第21話 レベルアップ

 STR(力)が1で、試供品のようなレイピアでもあっけなく倒すことができた。

 本当に力は必要なく、しっかりと魔核を突くことが大事らしい。


 その点でいえば、俺はレベルこそ1でも、ステータスはジョブレベルの影響でDEX(器用)とLUK(運)が上がっているので、その補正が効いているのかもしれない。


 スライムは水からできてるので素材は残さず、魔核を突くと魔石も壊れるので、稼業としての旨味は0だ。

 それでも、コボルトと出会う前にレベルアップしておきたいとサクサク狩ることにする。

 経験値も大したことないようだが、久方ぶりの雨上がりで10匹ほどすぐに見つかり、倒すと音楽こそ鳴らないが体に明らかなレベルアップの感触が伝わる。


 すぐさまステータスを確認する。なにせ、この世界に来て20年で初めての通常レベルのアップだ。

 テンションも上がる。



名前 :タナカ シンジ

年齢 :38

レベル:2

ジョブ:書記レベル10

HP :320/330

MP :12/17

STR :6

DEF :7

AGI :13

INT :133

DEX :75

LUK :35


ジョブスキル 

誤字添削 カルク 時計 翻訳 自動手記

図面作成 英雄譚作成 高速手記 強制証文作成

スキルブック作成


スキル

料理lv6 合気道lv3 測量lv2


「よしよし、最大MPが上がったぞ。何が作れるようになったかは帰ってからのお楽しみだ。

 ステータスの伸びは低いうちはほぼ一定というのは本当らしい。」


各ステータスの伸びはまず基本は一定で、そこにジョブによる補正倍率があるらしいが、レベルが低いうちは伸びが少ないので働かないそうだ。

 

 ここまでで約一時間、

 昼を軽く食べてから門を出て、小一時間歩いて森に来てるのを加味すると、日が暮れる前に帰るなら後一時間がタイムリミットだ。


 念の為ランタンも購入したが、ソロで森の中を片手を塞いで歩きたくはない。スキルの「時計」でタイマーをセットし、キリを先につけて置く。


 スライムを見つけて歩いてみたが、この森は小高い丘になっており、街が簡単に見渡せるし、そこまで大きくもない。

 コボルトの数もそこまで居らず、天敵の魔物もいないので本来群れる性質だが数匹程度で行動するらしい。

 つくづく初心者に優しいフィールドだ。

 とはいえ、今後に向けて試したいスキルなのでジョブスキル「図面作成」を使ってみる。


 このスキルは図面を書き起こすだけでなく、脳内で情報をまとめて図面にすることができる。

 以前から街のマッピングや、冒険者達のダンジョン攻略情報を取りまとめ、地図にしたりと軽い便利スキルとして使ってきた。


 ダンジョン攻略に向けて現地での使用感を確かめてみる。うん、当然だが街中と変わらないな。

 というか「測量」をlv2で手に入れたので見える範囲の距離感がより正確にマッピングできているようだ。

 これなら使いながらでも森の中を歩くこともできる、悪くない。


 続けてスライムも狩っていく。

 探して奥にいくにつれ、そろそろコボルトにも見つかるかな、はじめは一匹がいいなと思っていると


 「グルルルァ」

  「ヴゥー、フーッ」



  と、二匹の威嚇の声が聞こえてきた。



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