第14話 決戦前
翌朝、頭の中のアラームの音で目を覚ます。
アラームが鳴るまで寝ているのは久しぶりだ。
昨日はそこそこ飲んだし、金も入り気が緩んだんだろう。この一週間通常の社畜生活にプラスしてスキルブック作成で一時間睡眠を削っていたのも堪えていたのだろうか。
アラームというのはジョブスキルのうちの1つ、『時計』の機能である。
前世のアプリの時計機能のようなものから使ったスキルのクールタイムの残りなどを確認できるもので、はじめは「書記」のスキルにしてもショボいと思ったものだがそこそこには便利なものだった。
さて、手元には売れ残った「料理」と「測量」×2のスキルブックが3冊ある。
これ以上この街で無理して捌く理由もないだろう、「退職」という人生の一大決戦の前にトラブルは避けたい。
持っておくのもリスクだし、取り敢えず使ってしまうかと出勤前にパラパラとめくっていく。
名前 :タナカ シンジ
年齢 :38
レベル:1
ジョブ:書記レベル10
HP :305/320
MP :12/12
STR :1
DEF :2
AGI :8
INT :128
DEX :70
LUK :30
ジョブスキル
誤字添削 カルク 時計 翻訳 自動手記
図面作成 英雄譚作成 高速手記 強制証文作成
スキルブック作成
スキル
料理lv6 合気道lv3 測量lv2
ステータスを確認した所で現状も再確認する。
現状、やや袋小路感がある。
できれば退職の話を持っていく前に通常レベルや戦闘スキルを取得して、万全を期してから話し合いに望みたいが、そう上手くはいかない。
そもそも、何故退職にあれこれ用意がいるかというと、それは遡ること職員として就職する際、俺は冒険者登録にきたのだが就職させようとするギルドマスターによって強権的に冒険者登録を握り潰されているのだ。
蒸発などしても他の支部での登録もできないように圧力をかけられる懸念があり、上手く『退職』と『冒険者登録』の2つを同時に勝ち取らなければならない。
冒険者登録なしでやっていくのはそれほど厳しい。20年、職員をしてそこは太鼓判を押せる。何せ治安維持の名目で武器すらまともに買えないのだ。
現状やれる準備は思い浮かばない。言い訳をして長引かせても何も解決しないのだ。
決意を新たに、職場に乗り込むことにした。
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