第109話 大技の結末
キマイラの獅子の顔面から熱気がこぼれる、しかし戦闘の最中にこれだけ大きな隙は例えこちらが山羊と蛇の相手をしているとはいえやりすぎだっ。
「ハァぁッ！」
呼吸を合わせ剣と盾が接地している面から力を連動して相手へと伝える合気、伝説の『呼吸投げ』。
漫画の世界だけの技だと思っていたが俺もすでにその領域のようだ。
相手が息を吸っているときは崩しやすく吐いているときは逆にダメージが通りやすいから当身が有効と聞いていたが実際キマイラは後方へ吹っ飛びブレスも明後日の方向へ飛んでいく。
キマイラがラディッツオと動きが同等といったがスピードは確かにそうだが崩れた態勢の立て直しとなるとそうではない。
頭が獅子と山羊とある分だろう、強力ではあるがバランスが悪くラディッツオのように空中で回転して着地とはならなかった。
―好機、、しかし焦るなっ。俺の剣とジョブスキル、ステータスでは決定打になるかわからない。
レッドウィングリザードよりもナリこそ小さいがその身に秘めるポテンシャルは圧倒的にキマイラが上回っているのだから。
一瞬の隙に戦況を確認する。
メイスは取り敢えずは大丈夫そうだ。地の利ならぬ天の利はメイスにあるようで飛べるとはいっても飛行スピードも制御能力もメイスが上回っている。
しかし一撃でも貰えば戦況は傾いてしまうだろう。
魔法使いであることと加齢によりメイスのＨＰと
対してもう一方は逆にラディッツオが攻めあぐねていた。
俺と違いリーチと決定力となり得るオリハルコンの槍を有しているがキマイラほどの魔獣になればオリハルコンの脅威がわかるのか距離をとり牽制している様子だ。
ラディッツオも深く踏み込みたいが多角的に攻撃できるキマイラ相手にあと一歩踏み込むタイミングを逸していた。
だが距離を取って戦っているのは都合がいい、ちょうど俺はその戦いの側面に立っている。
仕掛けるなら今だ、
「
ラディッツオと対峙しているキマイラに向けて単体炎魔法を放ち牽制させる。
山羊の視野のおかげがすぐに反応し避けるがその隙にラディッツオがジョブスキルの準備が整う。
「いくぜっ！
キマイラがこちらを気にしている間に槍使いジョブレベル8で取得する最強単体攻撃が炸裂する。
こちらの意図に咄嗟に合わせ攻撃を決める、流石はSランク冒険者のアタッカーをやっていただけあるぜ。
「「グルルルゥォオー、シャァァッ」」
「オラァァｰｯ！！グッ、ガッハァッ」
貫かれながらも抵抗するキマイラだが獅子と山羊の顔が粉砕される、恐ろしい破壊力だ。あんなもん受けようとしてたのかよ俺は。
しかし最後っ屁で尾の蛇が伸びて廻り込みラディッツオの首元に噛み付いてそのまま絶命する。
マズイッ、キマイラの蛇は毒持ちの筈だ。ラディッツオのステータスなら簡単に瀕死になることはないだろうが毒が回れば援護にこれなくなるぞっ。
「グルルルゥォオオ！！」
俺とて既に態勢を立て直して再び攻めてくるキマイラに襲われている。この小盾やMPを消費するプロテクトではそう何度も受けられないぞ。
メイスも飛行魔法のMPが尽きれば勝ち目はなくなってしまう。
ラディッツオも警戒していただろうがどうやらあのキマイラの尾の蛇だけは亜種進化という個体差で異様に伸びたように見えた。
翼の奴といい個体差があるのは厄介だ。
思わぬ苦境に立たされながらも戦いは無情にも続いていく。
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【お知らせ】
サポーター限定公開近況ノートにて3章の登場人物ならびこぼれ話を公開しました。
気になる読者様がいればご一考ください(_ _;)
戦いは続きます。まだの方は是非作品フォローをして続きをお楽しみください(_ _;)
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