王立魔法学園3年 魔道具研究科編
035-研究室と発明
私は3年生になり春から
そう……魔法を使えない弊害は、ここでも現れたのです。唯一動かせる無属性の
「ま……まぁ……。無属性で使えるものが作れれば、誰でも使える便利な物だからきっと、革命がおきると思う! だから頑張って!」
どの魔石も使えない私は苦笑いした。教師陣に情けをかけてもらい、6畳ほどの広さの倉庫だったところを研究所として与えられた。
初めて自分で好き勝手できる部屋を手に入れてテンションが上った! 私は研究を放り出して、まず部屋の改造に着手した。石の床は冷たいので、木箱と板材を買ってきて膝の高さほどまで床の底上げをした。そして、フローリングのように板張りにして、その上に厚手のカーペットを敷き土足禁止の部屋を作りました。
う~ん快適! 床に寝転がるなんでずいぶん久しぶりですわ~。次に円卓の脚を切断しちゃぶ台のようにして部屋に置く。さらに周りに水晶用の小さい布団を座布団として配置する。
できた! 理想のくつろぎ空間! これから始まるダラダラ生活! じゃなかった! 研究をしなくちゃ!
とりあえず無属性
まず私が目をつけたのは回転だ! そう前世の知識には回転を使った機械がいっぱいある! 確かにある、けれども女子高生がそんな機械の構造知ってるわけない!
車を作ろうと努力してみたけど、回転力が弱すぎてまったく動かない……。小さいものなら動くからと腕時計を思い浮かべましたが、精密機械は作れないし構造もわからない……。
詰んだ! 結局できたのは、真っすぐ走るだけのミニカーだけだった。
次は、水の増加だ魔力測定の爆発力をなにかに利用できないかと考えた。金属の筒に小さな穴を開け、握るところを付けた。中に水を入れて、それを魔力で急激に増やして水を勢いよく吹き出させる。
そう! 水鉄砲です。
現在研究所には、生活に何の役にも立たない水鉄砲とミニカーそして、アイデアの尽きた私が床に転がっています。
途方に暮れているとコンコンコン! と扉をノックする音が聞こえた。
「どなたですか?」
「アリッサよ、マルレここにいるの?」
「開いてるので、どうぞお入りになって」
私は寝転がったまま、入室の許可を出した。アリッサは底上げされた床と、脱ぎ捨てられた靴を見て困惑している。
「え? なにこれ?」
「ここは靴を脱いで上がってくださいね。わかりやすく言うと部屋全体がベッドになってるようなものですわ」
「へぇこの部屋は面白い作りだね」
そういいながら、自然に座布団を一枚引き寄せるとその上に座った。
「私が作りました! 快適ですよ!」
「そうみたいね……っていい加減に起き上がったら?」
「ごめんなさいくつろぎすぎたわね」
私は体を起こし円卓の横に座る。
「で? なにか用事でも?」
「マルレが一人で無属性
「そうですか……。アイデアが尽きたので転がってましたわ」
「ええ……。それで何か作れたの?」
私は、そこら辺に転がってた車の模型を手に取り、魔力を込めて床を走らせた。
「へぇ面白いね~。でも、これ……生活の役に立たないね……」
「そうなんですよ……。次にコレなんですが、中に水を入れてそれを魔力で増やして飛び出させる物ですわ」
「水鉄砲ねぇ……。これもおもちゃだね」
「そうですわ、これもおもちゃです。完全に行き詰まってます」
「そうね……。じゃあ元となる動力の開発からじゃない?」
「たしかにそうですが……。それができれば苦労しませんわ」
「例えば……無属性の魔力を注いで変化するのって水だけなの?」
「え?」
考えても見ませんでしたわ! これは調べる価値がありそう!
「アリッサ! あなたは、天才ですわ! こうしちゃいられません! さっそくいろいろ試してみますわ!」
「お? 元気になったみたいね。頑張ってねマルレ!」
「はい! やはり私を救ってくれるのは、アリッサですわ! 本当にありがとう!」
私はアリッサをギューっと抱きしめたあと、新しい素材を探しに
そして秋にはいったころ。ついに[失敗作の墓場]や[成功の種保管所]とよばれている倉庫でそれを見つけました。
それは、ポーションの開発でできた失敗作の[ピクピク汁]でした。
添えられた資料によると、これは、魔力回復ポーションだそうです。効力を強めるために魔力反応を良くした結果、空気中のわずかな魔力に反応し始めた。そのせいで、常に拡大と縮小を繰り返す不気味な液体になってしまったようです。回復効果もあまり上がらなく完全に失敗作でした。
そして、最大の欠点は、瓶などの密閉容器に入れた状態でうっかり魔力を流すと事故が起こる。水の比ではないほど膨らんで瓶が割れて中身が飛び散る欠陥でした。
はっきり言ってポーションとしては、ダメダメすぎるものでした。
しかしこれは無属性
[ピクピク汁]は、魔力を取り込むと瞬時に体積が増え、魔力がなくなるともとの大きさに戻る。過剰に魔力を入れても増える体積は同じで、しぼむまでの時間も変わらないすごく安定した液体でした。
私は[ピクピク汁]を筒に封じ込め筒の中に入る棒付きの栓でふたをして、穴のない注射器のようなものを作った。[ピクピク汁]が漏れて大変だったが、前世で使ってた水筒のゴムパッキンを思い出して一気に解決! 無事に完成しました!
あれです! 何でしたっけ……。あのショベルカーとかの腕についてるやつ……。ピストン? いや違います……油圧なんとか……。ええと名前わかりませんわ……とにかく魔力を流すと伸び縮みする棒が完成した。
「できたわ! とにかく実験よ」
魔力を込めるとガシュン! と言う音とともに棒が伸びる。魔力を流すのをやめるとガシュン! とすぐに戻る。
ガシュン! ガシュン! ガシュン! ガシュン!
何度も伸び縮を繰り返す。耐久度もある。動作も良好!
「やったわ! 新しい動力の完成よ!」
これの名前は何にしましょうか? ピクピク汁、筒……? [ピクツ]にしましょう!
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