第102話 合流
翌朝、ようやくエレイシアとの合流の予定日を向かえた。これでメンバーが揃い本格的に行動できるようになるだろう。
外に出てから王都内での状況がわからず不安もあるが何かあればそのときはまた中に入って強硬手段も辞さないつもりだ。
ララも期待と不安が入り混じった表情をしていたので元気づけておく。
「大丈夫だよ、会ったら誉めてやってくれよ。何せ君のためにこのラディッツオに怖れずに一撃入れて倒したんだからね。」
対峙した俺だからわかるがそれは人類としての偉業に入るレベルだろう、いやホント怖かったわ。
「ああ、奇襲とはいえ人間にあれだけクリーンヒットされたのは人生初だな。いい女だなアンタの騎士さんは。貰っていいか?」
なんて冗談を挟むラディッツオ、…ジョーダンだよね?
合流地点は北門から北東へ3キロほどの場所と決めておいた。
ララが攫われた一件の事後処理が一通り終わればエレイシアは屋敷を出ていく立場だったのでそのまま地元の領地に帰る予定を使って行動してもらった。
時間通りに向かったのだが既にエレイシアの人影が見えていた。どうやら向こうもララとの再会を待ちわびていたようだ。
ともあれ予定通り来てくれて一安心だ。事情聴取なども問題なかったのだろう、俺の取り越し苦労だったな。
他の人影も見当たらないのでここから先は2人の時間でいいだろう、ララ以外の俺達は一歩引きララは走り出していた。
ああ、美しきかな百合の花、間に挟まれる汚いおっさんになるわけにはいかないので大人しく待機していよう。
「ああエレイシア、無事で良かったわ。私のせいで捕まったかと思うと苦しくて私、」
「お嬢様もご無事で何よりです。それに何かあってもそれはあなたのせいではありません、私自身の意志によるものです。
…いえカッコつけてしまいましたね、力がなく諦めるのことしかできなかった私を騎士として使ってくれたのは向こうにいるタナカさんです。感謝ならそちらに言ってください。」
「もうお嬢様なんてやめてエレイシア、これからは一緒の冒険仲間でしょ。初心者だから色々と教えてね。」
抱き合いながらの2人の会話は最初のこのあたりまで聞いたら後は少し距離を取った。これ以上聞くのは野暮というものだろう。
暫くして落ち着いたのか2人でこちらに向かってくる。
そこでここまで黙っていたラディッツオが口を開いた。
「さて、感動の再会もできたことだしそろそろ聞かせろよ、今後の方針って奴をよ。
全員揃うまでって勿体つけやがって。」
このパーティーの名目上のリーダーはラディッツオとなる。
Sランク冒険者である彼だからこそ地底古代文明ダンジョンの攻略証明が認可されるからな。
それとは別に実際の作戦指揮などはやはりメイスに任せることになると思うがそれまでの準備の段取りは俺の領分だろう。
遠足のしおり作りは「書記」の仕事なのだ。
さてミーティングは全員参加が基本、揃った所で仕切らせてもらうとするか。
「我々の目的は『森』と『ダンジョン』です。そのための一番の課題から解決しましょう。
それは拠点です。」
ただ無法地帯だからと北東にきたわけではない。街へ入れない俺達だが現状ゴールとの距離すら測れていないのでは闇雲に突っ込んでも返り討ちになる。
必要な物資はアイテムボックスに入れてきたとはいえ、いつまでもテント生活では不平不満も出るし能率も落ち、限界はいつかくる。
「メイス、あなたの目的は森の討伐で終わりではないでしょう、あの街―リードライトを復興したくはありませんか?その足掛かりにもなるかもしれません。」
都合のいい場所ならある。まずは廃墟の街へ向かおう。俺のスキルがあれば多少は住めるようにできる目処も立つ。
―次なる目的地を掲示し俺達は歩みだした。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
唐突に始まる廃墟復興スローライフ要素。
とはいえ無法地帯ゆえバトルもあるのでお楽しみに。
これからの拠点となる街の名前には普段お世話になっている「カクヨム」様から名前をとらせていただきました。
サポーター限定近況ノートにて王都編終了時点でのタナカさんのステータス公開しました。
本編に触れなかったスキルなんかもあります。
気になった方はご一考ください(_ _;)
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