第117話 各々の役割

 ラディッツオとララの二人にそれぞれ鍛冶師と錬金術師の修行が始まり三週間。その間、こちらも忙しくなってきていた。

 本格的な冬の前に「伐採」スキルなども配り、活用して炭作りも間に合わせた。

 それでも足りない物も当然出てくるので「商人」の住民を行商へと出て貰う段取りをつける。

 

 「変装」と商人の「アイテムボックス」のスキルブックを渡し、またユキの「移動速度上昇」をlv10まで上げて、護衛というより護送でつけることにした。


 今回初めてここで通常lvを10まで上げたが、やはりここがカンストのようで、試してみたが次のスキルブックは使えなかった。

 その代わり、10の効果は凄まじく9までの伸びの倍以上の効果があり、ラディッツオと二人で駆けっこをしてユキが勝ち、はしゃぐほどの効果があった。


 これだけの速度ならAランクの魔物がいても問題なく逃げられるので安心して行ってもらうことができる。

 商売は商人の住民に任せ、ユキにはそのまま街での情報収集にあたってもらい、王都の動きやララの街の様子、また俺達が掴んでいない森の情報なども集めてもらい10日後には帰還予定だ。


 ラディッツオとララも工房に籠もる時間も増え、メイスも時間を自身に費やし、やや街の警備が手薄になってしまったが仕方ない。

 やることをやらねば前進はないし、物見だけなら必要最低限の建築が終わり、手の空いた盗賊達を立たせている。

 「証文」にサインしたものであれば信頼して仕事を任せられるのは大きかった。


 俺はというと在庫管理、住民達の生活と仕事の割り振り調整、手が足りないときは自ら出て穴埋めと、夜は集めた情報整理と今後のスケジュール管理と大忙しだった。

 もうなんかやってることがギルド職員時代とほとんど変わらないのよ、、。

 どうしてこうなった??


 結局スケジュール調整には俺の「スキルブック作成」スキルで何を作成していくかが肝となるので、他に頼ることもなく一人でこなしていくのが手っ取り早いのだ。

 俺も手に職つけて錬金術師などやってみたかったが、既にララに最大MPも追い越されているので「書記」では不向きなのはわかっている。


 まあグチグチ言っていても仕方ない、ユキが戻って来たときは遂に待ちわびた最初の森への遠征が待っている。

 今回は俺達の実力的にもAランクの魔物中心になるがしっかりとレベル上げと素材確保していかないとな。


 

 こうして俺達も各々の役割を果たしつつ、出陣の準備が整いつつあった。

 ―しかし、街からもたらされた情報は想定よりも不穏なものだった。

 

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