第6話 決別


 「はあ!?もう一度言ってもらっていいでしょうか?!」


警視庁内刑事課内にて上司に言われた言葉にリョウは怒りを隠さないでいた。


「だから。『毎日100万円貰える当選者怪死事件』は、警察は捜査はしない」


「何を言ってるんですか!?100人の怪死被害者がいるんですよ!!俺の妹も被害者の1人なんですよ!!なんでですか!!?」


「事件に私的感情を出すな。君の妹が被害者の1人であるのは私も知っている。痛いほど気持ちも分かる。だがな。上からの命令でこの事件は捜査しない。今後も刑事として、いや、警察官として働きたいなら私的感情は抑えこめ」


リョウの気迫迫る言葉に、上司は、困った顔でリョウをなだめようとする。

そんな上司の態度を見て、リョウは、息をすーっと吐き出して、睨みつけた後、感情が感じられないトーンで淡々と言う。


「分かりました。それが正義だなんだと振りかざす警察なのだとしたら、俺は勝手にこの事件を捜査します。お世話になりました」


そう言って、リョウは、上司の前から静かに立ち去る。


「おい!変な考えはやめろ!考え直せ!」


後ろから上司がリョウを怒鳴る声が聞こえた。

だが、リョウは振り返らなかった。


次の日からリョウは、仕事に来なくなった。


数日経った後、警視庁サイバー課警官襲撃事件が起き、警視庁内部が大騒ぎとなった。


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