第33話 秘密兵器
帰路につく途中にホッカさんの鍛冶工房が見えた。前回のお酒を酌み交わしたとき攻略の助けになる物の相談をしていたのだが正直外道戦略というか上手く行かない可能性が高い。
また、まだ頼んで日数も経っていないのでできている筈もない。
しかし今日の午前でのグダっぷりや先程いいモチベーションを貰ったので取り敢えず顔だけはみせておこうかなと向うといい時間なのに明かりをつけてまだ何かやっているようだ。
「オヤジさん、近く寄ったから顔だしたけどこんな時間まで仕事熱心だね。」
中に入り話しかけると、
「おぉ、きやがったな。完成品とはいかねーがいいとこまでは出来てるぜ、ついてきな。」
と案内される。うおっ、気持ち悪いくらい機嫌がいいな。こんなオヤジさん初めてみたかも。
てかもうそこまで出来てるのかよ、流石この街一の鍛冶師だ。
鍛冶師や錬金術師などの生産職は決してジョブスキル頼みではなく五感すべてを使って作る者こそいい仕事をするとされている。
流石はホッカさん、ジョブスキルで作れる以外の鍛冶でも一流だと感心していると
「オメーには感謝するぜ。どこでそんな図面手に入れたかは知らねーが取り敢えず形だけ作ったガラクタはろくに動きもしなかったがそんときにな、ピーンときてよ。
どうやらこれは失われた鍛冶装備品だってよ。」
っと驚きの回答が出てきた。
感心は返してほしいがそれは置いといてどういうことかというとおそらく俺の「スキルブック作成」と同じでジョブスキルで鍛冶するとしても物を『知っておく』というのが1つの条件なのだろう。
だからこそ鍛冶師や錬金術師は徒弟制度を採用して師の仕事を見ておく、そうして装備やアイテムは受け継がれていくのだが中には伝承が途切れるものもある。
今回は図面から一度作ることでジョブスキルで作成できるようになったってことか。
どうにもこのパターンは俺の頼んだものは「地底古代文明ダンジョン」にはあるロストテクノロジーなんだと妙な納得をしてしまいそうになる。
ともあれジョブスキルを使用しての鍛冶ならば信用できる。
しかしオヤジさんほどのジョブレベルで作成したものが完成品じゃないっていうのはどういうことだろう?材料の問題かな?と聞いてみると
「材料は一度作って鍛冶装備品としてわかれば問題ねぇ、大方はオメーの言うとおりだったぜ。ただまあ、―が。」
問題点を指摘するホッカだがそれなら大丈夫だ。
今夜その問題点は解決する。
これはEランクダンジョン攻略への大きな前進になりそうだ。待ってろよ、2階層!
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