14.聖女、小麦のお魚をいただく
実際の魔法使いと、それらと縁のない庶民が信じる魔法使いは全く違う。
現実の魔法使いは魔素を変換することより、相手を焼いたり凍らせたり切り裂いたり、はたまた拘束したりする事ができるだけだが、そんな事情など庶民にはわからない。
何もないところから炎を出現させ、水を出し、万物を冷やせると思っている。
更には必要な素材を全て前もって集め、その上で、とんでもなく複雑な術式を組む必要がある魔法生物たちも、杖の一振りで生み出せると信じている。
無から有を生み出せる、『何でもできる』存在が魔法使いだと思っている。
(でも、でも、これは『魔法使い』だわ!!)
アーシャは手渡された物を、感動に目を輝かせながら見つめる。
彼女の手の中には、甘い香りを漂わせる、おそらく小麦粉を使っているであろう焼き菓子が握られている。
手に持っただけで、カリカリに焼けた生地の感触がして、既に美味しいことを感じさせてくれるそれは、ただの焼き菓子ではない。
(お魚!お魚だよね!?)
一体どのようにやれば、こんな複雑な形になるのかわからないが、その焼き菓子は魚の形になっていたのだ。
流線型の体に、まん丸の目、分厚い唇、背中とお腹そして尻尾部分にヒレがついている。
(魔法みたいに可愛い〜〜〜!!)
お腹がぽってりとした形になって、目もつぶらで、実際の魚よりもずっと愛らしい姿だが、しっかりと魚とわかる。
「ゼン、ゼン!!」
何と言ってこの感動を伝えたら良いのかわからなくて、アーシャは膝にのせている『もちもち』と焼き菓子を並べて、同じことをアピールする。
『もちもち』のほうは水から出したばかりのような生々しさなので、並べると、焼き菓子の愛らしさが際立つ。
「よかったな〜〜〜」
ゼンも魔法のような焼き菓子の愛らしさに、頬を緩ませる。
「イジミ、『あいがとぉ』!」
素敵な物をくれた魔法使いに、アーシャはお礼を言うが、彼は口の中で何かを呟きつつ、今度はユズルの陰に隠れてしまう。
食べ物をくれるくらいだから、憎悪を向けられているわけではなさそうだが、会話はしたくない様子だ。
(………でも、そんなの慣れてるもんね)
こちらに来てから皆が優しかったから、少し気分が落ちてしまうが、 元々は平民をゴミか別生物と認識している選民思想の集まりで揉まれていたのだ。
打たれ強さには自信がある。
気を取り直して、アーシャは手の中の、魚の焼き菓子を見つめる。
「……………」
ヒレの筋まで再現されていて、どこから食べようか迷ってしまう。
(魚の丸焼きを食べるなら……背中から豪快にいきたいけど……)
しばし考えて、アーシャは一番噛みつき易そうな尻尾に食らいつく。
「ん!」
噛み付くと、カリカリに焼けた表面が、サクっと気持ちのいい音を立てて歯を受け入れる。
「んふ〜〜〜」
甘いのかと思ったら、そうでもない。
しかしサクサクの皮と、空気の穴が沢山のフワフワな内側の、程良いバランスが気持ち良い。
カリカリ、フワフワを存分に楽しんで噛んでいたら、小麦本来の優しい甘みが口に広がる
一体どんなふうに焼いたら、こんな丁度良い食感になるのだろう。
「ん?」
さて次の一口をと思って、尻尾がなくなった魚のお尻を見ると、中にうっすら黒いものが見える。
「ふふふ」
アーシャは不敵な微笑みを浮かべる。
これがこちらに来たての素人だったら、この色を見て噛み付くのを躊躇うだろうが、アーシャは既にこの国に慣れてきている。
プロなのだ。
(黒いものは美味しい!)
それこそがこの国の常識なのだ。
「!」
勢い良く噛みつくと、アーシャの歯は、クリームと言うには硬く、固体と言うには柔らかすぎる感触に包まれる。
食べた事があるわけではないが、何となく練った
「んん〜〜〜!」
確かめるように咀嚼すると、中に入っていた黒い物が混ざりこみ、生地がしっとりとして、更に表面のサクサクが際立ち、絶妙な歯応えになる。
黒いペーストはとても甘いのだが、生地に混ざると、ちょうど良い甘さになって、思わず笑顔になってしまう。
(何だか上品な甘さ!)
黒い物の内部はとても熱い。
アーシャはハフハフと口の中のものを冷ましながら、十分に口の中を転がして味わってから飲み込む。
「ふふぁぁ〜〜〜」
熱々の甘味にアーシャは満足のため息を漏らす。
先程冷たくなったお腹が、ホカホカと心地良く温まる。
「…………?」
しかしその後、口に残る味に、アーシャは首を傾げる。
(甘いんだけど、甘いんだけど、甘いだけじゃなくて……何だろう、この……どこか知っているような不思議な風味……どこかで味わった事があるような……)
甘いのだが、甘いだけではない。
甘さの奥に隠れた味を、何故か知っているような気がする。
アーシャはもう一口小麦粉の魚を齧る。
粘り気がすごく強くて、マッタリとしている中、舌にザラりと感じる細かい粒子が、記憶に引っかかる。
こんな感触を確かにアーシャは知っている。
(甘い物なんて、ほぼ食べたことなんかないはずなのになぁ?)
不思議な既視感に翻弄されつつも、アーシャは再びハフハフと言いながら、口の中の甘味を楽しむ。
「ん?」
そして次なる一口を噛みつこうとしたアーシャは、断面の黒いペーストの中に丸い形を発見した。
「………まめ?」
そして目を瞬かせる。
インゲン豆に似た形の豆が、うっすらとその形を残したまま、黒いペーストから顔をのぞかせている。
(豆だわ!豆!!じゃあこの黒いのは豆を潰してるの!?………豆が………甘い!?)
愕然としながら、アーシャはその姿を凝視し続ける。
豆は肉なんかよりずっと頻繁に口にする、庶民の食の味方だ。
そしてアーシャの常識では豆は辛いものなのだ。
スープなど、煮込む料理が最もメジャーな食べ方だ。
豆は主食であって、デザートではない。
塩漬けの肉があっても砂糖漬けの肉があり得ないように、塩を入れた豆があっても、砂糖を入れた豆など、見た事がない。
(いや……豆に見えるけど豆じゃない可能性も……)
アーシャはもう一口、魚を齧る。
(いや!食感も、口に残る味も確かに豆類!!)
常識を覆される事の多いこの国なので、何が起こってもおかしくないと思っている。
しかしそれでも甘い豆というものが信じられない。
———ソレ マメ。サトウ デ ニル
動揺するアーシャに膝に乗せた『もちもち』が語りかけてくる。
「豆を……
思わずアーシャは『もちもち』に問いかける。
———ニンゲン マメ アマクスル ヨクアル
すると『もちもち』は当然のようにそう答えて、眉間から生えっぱなしの尻尾を揺らす。
「豆に……しゃとう……!!」
その驚きの事実をアーシャは飲み込めない。
———マメ アマク スルカ クサラセルカ
「腐らせりゅ!?」
そんなアーシャに更なる火薬が投げ込まれる。
———ニンゲン マメ クサラセル スキ
驚くアーシャに『もちもち』は当然のように答える。
腐ったものは命を危険に晒す。
冬前に潰した家畜の肉を春近くに食べたり、露店で売られているミートパイを食べたりして、毎年そこそこの人が苦しんだ末に死ぬ。
塩漬けにしても、保存期間が長くなり、温度が上がれば腐るし、露天では平気で売れ残って腐ったミートパイを焼き直して売ったりするからだ。
アーシャの国の人々は、腐ったものを警戒して食べ、なるだけ腐らないように工夫していたが、こちらではそうではないのだろうか。
(命懸けのスリル食を楽しむ文化が……!?)
アーシャは驚愕の事実に頭を抱える。
———チガウ オイシイ カラ
(果物みたいに腐りかけが美味しい的な……?)
———マメ クサラセル オイシイ
『もちもち』の尻尾が頷くように揺れる。
どうやら腐るギリギリまで熟させる文化があるようだ。
(豆ってギリギリまで熟すと味が変わるのかなぁ……?)
そんな記憶ないなぁと首を傾げながら、アーシャは手の中の焼き菓子に噛み付く。
「うん」
カリカリの生地とフワフワな生地、そして砂糖豆のペースト。
絶妙なバランスで美味しい。
(甘くて美味しいのに豆の味がする……!!)
それなのに豆は主食という、根強く体に染み付いた食文化が、味を純粋に楽しみたい心に横槍を入れてくる。
「アーシャ」
文化の壁を乗り越えるべく味に集中しながら咀嚼を続けるアーシャの目の前に、半分にちぎられた小麦の魚が差し出される。
「?」
無惨に真っ二つにされた魚の中からは、内臓……ではなく、輝く白い衣に包まれた黄色の塊が覗いている。
「ちゃ……ちゃまご!!」
見間違えようもなく玉子だ。
アーシャは目を輝かせる。
「こー・か・ん」
ゼンがそう言いながら、玉子が入った魚をアーシャに近づけて、アーシャが手に持っている甘い豆の魚と交互に指差す。
「???」
アーシャは二匹の魚を交互に見つめる。
———ヌシ ヤサシイ。マメ ト タマゴ トリカエル
ピコピコと『もちもち』の眉間から生えた尻尾が揺れる。
「『こかん』……!!」
アーシャは黄金に輝く卵を見て、目を輝かせる。
「こー!かん。こー!こーかん!」
妙に慌てた口調で繰り返しながら、差し出された玉子の魚をアーシャは受け取る。
しかしアーシャは自分の、豆の魚をゼンに渡して良いものか迷ってしまう。
好物の突然の出現は嬉しいが、ゼンに気を使わせてしまったのではないか、本当に取り替えてしまって良いのかと、迷いが生じたのだ。
「あ〜ん」
するとゼンは自分の口を指差しながら、大きく口を開ける。
楽しそうにニコニコと笑う彼に、豆の魚を恐る恐る近づけると、彼はパクンとそれに噛み付く。
「おいしーな!」
それからいつものカラッとした笑顔でそう言ってくれる。
一口でアーシャが今までチクチク食べていた分以上を食べたゼンの口からは、胴体が完全になくなった魚が顔を覗かせている。
「〜〜〜〜〜!!ゼン、『あいがとぉ』!!」
アーシャは頭をゼンのお腹にぶつけるようにしながらお礼を言う。
ゼンはそんなアーシャの頭を混ぜっ返してくれる。
(玉子!玉子!)
アーシャは大喜びで、好物に齧り付く。
「!」
カリッとした生地の食感は変わらない。
しかし中身が変わると趣が大きく異なる。
(これは……『まよ』と……香辛料!?)
野菜にかけると美味しい白いソースは、玉子にかけてもすごく美味しい。
黄身に混ざると更に濃厚な味わいになる。
しかも『まよ』には胡椒と思われる物が入っていて、濃厚な味の後に、鼻から抜けるピリリとした刺激が味を引き締めてくれる。
それだけでも十分に美味しいのに、ほんのり甘い生地が混ざると、更に味が引き立つ。
「んふぁぁぁ〜〜〜!」
アーシャの頬はユルユルと緩む。
(次から玉子にも『まよ』をかけるぅぅぅぅ〜〜〜!!)
この罪深い組み合わせを知ってしまったら戻れない。
アーシャは夢中で、小麦の魚に食らいついていく。
「チビ」
あまりの美味しさに、次々と口に詰め込んでいくアーシャに、ユズルが紙でできたカップを差し出してくれる。
「んっ!!」
少々喉に引っかかりを覚えていたアーシャは、有り難くその中のお茶を頂く。
夢中で一口二口と飲んで、三口目でアーシャは目を見開く。
『むぎちゃ』より少し薄い色のお茶は、物凄く飲み易い。
そして何より匂いが素晴らしい。
炒ったような香ばしさは『むぎちゃ』よりも強いのに、味に苦味などの癖が全くない。
「ふふぁ〜〜〜」
全く抵抗がない味なのに、濃厚な『まよ』の味を口から洗い流して連れて行ってしまう。
(神の国の紅茶、美味しい……!)
アーシャはクンクンとカップの中のお茶の匂いを嗅いで、その匂いに目を細める。
残り少なくなった、魚の顔を齧って、お茶を染み込ませるようにして食べると、香ばしい匂いがして美味しい。
(全然渋くない!)
それでいて味にはそれほど変化がないのが素晴らしい。
「?」
最後まで美味しく食べて、満腹になった所で、アーシャは再びケーオネチャンが金属板を構えていることに気がついた。
その行動には何の意味があるのだろうかとアーシャは不思議に思って、見つめていると、ピロンっという不思議な音と共に、ケーオネチャンは金属板を下げる。
「みる?」
そう言って、ケーオネチャンは謎めいた笑みを浮かべる。
そしてアーシャの脇の下を持って、自分の膝の上に移動させる。
膝にのったアーシャを後ろから抱きしめるようにして、ケーオネチャンは金属板をアーシャの目の前に持ってくる。
「わぁ!」
それを見たアーシャは歓声を上げた。
黒い金属板だと思っていたそれは、覗き込むと、表面いっぱいに絵が並んでいたのだ。
(これって小さい『奇跡の鏡』!?)
その色鮮やかさ見て、アーシャは直感する。
前にユズルが貸してくれたそれにそっくりだ。
並んでいる絵は、どれも現実をそのまま切り取ったかのように、色鮮やかだ。
「…………?」
並んでいる絵のどれもに、風にかき回された雲のような髪型の女の子が描かれている。
少々痩せ気味で貧相な体つきながら、どの絵でも幸せそうに笑っているその子に既視感がある。
(どこかで会った事があるような……?)
絵をじっと見つめてから、ふと、アーシャは自分の服を見る。
黄色の生地に色鮮やかな絵が描かれている服。
それは画面の中の女の子が来ている服と一緒だ。
「!?」
よくよく見るとアーシャが履いている素敵な靴も、絵の中の少女とお揃いだ。
そしてアーシャの頭は絵の中の少女と同じく、収まりの悪い、好き放題に跳ねた黒髪だ。
(目も……確かこんな色だったはず)
鏡を見る習慣がないため、しっかりとそうとは言えないが、いつか見た自分の姿に酷似している気がする。
(えっと……えっと……これは私かもしれない……と言うことは………え?どう言うこと!?)
誰かに絵を描いてもらった記憶などない。
答えを求めるように、アーシャは『もちもち』を見るが、小さな尻尾は『気が付いていませんよ』とばかりに、ペタンと伏せている。
どうやら、わからないらしい。
「アーシャちゃん」
ケーオネチャンは楽しそうにそう言って、一番下の絵にそっと触れる。
「!!!!!?」
するとどうしたことだろう。
触れた絵が大きくなって、金属板全部に広がったかと思ったら、絵が動き出したのだ。
絵の中のアーシャと思われる少女は、大きく口を開けて、両手で持った、尻尾のない魚に食らいついて、カッと目を見開く。
(怖!!)
そして目を見開いたまま顔は動かないのに、口の筋肉だけが激しく動き始める。
(怖わわわ!!)
その様子は呪いを受けた人のようだ。
『んふぁぁぁ〜〜〜!』
そして金属板からは、不気味な遠吠えが聞こえてくる。
(え?これ、私!?何で!?)
浅ましさ全開で小麦の魚を食べる子供には、淑女の影も形もない。
この飢えたゴブリンのような生物が自分だと認めるには、随分と自尊心を削らないといけなかったが、時々ユズルが入ってきたりして、これは先程のやりとりと認める他ない。
(そ……そう言えば、過去の場面をそのまま残す道具がダンジョンで発見されたとか聞いたことがあったような……)
過去の姿を記憶させ、ずっと繰り返して映すと聞いたが、全く興味がなかったので、忘れてしまっていた。
「かわいーねー」
絵がぴたりと止まったかと思うと、ケーオネチャンはそう言いながら、他の絵に触れる。
すると他の絵も動き始める。
何と全ての絵が動く。
「はぁぁぁぁ〜〜〜」
アーシャは驚いてしまう。
確か過去を映す装置は大き過ぎて、とても人力では運べなかったと言うことだったが、神の国の金属板は両手に収まるような大きさで、幾つもの過去の映像を残している。
(そっか、さっきからケーオネチャンが金属板をかざしていたのは、あの金属板をかざした時だけ、過去を切り取れるからなのね!?)
きっとそうに違いないと、確信を持ってアーシャは激しく頷く。
「あ!」
次々にケーオネチャンは指先で絵を動かしていくのだが、その中にゼンが見えて、思わずアーシャは触れてしまう。
「…………?」
しかしその絵は大きくなっただけで、ゼンは動かない。
何かの建物の前でユズルとイズミと一緒に立っているだけだ。
ツンツンとつっついてみても、ゼンたちはちっとも動き出さない。
「あ!わわ」
動き出さないどころか、触り方が悪かったのか、別の絵に切り替わってしまう。
すると、楽しそうに踊る二人の女の子がそこに現れた。
「わぁ〜〜〜〜〜!!」
思わずアーシャは目を見張る。
この国の女性は足を出すことにも、ズボンを履く事にも抵抗がないらしいのだが、それにしても画面の中の少女たちのスカートは短かった。
(……可愛い……)
しかしアーシャは一目見てそう思った。
足は膝どころかその上から丸出しなのだが、非道徳的とか、いやらしいとか、全くそんな感じがしない。
踵の高い靴を、ものともせずに、ニ人の女の子は楽しそうに、弾んだり回ったりと軽々と動き回る。
するとレースで飾り付けられ、幾重にも生地が重なったスカートも、彼女らと一緒に空気の上で弾む。
スカートまでが、楽しそうに踊っている。
二人の動きは綺麗に揃っていたり、対になってみたりと目が離せない。
一緒に聞こえる音楽も、とても陽気で、こちらの体が弾みたくなるようだ。
「……………!!」
アーシャは衝撃のあまり声が出ない。
舞や歌は全て神のために。
華美にならぬよう、捧げるために真摯にやらねばならない。
そう教え込まれた教会での戒律が吹っ飛んでいく、自由さだ。
軽やかで、楽しくて、可愛くて、自らも踊り出したくなる。
そんな気持ちにさせてくれる。
ずっと見ていたいと思ったのに、残念な事に、素晴らしい映像はあっという間に終わってしまう。
もう一度同じものを見せて欲しくて、アーシャはケーオネチャンを見上げる。
「〜〜〜〜〜〜!!………『かわいーな』!『かわいーな』!」
しかし言葉が出てこない。
もう一度見たいと言うより、賞賛のほうが口をついて出てきた。
「これ、おし」
するとケーオネチャンは嬉しそうに笑う。
そしてウンウンと深く頷き、次々と先程の少女たちが記録された映像を見せてくれた。
アーシャは夢中になって踊る二人の映像を見つめる。
「『かわいーな』!」
「ふふふふふふふ、かわい〜ね〜〜〜!」
そうやって目を輝かせる彼女は、彼女を一定の方向に向かって導こうとしている様子のケーオネチャンに、ゼンを含めた三人が呆れ顔を向けていることに、気がつくことはなかった。
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