアは魔法を撃ちながら考え事を始める。


「【ファイアボール】【ファイアボール】【ファイアボール】【フレイムウォール】【フレイムウォール】【フレイムウォール】」


 同じ魔法を連発し、1匹のフォレストタイガーに当てる。


『スキル【多重展開】を獲得しました』

『称号【残酷者】を手に入れました』


「うん、予測通りと予測通りじゃないものも手に入ったね」


 新たなるスキルを手に入れ、エネミーを倒すのも楽になる。


 リーフフィアは何も考えずに、ただただ前進する。


「【ファイアボール】」


 一度言うだけで、同じ魔法が何個も展開される。


 1匹の敵に全てを当てることしかできないが、それでも楽に倒せているのは確かだろう。


「【サンダーボール】」


 リーフフィアが初回にしてこんな森奥深くまで来れたのは、MPは腐るほどあるためであり、MP消費量などのチマチマした計算をせずに済んでいるからだ。


『スキル【MP回復 Ⅰ 】を獲得しました』

『スキル【MP増加 Ⅰ】を獲得しました』

『スキル【魔法効率 Ⅰ 】を獲得しました』


 一度に連続で3つもスキルを手に入れる。


「やった!」


 何のスキルかもよく分からないのに、何故か喜ぶリーフフィア。


 しかし、その喜びは長くは続かなかった。

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