第116話 順次
俺がホッカさんの工房への出入りを許され必要な素材も卸すことで必要な知識、ジョブスキル、工房をこの街でも用意できた。
最高レベルの装備品を手に入れるためには他に必要なのは鍛冶に影響する
俺達の中ではラディッツオが最適任となる。
「じゃあこれ目を通しておいてね。」
「おいおい、マジかよ。ホント何でもアリだな、お前のスキルは。」
『自動手記』で書き起こした鍛冶の手順などを書いた紙束をラディッツオに渡す。必要最低限の鍛冶用具は王都で購入しているし後はジョブスキルで実際にやってもらっていく中で用意してもらおう。
さて、鍛冶師の次は当然もう一つもなんだが一気にやると他の進捗にも影響するからな、今日の発表はこの辺にして食事を済ませると片付けを任せて部屋へと戻る。
そろそろ本格的に冬の森への魔獣狩りの作戦を考えねば、冬の森は当然険しく危険なのだが眠っている魔物もほとんどなので実は狩りの季節なのだ。
殲滅よりもまずは各個撃破してしっかりと全員のレベルアップをしつつ強敵を減らしていきたいと書き起こした資料に目を通していると部屋をノックする音が聞こえる。
「休みの時間にすまない、っと君はまだ仕事中だったか、変わらないね君も。」
「頭を整理するために目を通していただけですよ。それよりどうしましたか?メイス。」
現れたのはメイスだった。先ほどの話に何か思うところがあったのだろうか。
だがちょうどいい、一人で開けるのは気が引けていたのだ。共犯になってもらおう。
「立ち話もなんなのでどうぞ、実は秘密ですがお酒がありましてね、軽くやりましょう。」
やはりどこか郷愁の念があったのか昼間は表情にも出さないがメイスの様子はここ最近変わったところがあった。
二人で酒を煽りその夜は更けていった。
翌朝から用意したスキルブックを読んだラディッツオの悪戦苦闘が始まった。
流石にジョブスキルがあるから大丈夫というほど簡単な職業ではないがやってもらわなければ困る。
必要なものは用意したんだ、後は試行錯誤していけば俺達の分の装備だけでも冬の前に準備が整う筈だ。
まる一日工房で素材と俺の資料とでにらめっこしていたようだがエレイシアも補助につけて頑張ってもらっていた。
他の仕事も順調に進んでいる。住民達との仕事の話し合いもララが仲介に入ると堅物の俺より上手くいくようで随分と頼っていた。
そのララもエレイシアとラディッツオがいい感じになってからは機嫌も良くなったので一安心していたがそうもいってられなくなった。
その夜、今度は俺がララの部屋へと訪ねる。
夜に女性の部屋を向かうのは緊張するが仕方ない、本命に振られてしまったのでララはなんとしても口説かなければならないのだ。
まずは二人きりで話し合いの場が必要だった。
「え、タナカさん。こんな時間に、、。」
「ああ、遅くにすまない。けどどうしても二人きりで話したいことがあってね。俺達のこれからにとても大事な話なんだ、部屋へ入れてくれるかい?」
「……はい、覚悟はできてます。タナカさんもやっとその気になってくれたんですね。その、嬉しいです。」
どうやらこちらの考えはわかっていたようだ。
流石は聡明なララだ、その上覚悟を決めてくれていたとは本当に助かる。
「そうか、ありがとうララ。じゃあ先に渡すものがあるんだ。」
俺の言葉に目を輝かすララ。ふむ、どうやら元々憧れでもあったのかもしれないな、この反応は。
好奇心旺盛な所は割とあると思っていたがこんなにやる気があるのは喜ばしい。
「……嬉しいです、あの魔石も大切に持っていますけど他にもちゃんとかたちに―」
「じゃあこれ錬金術師に必要な資料ね。スキルブックは明日渡すから。」
持ってきた紙束を渡す。よし、これでアイテムの目処も立つぞっ。ララも既にレベルを40まで上げることができている。
森以外でも北方は強い魔物がたくさんいるのとメイスとラディッツオがいるので安定して強い魔物相手に狩りができたのが大きかった。
錬金術師に必要なステータスは
「あっ、はい。」
俺に資料を渡され返事をするララ。
喜んでいたように見えたがやはり急に錬金術師になれと言われても現実感がないのかどこか上の空のような返事をする。
夜でランタンによる灯りの影響か、あんなに輝いて見えたララの瞳が絶望で黒ずんだように見えたがまあ錯覚だろう。
さて、了承はもらえたし明日からまた忙しくなるぞっ。帰って休むとしようか。
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体調不良が長引き更新が一週間ほどできませんでしたがこれからまた頑張っていきたいと思っていますのでまたどうかよろしくお願いします(_ _;)
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