第36話 出会い
あの出会いは俺が前世の高校生の頃、通いの合気道の道場に着くと客間で師範代とガタイのいいワイルドなおじさんが話していた所からだ。
まず師範代の方から話すとこの方は小学生の頃から指導してくださった俺の恩師で多分だが全国の道場の師範代クラスの中では強い方ではなかったと思う。
けれど小学生の俺からしたら技はキレ、憧れ高校生になった頃にはその人間性を尊敬していた。
きっと俺の原点はこの方でこんな大人になりたかったのだ。
妹が臓器移植が必要な病気だったこともあり「お前は強くなってくれ」と道場に入れてもらったが、その後は両親は妹にかかりきりだったため俺にとって父代わりのように相談できる唯一の人だった。
今こんなことを思い出すと前世のあんな終わり方をしたのは師範代だけには申し訳ない気持ちになってくる、がもう随分と昔の話だ。
今前を向けばきっと許してくれるさと悔恨を振り払う。
話を戻すとそのおじさんは師範代の友人で昔はこの道場のライバル同士だったとか、タイプが違いすぎてイメージできなかったけど。
そのおじさんは元々は銃器マニアで好きが講じて警察官(合気道やってたのはここの影響)、 次いで自衛隊員になり今はそれも辞めて海外をフラついているという風変わりな人で当時内気な俺にも向こうから話しかけてくれた。
銃の話になると俺も高校生だったので興味を示すとその中で当時始まったばかりでまだ配信者なんて言葉がない頃の今じゃ誰もが知る最大手の動画配信サービスで
「俺が動画出してるから見てみろよ。」
と教えてもらった。
こちらに来る前の頃に比べると酷い画質の視聴者向けにも作られていない再生数も伸びていない動画だったがその銃声を含め高校生には刺激たっぷりで
色々とマニア向けに語っているのを大して理解もできずにワクワクと見ていたのを思い出す。
そんな青春の1ページがまさか俺もそのおじさんと近い年齢になってから役立つとは人生本当によくわからんものだなと気持ちよく快勝できたから悦に浸っていたがここはダンジョンの中だ、気を引き締めよう。
作って貰った銃弾は全部で50発。
銃弾の仕組みなんかもその動画のリンクから見ていたのだがやはりというか作るのは銃弾も大変らしく新しいジョブでの装備品を教えたお礼にとお弟子さんも総出で夜遅くまで作っていただいた。
お代も要らないという。
ホッカさんが一度そう言い出すと聞かないので有り難く頂戴した。 50発では無駄撃ちはできない。
「拳銃射撃術」lv1で何とか胴体に一発いれて後は剣で薙ぎ倒していく。
慣れてくると弓の方に一発入れてから投石の方に剣で突っ込んでいく節約もできた。
剣術lv2なら弓は無理でも投石なら動きを見て躱しざまに斬りつけることができたからだ。
2階層は問題ないな。
続けて3階層へと足を踏み入れる。
3階層は1階層と2階層のゴブリンの内から3体で襲ってくる。
―試験は続いていく。
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