第5話
「そうですね…。もしかしたら、犯人は遠くにいて自分が無実であるとアピールしたかったかもしれないので、図書室にいたのかもしれませんね。 では図書室に居た人は教えてください。」
そんな質問に対して、何人かの手が挙がった。
「私は違うわよ!」 巻島さんが騒いだ。誰も聞いてないのに…。
「ほうほう7人。それも皆女子…。成程成程。」
気にもせず彼は人数を数えた。
彼が次の質問に移ろうとすると、さっき手を挙げた染岡さんが「あの。」と質問をした。
「これにひっかかたら、もし無実でも犯人になるなんてことは、ないの?」
「えぇ、ホントに犯人じゃないなら、そんなことはあり得ません。安心してください。」
「良かった…。」と染岡さんは安堵していた。
僕もさっきまで冤罪犯人にしたてあげられていたのでその気持ちはよくわかった。
「では次の質問です。そうですね…もしかしたら犯人は他の人に自分のアリバイを証明してもらう為に他のクラスに居たのかもしれません。 他のクラスに居た、という人はいますか?」
今回も何人か手は挙がった。
「俺は違うな…。」 剛田君が独り言のように呟いた。
「成程今回も7人。皆さん結構他のクラスに友達いらっしゃるんですねえ…。」
これで何が分かるんだろう…。そう思っていると、和田君がまたも嚙みついた。
「なぁ、もっと早くしてくれよ。まだ目星はつかねえのか?」
「ええ、もう少しなんですけどねえ…。」
利根川君は口調こそ申し訳なさそうな感じで言ったが、顔は全然申し訳なさそうでは無かった。
「では急かされたので、次は同様の理由で職員室に居た人を聞きます。 該当する人は手を挙げてください。」
5人ほど手が上がった。
「5人ですか…。困りましたねえ…。」
何が起ころうとも余裕綽々だった利根川君の顔に影が差した。
「どうしたんだ?」 剛田君が聞くと、利根川君は語りだした。
「ええ、実は質問はこれで最後なんですよ。しかし高橋君は今までの質問に手を挙げていなかったので…、どうしたのかなと…。」
すると和田君は笑いながら叫んだ。
「やっぱりこいつが犯人なんだ! だから答えられねえんだ! なぁそうなんだろ!?」
「ち、違うよ。俺は今日自習室に居たんだ。ただそれだけだ!」
「本当か…? 助かりたいからって嘘こいてんじゃねえのか?」
和田君はまだ俺を疑っている。 俺和田君に何か悪い事したかなぁ。
そんなこと考えていたら、利根川君は気でも触れたのかと思う程笑い出した。
「なんだ? 自分の推理が外れたからってヤケになることはねえよ。」
和田君がフォローなのか煽りなのか分からない事を言い終わった辺りで、
「違うんですよ…」と利根川君は訂正を始めた。
「今のでやっと犯人が分かったんですよ。まぁもともと目星はついていたのですが」
なんと今の騒動で犯人が分かったらしい。 俺たちは固唾を飲んで利根川君の行動に注目した。
「今回の犯人は…貴方だ!!」
そう言って彼がさした指は…、三つだった。
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