第134話 宣告
彼女―メデスの真意はいまだわからない、しかし彼女がただの蛇神の世話役でないことは明白だった。彼女の言葉の真意を計りかねていると痺れを切らしたメデスが続けて口を開く。
「はぁ〜、胆力もなければ特別頭が回るってわけでもなさそうね。まぁ、慎重さは確かに大事よね。
人間の利点なんてそれぐらいしかないんだし。
それでももう退屈だから帰るとするわ。
今後はどうしようかしら。
そうね、この街って確か『勇者』が生まれる予知夢を見たから街ごと
……、うんそれなら面白そう。早速帰って準備しましょうか。」
彼女の素性はいまだ謎だらけだがそれでも今のセリフからハッキリとしたことがある。それは、
「……、お前か。この街―リードライトを破壊した首謀者は。」
「なっっ、それは本当か、タナカっ!!だとしたらここでコイツを始末できれば私達の街を守れるのかっ!」
メデスの言葉がわからず様子を見ていたエレイシアが俺の言葉に反応する。ララもまた、敵意を剥き出しに彼女を睨みつける。
それはつまり彼女達の街の結界への破壊工作の黒幕もまた彼女だと思うに足る情報だったからだ。
「ええ、そうよ、この街を焦土にしたのはこの私。やっと警戒より敵意が出てきてくれて嬉しいわ。
それと西の街の結界のこと?
まだ数年は手を出す気はなかったけどそうね、、、。期限を宣告したほうがこっちも面白そうかしら。」
俺とエレイシアに返答するメデス。どうやら彼女もまた『翻訳』スキルを持っているらしく今度はエレイシアにもわかるように会話をしていた。
未だ『底』が見えない彼女により一層、警戒心を抱くがあまりにも唐突な首謀者の登場にベストな対処法が思いつかない。
このまま話の主導権を握らせておいていいのかすらわからないが彼女がここでやり合うつもりがない以上、コチラから刺激しないほうがいいことは間違いなさそうだ。
「二人ともここは抑えてくれっ!二人の故郷のためにもだっ。」
「賢明ね、そっちから仕掛けてきたらいくら
それじゃあ『書記』のおじさんに合わせて『戦争協約』でも結んで、それで今日はお暇するわ。」
戦争協約?何やら物騒なのか、それとも話し合いの余地のある相手なのかわからない単語がでてきたが。
しかし、その後に出てきた言葉によってその真意は全くの別物であることを知らされる。
「要するにハンデ代わりよ。今回あなたのことを知ったのはたまたまの偶然だしね。
ちょっとした『魔王』の精神干渉スキルなんだけど、こんな出先でそれも戦う気のない場所での出会いだけっていうのもきまりが悪いから。
『この世界の悪役』らしく振る舞おうってわけよ、それじゃあ本題。
私は基本、
でもあなた達がやってこないならその時々に人間の街を
まずは二週間後、この復興途中の街をドラゴン達が襲いかかります。
これは余興だからダンジョンに来るより素直に受けた方がオススメよ。私が直接ここに攻撃することはないけど
本命はその次。今年の冬が終わって庭のペット達が目を覚ましたら例の西の街へ総攻撃を仕掛けます。規模はここを廃墟にしたときと同程度よ。
この侵攻はアナタ達では止めるのは絶対に不可能だから、無謀だとわかっていてもダンジョンに挑むアナタ達を弄ぶのはさぞ楽しくなりそうね。
言っておくけど侵攻をやめさせるにはダンジョンマスターである私を倒さないと止めることはできないから。」
―そう、これは『戦争協約』なんて生ぬるいものではなく、一方的な人類への『処刑宣告』だったのだ。
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時間の猶予ができたのでまた更新頑張っていきたいと考えています。
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