第106話 不穏な言葉
捕まえた盗賊達は人質になるかわからないので門の柱にくくりつけて見張りとしてラディッツオを置いておく。
街の西門から入って15分ほど歩くとかつての商店街の跡がありその一角が盗賊達の根城だ。
外で魔法を使って派手に倒したのでもう残りの奴らにもこちらのことは伝わっていたのだろう、アジトの前で残りの盗賊達が既に臨戦態勢で待ち伏せていた。
人数も自白剤で吐かせた人数と合致している、伏兵がいないのは総力戦を覚悟しているということか。
「私は上空から戦局を見て逃げ出す敵の補足に徹しよう。散り散りに逃げ出されたときはユキがフォローに入ってくれ、無理に戦闘する必要はない。
エレイシアはララの護衛だ。では任せたよタナカ、暴れてくれたまえ。」
作戦指揮を任せたメイスから今度は俺の指名が入る。廃墟とはいえこれから復興したい街中なので範囲魔法を使わずに倒すとなると理に適ってはいるしまあ信頼の証として受け取っておこう。
リボルバーを引き抜き距離がある状態からの早撃ちで敵の武器を持つ手と足を瞬時に撃ち抜く。
「グァーッッ、何だこの攻撃はっ!!」
王都での
銃弾もこれで残り50発を切ったがこの先の森とダンジョンの敵には有効とは思えないのでまあ構わないだろう。
しかし前にいた7人には命中したものの後ろに隠れ部下を盾代わりにした頭領らしき男だけが一目散に逃げ出してしまった。
部下を犠牲にして自分だけ助かろうとする上司など元社畜として見過ごせん、成敗してやろうというところで
「
上空からのメイスの雷魔法によって先に仕留められ失神してしまった。降りてきたメイスに
「雷なら街への影響も少ないですしはじめから範囲魔法でも良かったのでは?」と聞くと
「いや、雷の範囲魔法は命中率が落ちるのと撃った後の光が目眩ましになって逃げられる場合があるから得策ではないのだよ。」と教えてくれた。
なるほどね、本職から学ぶことは多い。
しかし飛行魔法は便利性もそうだがやっぱり早く俺も欲しいな。
王都にいる間の終わり頃にジョブレベル6までのスキルブック作成は解禁されたのだが7はまだなのだ。
優先順位としてはやや疑問符だがそれでも俺だってファンタジー世界にきたのなら空を自由に飛びたいと思うのは当然だろう。
「なんだ、またおじさん達だけで解決しちゃったのね。もうあなた達3人だけでいいんじゃない?」
結局見ているだけだったユキが口を挟むと
「こんな盗賊達相手ばかりならね、しかし今後、森を目指すのならパーティーメンバー全員が今の私達以上になってもらわねば到底討伐など不可能だろう。
森には私やラディッツオでも単身では勝てないような魔物がごまんといるのだから。」
メイスがそう窘めた。
―そんなメイスの言葉が脅しでないことを俺達はすぐに思い知ることになるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます