シミュレーションⅢ
「こっちですよ、マスター!」
アマテラスに先導されながら無事に生徒会室へたどり着いた。
扉を勢いよく開けるとそこには二つほどの長机と小さい机に置かれたパソコンがあった。
「あれですね!急ぎましょう!」
パソコンの画面には『Warning』とタイマーが表示されていた。
タイマーの時間は残り二分。
果たして自分に出来るだろうか。
いや…やるしかない!
「マスター、私とこのパソコンをコネクションして下さい!」
「言われなくても…分かってるよ!」
スマホとパソコンをコードでつなぐとアマテラスがパソコンの画面に表示された。
アマテラスは手際良く画面を操作し、メールボックスを開いた。
そこには確かに二人の言っていたメールがあった。
「このメールを元に制作履歴から爆弾制作画面に移動出来るか試してみます」
慣れたような手つきでメールを分解し始めた。
こうなってしまっては見守ることしか出来ない。
およそ20秒後、爆弾の製作過程画面と思われるページが表示された。
「あとはこれの起爆に関する羅列を書き換えれば大丈夫ですね」
「ああ、それじゃ始めますか」
起爆の羅列はアマテラスが示してくれたためすぐにキーボードに手を伸ばし作業を始めた。
起爆までのタイムリミットは残り一分。
焦りを隠しつつも明らかにタイピングする手が震えていた。
「マスター、残り三列でタイムリミットは残り三十秒です!」
「分かってる!」
眼を限界まで集中させタイピングを続ける。
その時周りの雑音やアマテラスの応援は一切として聞こえなかった。
だがあと一列!
軽く深呼吸をし、最後の作業へ。
「マスター!爆弾が止まりました!」
アマテラスの声で集中力が一気に抜けた。
残り二秒の所で何とか止まったようだ。
安堵の息をもらしながらパソコンからコードを取り外す。
スマホを見ると嬉しそうに跳ね上がるアマテラスの他に大量の不在着信がきていた。
(……帰ったら謝らないとな)
こうして何事もなく終わる訳……もなく。
「凄いね!どうやってさっきの高速タイピングやったの!?」
「貴方一体何者よ?まさか本当に人間ではない生物!?」
二人の少女達が顔を合わせて質問した。
急いでいた自分は質問に答えることなくすぐさま走って家に帰った。
「待ちなさいー!」「フフッ、待てー!」
どうやら自分の高校生活は思ったよりも過酷なようだ。
◇
「……以上結果報告となります」
「フム、ご苦労だ。あとは帰って休んで構わない」
黒い帽子を被った男が金髪の少女の報告を聞き、微笑した。
「司令官、お聞きしたいことが…」
黒髪の少女が男に質問した。
「どうやって彼を見つけたのですか?彼は本来の名前とは異なっていましたが…」
「まぁ何もかもあの少年が作ったマザーコンピューターが出した答えだ。俺はそれを伝えたにすぎない」
「それもこの子達のおかげですか?」
少女はスマホを男に向けた。
その画面には水色の長い髪をしたアマテラスに似ても似つかぬ少女がいた。
「少なからずそうだろうな。全く彼には感謝しなければならんというのに…」
男は視線を落としながらも虚空を見つめていた。
「これ以上は何も出ない、君も早く休みたまえ。
「分かりました。それでは失礼させて頂きます、ごきげんよう」
そう言い残し結凪は去って行った。
男は少女が去ったのを確認すると独り言を呟いた。
「始まるのか…
1000%のその先へ 露乃琴音 @tuyunokotone
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