第19話 魔導収納袋

 金貨50枚で剣はBクラス、他の全身もCの中でも良い物を選んでくれた。刀身の輝きはどうやらアラフォーでもワクワクさせる力があるようだな。


 全身をキメ、冒険者気取りで次いでアイテム屋へと向かう。ここでしまったと気づく、先にアイテム屋にいけば良かった。

 この姿でいけばユーリーに笑われること必然。

 計画自慢の「書記」にあるまじき失態、つい憧れの武器に浮ついてしまった。


 せめて店では静かにして店子のルティアさんにアイテムをお願いして婆さんには裏で寝ていてもらおうなんて虫のいいことを考えるがあいにくとルティアさんは休みのようでユーリーが店番をしていた。


「いらっしゃい、ってなんだお前さんいい年しておままごとかい?」


 開口一番に先制パンチをもらう。

 あのなあ、前世リーマンのおっさんにはその言葉余計に効くからな。


「客だ、客。余計なこといいから接客してくれ。」


 気恥かしさから乱暴に答えると、


「はて、接客といわれても何目的かもわからないとね。コスプレっていうんだろ?

 宴会用に使えるアイテムなんてあったかね?っておやぁ、それにしちゃあ似合わずいい装備だねそれ、全身Cランクに剣なんてBはありそうだ。」

 

 だから何で分かんだよ。剣とか鞘に入ってるんだぞ。


「ふう、これから一人で街の近くの森に入る。必要そうなもの適当に教えてくれ。」


 強がらず教えを請う、最初からDランクダンジョンに向かわないのは当然だ。

 もう自殺はコリゴリなので。森とは俺が転生した場所で街の結界の影響があるらしく強い魔物がいない初心者フィールドだ。

 それでも雨の日はスライムに他にもコボルトという低ランクの狼の魔物がいるらしい、後から聞いて当時を思い出しゾッとする。


「ふ〜ん、1人でかい。事情を聞いても面白くなさそうだ、仕事をしようか。

 あそこは毒のあるものは魔物も植物もいない、コボルトが出るかもだからポーションもいいんだが魔道具袋なんて持ってないだろう?薬草を練り込んだ軟膏をやろう、傷を受けたら塗り込んでおきな。」


「う〜ん。」

  

 魔道具袋、正式には魔導収納袋というらしいそれは出来によって広さは違うが中が魔法で拡張されている袋で高レベルの錬金術師が作れるらしい。

 ピンキリだが最低でも金貨50枚はするので完全に予算オーバーです。

 これがないとポーションは気化しやすいもので専用のガラス瓶に入っているので冒険に持っていくのは不向きだ(この気化成分が胃に来るので何本も飲むのはツライのだ)。


 他にも高レベルの「商人」や低レベルでも「運び人(ポーター)」なんかはアイテムボックスというスキルを手に入れる。

 よく卸先の商人が自慢してきてウザい。


 しかしユーリーはおそらく職場から森の調査を押し付けられた程度に思ってるようだが俺はそこで何度も戦闘してレベルを上げたいので即効性のあるポーションはかなり欲しい。

 どうにかならないかと思案していると古くて汚い袋が飛んでくる。


「あんまり私の店でしかめっ面をするもんじゃないよ、雰囲気が悪くなるだろうが。

 そいつは私のお古だがやるんじゃないからね、少しの間なら貸したげる。」


 と有り難い助け舟を出してくれた。


「ありがとうユーリー。1ヶ月借りたい、金貨1枚出そう。」


「急に名前で呼ぶな気色悪い!金はいいよその分買い物していきな、それなりに入るからね。」


 その言葉に甘えポーション×10本と軟膏を3つ、それと魔石で光るランタンを取り敢えず購入し店を出る。買ったもの全てとついでに剣も収納できた、なかなかの性能だ。



 そしていよいよ始まりの森へ向う。




―――――――――――――――――――――――――――――――――


 ツンデレは爺婆に限る


わかる、、という方は応援♥を

いや、そうはならんやろ という方はコメントでの           

 要望意見お待ちしていますm(_ _;)m

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