第35話 拳銃射撃術
ギルド長室を出て階段を下ると件のアイルさんが依頼の張り出し掲示板のほうへやってきていて目が合い一瞬睨まれたかと思って身構えてしまう。
切れ長のまつ毛のキリッとした美女だ、20年見てきたがブライアンの好みはいつもこの系統である。
ただ睨まれたと思ったがその後困った顔をしてすれ違いざま、
「その、みんな反省してますので戻ってきてくれるの待ってますね。」
と言われた。
俺は何も答えずギルドを後にした。
なんつーか揃いも揃って音を上げるの早くね?
5日だよ?病欠とかしてこなかったけど事故やトラブルでも全然ありうる日数でなに25日後みたいなテンションなんだよ。
こんなんじゃ30日かけて試験クリアしたときギルドないんじゃないかと心配になるぞ。
ただまあ頼られるのは嫌いじゃない。
そこはそういう人間だと諦めて試験を早めにクリアできたら残りの日数はある程度の立て直しの手伝いくらいはしてやるつもりだ。
そのほうが「俺」がスッキリする
まあ皮算用している場合ではない、Dランクダンジョンなんて入ったらまた書記の机上の空論が通じないなんて普通にあるからな。
ただ今はこの秘密兵器を早く試したい。時間は昼前だしトンボ返りでリベンジへ向う。一度通った道で急いだこともあり15時前には何とか着いた。
これなら少しならダンジョンに入る時間もあるだろうと歩いた疲れも忘れ中へと入っていく。
と頭の中で1階層と2階層どちらにこの先が繋がっているかイメージする感覚がよぎる。
どうやらこれが話には聞いていた行った階層を選べるってやつか。
慎重にいくなら同然1階層なんだが勢いよく啖呵を切った手前2階層に挑戦したくなる。
試し撃ちはしてきてるし動作は問題なかった、後は実戦だと思い切って2階層へと入っていった。
すぐさま弓と投石のゴブリンが表れジワリと距離を取りながら広がり囲もうとしてくる。
が、そんなのを小細工とばかりに轟音がなり弓のゴブリンが悲鳴を上げうずくまる。
そちらを無視して投石のゴブリンにも一発かましそのまま接近して剣を一閃、その後に弓のゴブリンにも止めを刺す。
これがコボルトなら致命傷でなければそのまま襲ってきて厄介だったろうがゴブリンは知能がある分痛みに弱いようだ。
投石も弓も全身を使った精度を要求される動作だ一発貰っても攻撃するのは難しい。
この武器ならむしろ1階層より2階層のが戦いやすいかもしれない。
棍棒の方が前に出て盾になり後ろから近づいてきたダガーの方が革の鎧の隙間にダガーをズブリとか一応はありえるし。
やはり新兵器は強力だ、、
とっここまでで引っ張ってネタバラシもないほどにバレバレだがその兵器とは拳銃である。
今使ってるのは構造を比較的図面で伝えやすいリボルバー式の拳銃にした、装填数は5発だ。
構想事態はもうずっと昔。それこそこっちきてすぐの頃、俺でも冒険者になれる方法を考えその中で思いついたのがいわゆる前世知識チートの拳銃作りだった。
火薬はユーリーが扱っていたのだが残念ながら俺には拳銃内部の作成方法の知識はなかったし作れる技術もないので半ば諦めていたのだが、
ジョブスキル「図面作成」を手に入れると完成形を「自動手記」を併用し書き起こしそれを「図面作成」によって製作図を用意できた。
材料は前世で高級品はチタンでできていると聞いたことがありこの世界にはチタンの剣があったのでそれを鋳造して使って貰い細かい所の部品は他の材料で試行錯誤してもらう予定だった。
まさか鍛冶師のジョブスキルで作って貰うとは予定外だったが。
とはいえ拳銃なんて当然使ったことがなく手にしてもろくに使えないのなら意味はないのだが転機は最大MPが30を超え、戦闘技術系のスキルブックが解禁されたときに訪れた。
結局取得した剣術以外にも当然種類はあり槍術、弓術などやそれに合気道も出ていたのだがその中にあって一際異質だったのがこの「拳銃射撃術」だ。
実は前世の高校生の頃とある出会いをきっかけにこのリボルバーと拳銃射撃術について見聞きする機会があったのだった。
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