第193話 『 たっくさん気持ちよくしてあげますからね 』
深いキスをしながら手で美月の秘部に触れれば、吐息に嬌声がこもった。
それも構わず指を奥に進めていけば、温かい感触が指を通して伝わってくる。
「ココもだいぶ濡れてるな。そんなに興奮してたのか」
「そ、そんなじゃないです」
口では言い訳しても、身体は正直なようで。
「――やっ!」
ぐいっ、と指に力を込めれば、たちまち可愛らしい悲鳴が聞こえてくる。
「気持ちいいか?」
「そっ……んなこと聞いちゃ、やっ」
美月が感じている。普段ならこれくらいは平気なはずだが、やはり今夜は美月も興奮しているようだ。もしかしたら、晴よりしているかもしれない。
「今日は……貴方が気持ちよくなる日なのにっ……私だけはズルいです」
「感じてるお前を見たいから気にすんな」
「イジワルっ……んっ」
潤んだ紫紺の瞳にそう訴えられるも、晴は気にも留めず続ける。
既に辛そうに呼吸を繰り返しているが、今日はなんでもアリとの事なので美月には申し訳ないが唇を押しつけた。
「――んんっ……これ、ダメです。キスされながら……イジられて……頭っ、おかしくなりそう!」
そう言いつつも、美月は晴を拒絶する素振りはみせない。
だから晴も、欲望のままに美月を貪る。
「好きなだけ気持ちよくなればいい。俺もその方が頑張り甲斐ある」
「そんな努力しないでくださいっ……だ、ダメッ……本当に頭がおかしくなっちゃう!」
ビクビク、と美月が身体を震わせる。
どこが気持ちいいのか、反応を窺いながら指を動かし続けるから、美月は快楽から抜け出せない。
おまけに晴は欲求に従順になって首筋を舐めたり胸を揉んだりするから、美月としてはさぞ玩具のように弄ばれている気分だろう。
「晴ひゃん……もう私……」
「いいぞ我慢しなくて。いやしないでくれ」
段々と舌足らずになっていく美月が、晴の手をギュッと強く握った。
部屋に、晴の熱い吐息と美月の熱い吐息、それから煽情的な音が木霊する。
途切れ途切れの悲鳴がついに限界を迎えた時。美月の身体が一層強くビクンッと震えた。
「……はぁはぁ。あ、頭が真っ白になってる」
肩で息を繰り返し、口許から涎を垂らす美月。
「どうだ、気持ち良かったか?」
「今の私を見れば答えなくても分かりますよね」
「あれ怒ってる?」
調子に乗り過ぎたか、と頬を引きつらせれば、美月はジト目を向けてきて。
「怒ってません……ただ、これは私もやり返さないと気が済まなくなりました」
むっ、と頬を膨らませる美月。
いったい何をされるのかと狼狽すれば、美月は意趣返しとばかりに晴の下半身に触れて。
「今から私がたーっぷり、気持ちよくさせてあげますから」
「い、いや遠慮しとく……」
「あはは。遠慮なんてしないでください。さっき気持ちよくさせてもらった〝お礼〟ですから!」
「絶対お礼じゃないだろっ」
お礼ですよ、と語気を強くして美月は晴の男である証を握った。
くっ、とうめく晴を見て、美月は目を爛々と輝かせる。
これはマズい、と瞬時に悟る。
「好きにしていいと言ったのはお前だろ」
「たしかに私ですが、私を気持ちよくしてと言った覚えはありませんので」
「俺は誕生日の特権を使ったまでだっ」
「ならその特権でもっと気持ちよくなりましょうねー」
どうやら言う事を聞かずに気持ちよくさせたことを相当根に持っているらしい。
滾る晴の下半身を握る手に力がこもれば、ゆっくりと上下運動が始まった。
「貴方が私の気持ちい所を理解しているように、私だって貴方の気持ちい所を理解してるんですからね」
「お前は俺のことを知り過ぎだ」
「ふふ。当然でしょう。妻なんですから」
小悪魔めいた笑みを浮かべる美月が、艶めかしく舌を舐めずさる。
「とりあえず一回。私と同じ気持ち良さを味わってもらってもらいましょう。ここで果てないでくださいね?」
「それはお前の裁量によるだろ……つっ」
美月に主導権を握られてしまっては、もう晴の言い分は何も届かない。
夜はまだ長い。
更けていく夜と共に、夫婦は熱い時間を過ごしていく。
「たっくさん気持ちよくさせてあげますからね――貴方」
余談だが、晴と美月が第三ラウンドまで行ったのはここだけの話だ。
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