022-交流イベントの始まり
時がすぎるのは早いですね、2年生もあっという間でした。
私は、魔法実技で流魔血を自在に操れるようになった。ファーダから気配を消す技や、壁に張り付く技などを教わりました。
体力訓練は退屈になると、覚悟していました。ですが、砂丘や山林に雪山それぞれ脚の運びが違うランニングには、意味があったようです。それは、どんな地形でも自由に動けるようになる訓練でもあったのです。おかげで、地形を気にしなくても、いいようになりました。
冒険に役立つそう思うだけで、どんどん楽しくなった。けれども楽しかったのは私だけで他のみんなは、違いました。体力訓練の時間が来ると明らかにテンションが下がっていた。
2年生の授業内容は、基礎戦術論、基礎魔道具理論、基礎建築学、そして魔法実技に体力訓練だった。
疑問に思った私は、アークに歴史や算術の授業はないのかと聞いたら
「そんなもの1年で全部終わってるだろ。他の学園とは違うのだぞ?」
だそうで、どうやら認識が間違っていたみたいです。
この学園は前世で言う普通科の高校に、魔法をくっつけたようなものだと思っていた。ですが、実は即戦力を育てる場所でした。3年生からは各分野にわかれ、さらに専門性が高まるそうで、進路にあった学科を選択するようです。
そしてついに、2年生最後の締めくくりである交流イベントが開催される。当初はお茶会や夜会などだと思っていたが、どうやら違うらしい。交流イベントの内容は、徹底的に隠されいます。ファーダの話では、先輩から「まぁ……がんばれ」としか言われなかったらしい。
クラスみんなで、何か一つのことをやるのだと思っていた。ですが、私たちは、班分けされて個室に呼び出されていた。私の班は、アーク、ラーバル、アリッサ、ファーダ、そしてまだ来ていない一人の6人で組むことになった。
6人目は誰が来るのだろう? そう思いながら待っていると6人目のメンバーが入ってきた。
巨人!そう思えるほど大きな体に鍛え上げられた太い腕。肌は浅黒く異国を思わせる。野生動物のような雄々しい顔立ち。髪はライオンのたてがみを思わせるような、ウェーブの掛かった長い金髪だ。
「ガオゴウレンだ! よろしく」
うわすごい! 見るからに強そう! 名前と見かけからして国外出身の方かしら?
「アーク・セイントレイトだ。よろしく」
「ラーバル・バルトレイスだ。よろしく頼む」
「アリッサ・エトワンスです。よろしくね~」
「ファーダです。よろしくー」
「マルレリンド・ドレストレイルですわ。よろしくお願いします」
「フフッ有名人ぞろいだな……。王族に騎士副団長、それに治癒姫に
治癒姫?
「アリッサって治癒姫なの?」
「うう……。マルレには知られたくなかった……。階段から落ちて
治癒姫……似合いますわ! そして、嫌がってるのがすてきで、よけいに呼びたくなりますね。
「かわいくて、いいじゃない! 治癒姫様!」
私が茶化すと、すぐさまファーダが乗ってくる。
「治癒姫様はファンが多いんだよ!」
「止めて! ほんとうに止めて! 怒るよ!」
あら~怒ったアリッサもかわいいですね~。
「で? ファーダはなんで
「ぼくは
「お兄様?」
「そう、なぜか勘違いされているの」
そういえばお兄様も学園に通ってましたね……。今の3年生が1年生のときに、在学していたはずです。
「ファーダくんは、足音と気配を消しているだろ? そうすると、影だけが動いているみたいに見える。そして、マルレの兄も同じように、過ごしてたから混同されているのだろう」
アークの情報
「使ってる技術がぜんぜん違うんだけどね……」
「それよりもマルレ、おまえは、
半笑いのアークは面白がって言った。うまく流そうと思ったのに……。
「なんで、そんな事になってるんでしょうか? さっぱり見当も付きません!」
冷血マルレから何がどうなったら
「私もはじめて聞いたよ~」
「すまない。マルレが春休暇に街で人助けしたことを騎士志望の学生たちに、話してしまった」
ラーバルの仕業でしたか……。悪意がないので怒るに怒れませんね。
「悪評ではないので別に大丈夫ですよ。お気になさらず」
「フハハハ、面白い奴らだ。交流イベントが楽しみだな」
ガオゴウレンさんが豪快に笑っている……いろいろ聞きたいですね! そう思っていると個室の扉が開き誰かが入ってくる。
短髪の緑髪の凛々しい姿……。騎士団長のラッシュ・バルトレイス様ですわ!
「なぜお兄様が?」
ラーバルも知らなかったみたいですね……。いったい交流イベントって、何をするのでしょうか?
「ラーバルか……。私は、交流イベントの護衛と引率を受け持ったラッシュ・バルトレイスだ。よろしく」
ご……え……い? 交流イベントっていったい……。
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