5.聖女、肉入りスープをいただく

時計の針は、見つめていると、ゆっくりとしか動かないような気がする。

(登りの方が絶対遅いと思うのよ)

頂点の『12』まで、時計の針は重力に逆らって、ゆっくりゆっくり登っていく。

時計を確認するたびに、アーシャはため息を吐く。

『折り返し地点』まで、もう少しだ。

今までは、過ごした以上の時間が待っていたが、折り返し地点である頂点を過ぎてしまえば、『もう半分は終わった』と思うことができる。

だからこそ頂点を超えるのが待ち遠しい。


(……私、どうしちゃったのかしら)

カサカサと鳴る玉を吹っ飛ばしては泣き出す赤ちゃんの為に、玉を追いかけつつアーシャは、内心首を傾げる。

常に周りに人がいても、孤独。

周りは敵だらけ。

そんな状況でも平気なはずだった。

自分は強くて、どんな状況でもやっていけるという自信があった。

それなのに、今の、すぐにでも涙が湧き出してきてしまう、この弱々しさは、どうした事だろう。

母国での扱いに比べれば、ここは天国のように恵まれた状態なのに、寂しくて堪らないのは何故だろう。


切なそうに鳴くお腹をさすりながら、アーシャは自分で作った絵を見る。

そこには彼女の『家族』がいる。

美味しい物を一緒に笑顔で食べてくれる。

常に気にかけてくれる。

そんな環境は、あまりに甘やかで、依存性がある。

酒に溺れ、色に溺れ、怪しげな薬に溺れる人間は、心がすごく弱いのだろうと誤解していたが、今、ようやく自分に制御できない『溺れる』というものを体感して、心の強弱などなかったのではと思い始めた。


(何か美味しい幻臭までしてきた……)

ゼンやユズルが食べ物と関連付けされているなんて、我ながら卑しい。

分厚い紙を抱きしめながら、アーシャは、またため息を吐く。

「は〜〜い!おてぇあらぃますよ〜」

そうこうしていたら、ヨチヨチ歩き衆たちを、レミが連れ出し始める。


———タブン テヲアラエト イッテル

自信なさげに、アカートーシャが教えてくれる。

一人一人連れ出すレミは大変そうなので、アーシャももちろんお手伝いする。

ゼンたちの絵は、離れ難いが、紙が濡れたら大変なので、自分の背負い袋の上にのせて行く。


手伝うと言っても、アーシャはこの部屋でも体が小さい方なので、できるのは自由な動きの子供達と手を繋いで水場に向かうことくらいだ。

チョロチョロと往復して皆を水場に連れて行き、自分も手を洗う。

「アーシャちゃん、ありがとー」

洗い終わって手を拭くアーシャの頭を、レミが優しく撫でてくれる。

「へへへ」

ゼンたちとは違う柔らかな指の感触に、アーシャはお腹がくすぐったくなって笑う。


我ながら単純なもので、撫でられた事で少し気分を持ち直して、アーシャは少し足を弾ませながら部屋に帰る。

「!?」

するとそこには驚きの光景が現れていた。

いつもは端に寄せられている小さな卓が部屋の中央に持ってこられ、小さな椅子が周りに並べられている。

その椅子の前には芳香を放つ皿が並べられている。


「ふぁぁ〜〜〜!!」

アーシャは思わず卓に駆け寄ってしまう。

すでに見慣れてしまった『こめ』と、茶色のタレに包まれた……

「お肉!!!」

丸い肉と玉ねぎらしき野菜。

(『かべつ』と『とまと』もある!)

その下には、いつも食べる葉物の野菜と、最近覚えた赤い果実が小さく切って添えられている。


アーシャは腹の虫と共に歓喜の声をあげてしまう。

「はわ……はわ……」

抗えない引力に捕まったアーシャは、食べ物に近づいて行く。

「アーシャちゃん、おはし、とてこよかー」

そんなアーシャを、可愛い色の皿を持ったアカマッセンセイと呼ばれる女性が止める。

「あっ……」

食べ物の魔力にやられていたアーシャは、それで正気を取り戻す。


(やっちゃった!!)

アーシャは赤面しながら、あちらに行けとばかりに指差された方へ移動する。

誰かの食べ物に飛びついてしまう所だった。

(もうっ!もうっ!恥ずかしい!)

不平不満を述べる胃袋を押さえるが、鳴き止まない。


指差された方向には、丁度背負い袋が置かれた棚があり、ゼンたちの絵も置いてある。

(我慢我慢!『よじ』までを折り返したわ!)

絵の中のゼンは笑っている。

その絵に微笑み返したアーシャは、時計を確認して、気合を入れ直す。

幸い、アーシャは食べなくても、大地からの神気を取り入れることで、いくらでも活動できる。

数少ない聖女で良かった点である。


ご馳走を前に空腹を堪えるなど、少し前まで日常茶飯事だった。

ここは一つ、涼しい顔の仮面を被り、皆の食事を見守ろう。

(頑張るよ)

アーシャは絵の中のゼンたちに宣言する。

「アーシャちゃん、えわないないね〜」

すると微笑みながらレミが、アーシャの手から絵を取り、代わりに平たく小さな箱を渡してくる。

それはアーシャの背負い袋に入っていた、スプーンやフォークなどが入っている箱だ。


「あ……あ……ゼン、ユズゥ……」

慌てて手を伸ばしたが、その指は柔らかな手に包まれる。

「ごはんだよ〜」

「………『ごはん』!?」

絵を取り返そうとしたアーシャだったが、魅惑の単語を拾って、素直にレミに手を引かれて歩く。


見れば子供たちは皆、自分のカラトリー入れを持って卓に集結している。

「『ごはん』………!!」

アーシャも導かれて椅子に座る。

もちろん、その前には、湯気を上げる器が並んでいる。

「あちあちよ〜」

椅子に座った子から順に、こちらですっかり顔馴染みになった、土色のスープが配膳されていく。


(こ……これは、これは……もしかして!!)

アーシャの心臓は高鳴り、胃袋も高らかに鳴く。

やがてアーシャの前にもスープが置かれる。

明らかにアーシャに向けた配膳だ。

———タベテイイミタイ

アカートーシャの言葉に、激しく頷きながら、アーシャは器に顔を寄せる。

「ふわぁぁぁ〜〜」

ここのスープは具沢山で、汁から具が飛び出している。

見た目では人参以外わからないが、とにかく色々な具が入っている。


「はい、おてぇあわせてぇ、いただきまーす!」

配膳を終えたアカマッセンセイが掛け声をかけると、子供たちも真似して手を合わせる。

「いたぁきまーしゅ!」

アーシャも負けずに、元気に手を合わせ、自分の箱から食器を取り出す。

「………?………!?」

いや、取り出そうとしたのだが、箱が素直に開いてくれない。


———ヨコニ スベラセルノデハ?

ご馳走を前に、食べられないのがもどかしく、箱をガチャガチャと鳴らしていたら、アカートーシャが指摘する。

「よこ?」

何と箱は上に開けるのではなく、横面に溝があって、横に滑らせて開けるようになっていたのだ。

横面の溝は途中で終わっていて、蓋が完全に取れてしまわないようになっている。

(なるほど……これなら蓋を無くしたりすることはないわ)

小さな箱にも工夫が凝らされている。

アカートーシャのイメージによると、この国には横滑りで開く箱は、昔から結構あるらしい。


感心しつつも、アーシャはスプーンを手に取り、構える。

そして一も二もなく、狙うのは丸い肉だ。

茶色のソースは見ただけでわかる程とろみが強く、肉と良く絡んでいる。

「ん!」

意外にも、肉を口に入れてまず最初に感じたのは、ほのかな甘みだった。

果物のような、強く感じる甘さではない。

まろやかな甘辛さ、とでも言えば良いのだろうか。

刺激的な味ではないのに、こってりと濃厚で美味しい。


「んんぅ〜〜!!」

噛むと、驚くほど柔らかい。

そこに確かな質量があるのに、空気を噛むように抵抗なく、あっさり歯が入っていく。

肉ではありえない柔らかさなのに、口の中に広がる味は確かに肉だ。

甘すぎず塩辛すぎない、それなのに濃厚なソースが、柔らかく広がる肉に良く絡む。

———ニクガ ヤワラカイ!カライノニ アマイ!?

アカートーシャにも驚きの肉だったらしい。

二人は歓喜の感情を共有する。


味わいたいのに、空腹と喉からの要求で、あっさりと飲み込んでしまうが、肉とは思えない柔らかな喉ごしも、たまらない。

迸る唾液のおかげで痺れる頬を押さえつつ、アーシャは頭を振る。

「おいふぃーな!」

空腹に負け、一個二個とどんどん食べ進める。

「はっ!」

しかしすぐに重要なことを思い出す。


肉と『こめ』は最強の組み合わせ。

肉を食べる上で大切なことを忘れていた。

すぐに飲み込みたがる喉を何とか制して、アーシャは『こめ』も口に放り込む。

「んんんっ!」

思った通りだ。

湯気を上げる白い『こめ』の柔らかい甘味は、甘辛ソースをまとった肉に、更なる旨みをもたらす。


(このソース、『こめ』に合う〜〜〜!!)

夢中になって丸い肉と『こめ』を交互に口に放り込んでいると、あっという間に肉を食べ尽くしてしまった。

アーシャは少しがっかりしながら残った玉ねぎを口に入る。

「………んぅっ!?」

だが、このソース、甘さが染み出す玉ねぎとも大変相性が良い。

肉とは違った、野菜の繊維を断ち切るサクサクとした歯応えも堪らない。

(しかも仄かに肉の味もする!!)

次々とアーシャの口は玉ねぎを吸い込み、やがて肉たちの下に引かれていた『かべつ』だけが残った。


———『まよ』………

残念そうにアカートーシャが呟く。

彼女が言うように、ここには『まよ』がない。

葉っぱだけで食べるしかないようだ。

(祭りが終わった……)

そんな物悲しい気持ちで、アーシャは『かべつ』を口に入れる。

「……… 。…………!…………!?」

しかしモソモソと咀嚼している間に、しょんぼりと俯いていた首がゆっくりと上がっていく。

(合う……!このソース、『かべつ』に凄く合う……!!)

肉の旨みが滲みたソースが『かべつ』のサクサクとした食感に合わさると、『まよ』とはまた違う、喜びを与えてくれる。


(このソースは残せない!!)

パンでスープを拭き取るに、アーシャは残った『とまと』にフォークを突き刺して、茶色のソースを根こそぎ擦り付ける。

「んふっ」

そして口に放り込んで、予想通りの美味しさに満足の笑みを浮かべる。

———コノ アカイクダモノ オイシイ!

瑞々しい酸味が加わったソースは、アカートーシャも唸る美味しさだ。

最早ソースを食べているような状態だ。

「はぁ〜〜〜」

ソース一滴も残らない、洗い立てのような器に仕上げた、アーシャは満足して息を吐く。


後はシメとばかりにスープの器に手を伸ばす。

すっかり器を持つ文化にも慣れたアーシャである。

———『オミソシル』 グダグサン ウレシイ

カップを傾けるように、器を傾けると、美味しい匂いの湯気が顔にあたり、アカートーシャが嬉しそうに呟く。

このスープはアカートーシャが生きた時代からあったらしい。


嬉しそうな彼女を微笑ましく思いながら、熱いスープを啜る………

「ほわっっっ!!」

———!!!!!

その瞬間、二人は同時に声を上げた。

『これはいつものスープじゃない』

口に含んだ瞬間に理解した。


程よい塩辛さも、穀物を感じる香りも変わらない。

しかし違う。

ゴクンと飲み込んだときに尾を引く、この味わいは何かが決定的に違う。

「んんふぁぁぁ!!」

———オイシイィィィィ!!

喉を通る、熱い液体に二人は震える。

実際に震えているのは実態を持っているアーシャだけなのだが、アカートーシャの心も大いに震えている。


(この旨み…………肉!?)

謎の旨味を探るアーシャの目に、具材の中に隠れていた肉らしき欠片が目に入る。

迷わずアーシャは、それをスプーンで掬う。

「………やは肉……!!」

出てきたのは小さく切られた豚肉らしき肉だ。


ぱくんと口の中に入れると、謎の旨味を強く感じる。

(やはり肉……肉は全てを美味しくする……!!)

アーシャは納得するが、アカートーシャは肉がスープに入っている事に驚いているようだ。

同じスープでも、アカートーシャの時代は、もっと質素なものだったらしい。


「ん!ん!ん!」

謎も解けたところでアーシャは夢中でスープの具を頬張る。

ゼンが作ってくれるスープと違って、全ての具が小さく刻まれていて、柔らかい。

(この歯応え好き!!)

——サクサク

(この弾力もたまらない〜〜!!)

———フルリフルリ

その中でも繊維を感じたり、異次元の弾力を感じたりして、歯応えに飽きはこない。


概ねアーシャとアカートーシャの味覚は似ている。

(お肉みっけ!!)

———ニク スキネ……

しかし殊、肉に関してはアーシャの情熱が強すぎて、ついていけない様子だ。


そのまま器を傾けて、残ったスープも飲み尽くそうと思ったのだが、

「はっ」

斜め前の子が、『こめ』をスープに入れて混ぜているのを発見してしまった。

全く思いつかなかった手段だが、パンをスープに浸して食べることを思えば、こちらの主食である『こめ』を浸すのも全く自然な流れだ。

肉と『こめ』は最強の組み合わせ。

その真理からいくと、この肉の旨みたっぷりのスープとの相性も最高に違いない。


「……………!!」

———オイシイ……!!

早速残りわずかなスープと『こめ』を合成したら、とんでもない物が出来上がってしまった。

アーシャは両手を天に向かって、感謝を捧げる。

入っていた芋によって少しとろみがついたスープと、『こめ』は思った以上の相性の良さだった。

スープで少し外側が柔らかくなった『こめ』は噛まなくても食べられるくらいだが、噛み締めると、その甘みによって、よりスープの旨みが引きたつ。


これは大満足のご飯であった。

「…………ん?」

余韻を楽しむように頬を撫でつつ、食後のお茶を飲もうとカップに手を伸ばしたアーシャは、首を傾げる。

妙に皆の視線が自分に集まっている。


不思議に思って、『むぎちゃ』を嗜みながら見回すと、目が合った隣の子が笑う。

顔中にご飯をつけた豪快な様子が、その子も美味しく食べたのだと示している。

「『おいしーな』!」

「な!」

アーシャも笑い返すと、その子の笑顔は更に輝く。


「んふふ」

その笑顔が可愛くて、アーシャは子供の顔についた『こめ』を取って、その口の中に戻してやる。

「ぎゃっ!!」

しかし思った以上に豪快に開いた口に、指に食いつかれてしまった。


「アーシャちゃん!!」

驚きで上げた声が大きかったせいか、レミがすぐに駆けつけて、引き離される。

そしてあれよあれよと言ううちに、アーシャは水場まで連れて行かれて、ジャバジャバと手を洗われる羽目になった。

(こんなのかすり傷なのに)

歯形が少しついた程度だ。

それなのにレミは大慌てだ。

綺麗に拭いて、何やら粘着する物を巻かれる。


(これ、何だろ?)

皮膚の代替えと言って差し支えないほど、質感や色が似ている。

粘着物の中央には、小さな黄色い布切れのような物がついていて、それが歯形の痕に当たるように巻かれている。

恐らく包帯に近い、治療的な意味合いを持った物なのだろう。


「りぇみ、あいがとー」

多少大袈裟な気もするが、治療してくれたことに、感謝を述べる。

「だいじょぶ?」

レミは心配そうに顔を曇らせて、指を手で包んでくれるので、アーシャは微笑む。

「『だいじょぶ』」

この言葉はゼンがよく言うので、わかっている。

問題がないという意味だ。

ホッとした顔のレミはアーシャを抱きしめた。


その後、レミが持ってきてくれたブラシで歯を磨き、元の部屋に戻ってきたら、中央に置いてあった卓は片付けられてしまっていた。

その代わりに何故か寝具が床に敷いてある。

「……………?」

カーテンも閉めて薄暗くしてある。

子供達はその上をコロコロと転がっていて、今から眠るように見える。


(ああ、午睡をとるのかな……?)

アーシャもこの体になってから、ご飯を食べると眠くてしょうがない。

子供とは皆、そういう物なのかもしれない。

一息ついたアーシャが時計を見上げると、あっという間に次の目盛りに近づいている。

(『よじ』は思ったより早く来そう!)

そんな嬉しい予感を胸に、アーシャは自分が描いた絵を見つめる。


アカマッセンセイは小さな子を抱いて左右に揺らし、レミは逃げる子供を捕まえては所定の寝具に戻している。

「アーシャちゃんわここね」

どうやらアーシャにも寝具が割り当てられているらしい。

しかし残念なことに、今は全く眠くない。

そばにゼンたちがいた時は、寝たと気がつかない程あっさりと眠りに落ちていたのに、今は全く眠れる気がしない。

寝具に転がっても、絵と時計を交互に見るくらいしかやることがない。


(途端に時計が動かなくなったわ)

しばらく大人しくしていたが、暇だし、レミたちばかりを働かせるのも忍びない。

「…………」

アーシャは絵を持ったまま、ゴロゴロと転がり、レミの髪を引っ張って、何やらごねている子供の隣につける。

———コモリウタ?

アカートーシャは不思議そうだ。

アーシャが紡ぎ始めた、うろ覚えの子守唄は、この国の人間には馴染みがないのが当たり前だ。

しかし気休めくらいにはなるだろう。


アーシャは子守唄を歌いながら、レミの髪を引っ張る小さな手を、宥めるように撫でる。

最初はあっちに行けとばかりに蹴られたが、屈せず続けることで、抵抗はどんどん弱くなる。

泣きながら何かを主張していた子供の、真っ赤にしていた顔が、ゆっくりと元の色に戻り始める。

やがて小さな手は、するりとレミと髪を逃す。

異国の子守唄でも多少は効果があったようで、やがて涙を流していた目は、とろりと溶けるように閉じてしまった。


(ぬふふふ)

寝かしつけに成功したアーシャはいい気になって、再びコロコロと転がって次なる獲物に移る。

抱っこして揺らしたり、逃げた子を捕まえて戻すことはできないが、歌う事だけは得意だ。


三回くらい、他の子供の寝床へ転がったところで、他に動いている子は居なくなった。

(暇になっちゃった)

やることが無くなったアーシャは、自分の寝床に戻ってため息を吐く。

(あと目盛り二つ半)

時計を見て、ペタンと絵の上に頭を伏せる。


見張りを始めると、途端に時計は動きが悪くなる。

(長いなぁ)

仕方ないので目を瞑って、時計を見ないようにする。

(スープ、美味しかったなぁ……ゼンたちにも食べさせたかったなぁ……)

一緒に食べられたら良かったのに。

きっと一緒に美味しいと言い合えて、もっと楽しかったのに。

(早く言葉を覚えたいなぁ)

せめて楽しかったことや、美味しかったことを言葉で伝えたい。


そんな取り止めのないことを考えている間に、アーシャの意識は、夢に溶けた。


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