第20話 初討伐

 街の門へ向うと直前に待ち構えていたように先程の武器屋のお弟子さんがいた。


「あっ、やっぱり来ましたね。オヤジが朝早くに初心者冒険者が一式そろえに来たら昼には森へ行く、この街じゃ常識だ、なんていうから待ってましたけど無駄骨にならなくて良かったです。」


 なんて話が見えないことを言う。


「オマケした内容オヤジに伝えたら拳骨貰っちゃいましてね。

 『あの森にいく奴に剣オマケしてどうする。コボルトにBもCも関係あるかっ。あの剣をスライムで錆びさせる気か、素人にオマケするなら靴だろうが!』って。」


 スライムは魔素のある場所で水溜りができるとそこに魔石ができてスライムになることがあるとされている。

 非常に弱くてスライムにやられたなんて話は聞かないが斬ると酸性があるらしく少しづつ錆びるのだとか。

 

「で、剣はもういいからこれ持ってけって。」


と一足の靴を渡される。


「そいつは皮革こそCのボアですがオヤジ自ら鍛冶して付与がついています。

 丈夫で何踏んでも安心、防水でそれでいて軽い。売れば金貨20枚にはなると思います。」

 

 初心者冒険者には何とも有り難いものをさらに渡してもらった。付与とはジョブ「鍛冶師」の高レベルで手に入るスキルで能力が追加できるらしい。


「ははっ、こりゃあ直接お礼言いにいかないとバチがあたるな、お礼は伝えなくていいから今度上等なお酒持ってきますとだけお願いするよ。」


「はい、それとこれは俺が打ったものでまだ店には出せないような物ですがスライムには十分なので今朝は少し降ってたので出たら使ってください。」

 

 と短めのレイピアを渡される。


 スライムは内の魔核を攻撃すれば簡単に倒せるが斬りつけると抵抗で魔核がズレるので初心者には難しいらしく突くのが基本だ。

 出来は俺にはわからないがスライムで使い潰していいというのなら有り難く頂戴する。


「色々と悪かったね。俺のせいで拳骨まで貰っちゃって。これ、ここまで来てくれた分とレイピアのお代だよ。」


 と金貨一枚握らせる。


 お駄賃にしてはデカすぎますよという相手を今日が初戦闘だから気分良く払わせてくれというと無事を祈ってますと礼をいい帰っていく。


 靴を履き替え元のを魔道具袋に入れる、サイズが合うのは装備品の特徴らしい。

 門兵に冒険者カードを見せ外に出る、当然この世界に来たときの門兵とは違うがあのときのことを少し思い出す。


 そのまま進み森に入る、確かに森の中でも歩きやすい。入ってすぐでも今朝の小降りでスライムがみてとれた。

 スライムなので対して警戒せずにレイピアで一突き、そのまま見えない膜がなくなり水に還る。


 

何の感慨もない初討伐だった。

 

 

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