第2話 100万円の使い道


 いくら考えようとも、答えなんて出ない。

思考する事をやめたシンジは、振り込まれた100万円をラッキーだと思い使う事にした。


まずは、腹ごしらえだ。

回転寿司屋に入り、ひたすら、回る寿司を取りまくって食べた。


久しぶりに食べる寿司だ。テンションも上がり、いくらでも食べれるぞ!と思っていた。


30分後…いくらでも食べれると思い込んでいたのも束の間、15皿を食べ終わる頃、胃袋の限界を迎えた。


回転寿司…15皿…会計1620円。


手に入れた100万円のうち、1万円でも8千円以上のお釣りが出る。

会計伝票をレジに持って行き、レジのバイトの女の子が可愛いと思ったから、1万円で支払い


「釣りはもらっておきな」


と言ってシンジは回転寿司屋を去っていった。

レジの女の子は、お釣り渡し用のケースに入れた8380円と共にキョトンとしていた。


まだ、99万円残っていた。

お金がない時は、大金があれば遊び歩くのにと考えるのにいざ、大金を手に入れるとどうしたらいいか分からなくなる現象に陥っていた。


パチンコ屋に入り、時間潰しにパチンコ打つ。

5時間ぐらい打っていた。

お尻が痛くなる。目が痛くなる。


段々と飽きが来て、やめた。

結果的に10万円負けたが、いつもみたいに痛くも痒くもない。


やっぱり、お金が無い時に、お金を増やす為にやるあのデッドオアアライブのスリルが楽しめないとパチンコはつまらないなと思った。


残り、89万円。


時間は、夜になっていた。

夜のキャバクラも開き始める時間だ。

繁華街を歩いて、声を掛けてくるキャバクラのキャッチ。

声を掛けてきたキャッチの店に適当に入る。


店に入って、キャバ嬢が隣に着いた瞬間に、高額なシャンパンを頼む。


「アルマンド入りましたぁぁぁぁっ!!」


いきなり、入ってきた身なりは金が無さそうな青年が開口一番でいきなり高額シャンパンを開けるという衝撃にボーイはテンションがぶち上がっていた。


周りの客やキャバ嬢がシンジに驚いた目線を送る。

シンジの隣に座っているキャバ嬢は、嬉しさのあまりにシンジに抱きついてきた。


ものすごい優越感を感じながらシンジは、深夜まで飲んで眠くなり、お会計にした。


「お会計は、85万円です。」


ボーイがシンジに会計伝票を持ってきた。

普段こんな高額会計が無い店なのか、店長らしき人物が、額に軽い汗を流してシンジを遠巻きに見つめていた。


「はいよ」


シンジは85万円の札束をボーイに渡して会計を済ませた。


店を出る際に、シンジに着いていたキャバ嬢が抱きついて来て


「また、明日も来てね♡」


と営業してきた。シンジは、軽い感じで


「気が向いたらな」


と返した。


後日、シンジは二日酔いに悩まされながら目を覚ました。


また、スマホにメールが届いていた。


『本日も100万円を受け取りますか?』


という文章の下に、『受け取る』と『拒否する』の2択の選択肢があった。


勿論、シンジは『受け取る』を選択した。

昨日と同じようにスマホが数十秒間ブラックアウトした後に


『100万円をお振込みしました。ご確認お願い致します。』


のメッセージが出てきた。


二日酔いでだるい体を頑張って奮いたたせ、銀行のATMで通帳記入した所、また、同じような感じで、100万円が振り込まれていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る