第144話 秘策
何とか
数と素のスペックが高かったこともあり通常のレベルupも起こる。しかし―、
ガタッ
「メイスっ!」
「ああ、スマンがしばらく動けそうにない。本来の開戦日時までは少し猶予があるだろう。悪いが休ませてもらうよ。」
殲滅魔法を使いった後、飛行魔法の維持も難しく降り立つとそのまま倒れ込んでしまうメイス。
そうだよな、無茶が過ぎる。
俺だって試験のときにソーマのポーションを使ったときはしんどかったが今回のメイスの負担はその上をいく。
まして加齢と今までの無茶も含めてだ。
「まずは休んでください。情けないですがあの
「ふっ、いつも自分で抱えるばかりだったタナカ君から無茶な仕事を頼まれるとはな。では、期待に応えるためにも今は老体を労ろう。」
前世なら50歳に老体は違和感があるがメイスは幼少期のリードライトの事件もあり、その後も壮絶な人生を歩んできた。
その影響か顔の皺などが深く、壮年期より上にも見えがちだ。しかしそれは男の勲章でもある、老骨だろうと戦意が衰えていないのだから、まだまだ前線で頑張ってもらうとしよう。
商人のアイテムボックスを使い、交代で休みながらまずは街へ向かう
本来の開戦日時までは後三日、それだけあれば消耗した体力と魔力の回復時間はある。
できれば街からはなるだけ離れた場所での接敵が望ましいが間に合うかはわからないし、厳しい戦いが待っている以上、こちらが万全でないと意味がない。
とにかくメイスの回復次第といった所だ。
これだけのドラゴンの行軍があったので他の魔物も恐れていなかったのだけは有り難かった。
食事を作って用意をしていると横になっていたメイスが目を覚ました。
まだ万全とは程遠いようだがそれでもやっておくことがある。
「目覚めたばかりで申し訳ありませんが必要なことなので。」
皆で食事を摂りながらドラゴン達との戦いの反省を含め、作戦を練る。
「出たとこ勝負で内容は良くなかったがそれ以上に最後の氷魔法であっけなかったのは驚いたな。
奴ら、万全じゃないのかもしれないな。」
ドラゴンとの戦闘経験が豊富なラディッツオが話し出す。確かに決して弱いわけではなかったはずだが最後が呆気なかったのはその通りだ。
「メデスの直接指示を受けた龍神とそこからさらに急に呼び出されたドラゴン達では色々と事情が違ったのかもしれないな。
そのあたりは人間社会と変わらないのかもしれない。何よりこの時期は魔物に取っていい時期ではないからな。
そういう意味でいえば次の侵略は本当に恐ろしい。春、万全の魔物が襲ってくるわけだからな。」
「まあ、先の話は一旦置いておこう。残った
メイスが話を引き継ぐ。どうやら交渉のときから気になっていたが何やら考えがあるようだ。
「―――――――、っというわけだ。どうだ、敵の戦力は鑑定を使っても計り知れない未知数だ。ならば私に賭けてみないか。」
……、今さら賭けるも何もない。そのためにメイスを街の仕事でもフリーにして、それがようやっと実ったというんだ。
「……、いいでしょう。それなら街の近くでも戦える。いい目が出ましたね、メイス。」
俺が応じてみせる。しかし、他のメンバーから不平が飛び出した。
「おいおい、聞いてねーぞっ。たくっ、メイスの旦那はいつもこれだな。慎重派気取っといて根っこは博打打ちだよな。
タナカも隠していやがって。まあ、いい。尻拭いはしてやっから、やりたいようにやって見せな。」
「ハアァ。まあ、あんな怪物に策があるってだけマシだけど。これが終わったらご褒美用意しておいてね、タナカさん。」
口では文句も言っているがラディッツオもユキも本当はわかっている、勝ち目があるかわからない龍神相手に勝利の望みが出た言うことを。そして、
「俺からも、一つ報告が。ドラゴン戦によるレベルアップでジョブレベル8のスキルブックが作成できる最大MPとなった。
今はMPの消耗と
そうなれば本格的な『パンドラの森討伐』が始動できる。やられっぱなしじゃない、こちらから反撃する番だ!」
この戦いでは使えないので敢えて伏せていたが他の望みができたことで鼓舞する目的で皆に伝える。
後はこの窮地を脱するだけだ。
―その夜も明け、三日目の昼。遂にリードライトの手前で鎮座する
最終の第3ラウンドの始まりだ。
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