8.聖女、神具を手に入れる
アーシャが離れたがらないのを、ゼンは全く嫌がらなかった。
干した洗濯物を取り込み、それらを畳んで、家の各場所に片付ける。
部屋を片付けて、杖の先に紙を巻いた、変わった形の箒のようなもので部屋中を拭く。
お風呂を泡だらけにして洗う。
そして昨日と同じように、犬を連れてぐるっと歩き回る。
片手で作業は大変だと思うのに、抱っこするのが当たり前という顔で、ゼンはずっとアーシャを腕にのせていてくれる。
洗濯物を畳むのは、見よう見まねで手伝ってみたり、犬の時はゼンの力を抑える手伝いをした。
しかし基本的にアーシャはただのお荷物で、はっきり言って邪魔だと思う。
アーシャは何回も離れよう、下で待っていようと思うのだが、体が言う事をきかないのだ。
そんなアーシャを全部わかってるとでも言うように、ゼンは思い切り甘やかしてくれた。
下りようとする度に『気にしなくて良い』と言うように、ギュッと抱きしめて、笑ってくれるのだ。
申し訳ないと思いながらも、すっかりアーシャはゼンの厚意に甘えてしまう。
お陰で少しづつ落ち着いて、アーシャはゼンから離れても、不安に体が震える事はなくなってきた。
ゼンが困った顔で排泄する部屋前でウロウロし始めた頃には、自分から扉の前で座って待つと意思表示ができるまでになった。
ゼンの体温が離れると、寂しいが、もう心臓はゴトゴトと鳴らない。
背中を預けた壁から、染み出してくるゼンの神気を感じながらアーシャは大人しく床に座る。
「ぴっ!」
しかしゼンが部屋に入ってからすぐに、ガチャガチャと外に続く扉から音がしたので、アーシャは飛び上がった。
しかしすぐに誰かが家の鍵を開けている音だと気がついた。
(ユズルが帰ってきた!)
この家に入ってくるのはゼンかユズルだけだ。
出迎えようとアーシャは立ち上がって、扉の方に歩く。
「………………」
しかし数歩歩いた時点で、立ち止まる。
扉の僅かな隙間から、室内に煙のようなものが入り込んできている。
『煙のようなもの』と言ったのは、その色が禍々しいと感じる、光を吸い込むかの様な黒さだからだ。
ゆらり、ゆらりと揺らめいて、最初はまるで煙の様に揺蕩っていたのに、ある程度流れ込んできたところで、
扉にぐぐぐぐっと人の手のように爪をたてた。
まるで室内に本体をたぐり寄せようとしているかのようだ。
「瘴気!!!!」
まるで意志を持っているような動きだが、間違いない。
(何て濃さなの!!)
アーシャは息を呑む。
運が悪いことに、ここは室内で、地面から離れている。
元々神気が薄いこの地で、何の補助もなく、しかも地面から離れた状態で、勧請なんて出来ない。
しかし迷っている場合ではない。
「入ってくるな!!」
アーシャは咄嗟に先程までゼンが履いていた靴を手に取って、ドアの隙間から、まるで意志を持っているかのように染み入ってくる黒い霧を叩く。
素手で触れるような物ではないので、咄嗟にゼンの神気が残っていることに懸けたのだが、叩かれた霧は苦悶するかのように、形をなくす。
「出てけ!!」
アーシャはそんな霧に追撃を加える。
バシンバシンと油虫のように叩かれた霧は、諦めたように、スルスルと入ってきた時と同じように退散していく。
(ユズル!!)
家の鍵が開いたということは、ユズルが外にいると言うことだ。
そして瘴気は外からやってきた。
悪い予感にアーシャはドアノブに手を伸ばそうとする。
「ふぬっ!はっ!」
しかし靴が置いてある場所におりると、ノブに手が届かない。
ジャンプすれば指の先は掠るのだが、それではノブを回せない。
「うぬぬぬぬ」
アーシャは一度木の床のほうに上って、数歩下がる。
そしてノブに飛びつくべく、助走を始める。
「とやっ!」
膝同士が仲違いしているように外側を向いているので、上手く走れないが、理想の踏み切りをしてアーシャは飛ぶ。
「アーシャ!!」
「ほげっ!」
ノブに向かって一直線。
そう思っていたアーシャの体は扉に衝突する寸前で、後ろに引き戻される。
「虐蟹済楳狙癒稲混!!更喚諒冊話頒扇!!」
早口でアーシャを掴んだゼンが捲し立てる。
慌てて排泄を済ませて出てきたようだ。
ゼンは珍しく厳し顔をしているが、今は緊急事態だ。
「ゼン!!ユズゥ!ユズゥ!!」
アーシャは扉を指差して叫ぶ。
「ユズル……?」
ゼンは扉を見て眉を顰める。
そして先程アーシャが瘴気をぶっ叩いた靴に足を突っ込んで、ノブに手をかける。
「おっと」
扉を開ける前に、ゼンが振り向いてアーシャを下ろそうとするので、彼女は慌ててゼンにしがみつく。
小さくなってしまったが、こう見ても瘴気を浄化するのは得意だったのだ。
微力ながら、きっと力添えできるはずだ。
ゼンは一瞬困った顔をしたが、外が気になったらしく、アーシャを抱き上げたまま扉を開ける。
扉が開き、部屋の中に午後の緩やかな光が差し込む。
「……………!!」
アーシャは鋭く息を呑んだ。
扉の外には確かにユズルがいた。
しかしその首回りに、霧状態を越えた、まるで人間の腕のようになった瘴気が巻き付き、立っていることができなくなったようで、蹲っている。
基本的に瘴気は濃くなれば濃くなるほど、力が増し、危険になる。
霧のように薄い瘴気でも、人や生き物の命を脅かす。
それなのにユズルの首についた瘴気は、既に実態を持ったかのような濃さだ。
しかも気持ち悪いことに、その背後に目と口を思わせる空洞が開いている。
扉を開けた瞬間は、口の部分が歪に吊り上がって、笑っているような顔だったのだが、
「ユズル!?」
ゼンが声を張り上げた途端、その笑顔が崩れた。
こちらにまで触手を伸ばしていた霧が、怯えたようにスルスルと遠ざかっていく。
(意志を持った瘴気!?そんな馬鹿な……)
瘴気は基本的に雲や霧のようなもので、いつの間にか出来て、濃くなっていく、自然災害のような物のはずだ。
飲み込まれた生物は魔物化して周囲に害を与えるが、それは変化した生物の意思だと思っていた。
しかし目の前の瘴気は明らかに意志を感じる動きをしている。
「……うっ……くっ………」
ゼンから逃げるように、真っ青になって膝をついているユズルに瘴気が集まっていく。
まるでユズルの中に逃げ込もうとしているようだ。
ユズルは瘴気が体の中に入るのを防ぐように、目と口を閉ざし、耳を両手で塞ぐ。
「ゆずっち〜〜〜!!だいじょーぶ〜〜〜!?」
そのユズルの横で声が上がる。
瘴気に気を取られて見えていなかったが、ユズルの横に少女が立っている。
ヒラヒラと風に踊る愛らしいレースのついた、丈の短い子供用のドレスを着ていて、何故か背中には、その姿にそぐわない巨大な荷袋を背負っている。
「…………?」
少女は力強くユズルの肩を揺するのだが、ユズルの首元に巻き付いた瘴気は、彼女に害を与えるどころか、嫌そうに彼女の手を避けるように動く。
「シノザキ!」
ゼンは彼女を知っているようだ。
呼びかけて駆け寄っていく。
「ぜ〜〜〜ん、鵜兜ユズルがおかしーん薮練泥〜〜〜?凝暁蓑融詳役廓垣紘稲触念対栢楓!?稜隆林押晒粂悩!?」
長い髪を後ろに払いながら、彼女は何か捲し立てる。
(二人には全くコレが見えていないんだ)
ユズルを心配するように何か言い合っているゼンと少女を見て、アーシャは驚いてしまう。
瘴気は少し濃くなったら普通の人間にも見えるはずなのに、彼らは何の躊躇もなく、瘴気に包まれたユズルをペタペタと触っている。
少女が触るときは嫌そうに避けるだけだった瘴気は、ゼンが触ると苦悶するように
「ゴホッ、ガハッ、ハッ、ハッ………」
首を解放されたユズルは激しく咳き込む。
「ユズゥ……!」
アーシャはその首元を見て驚く。
まるでたった今、首を絞められていたように、鬱血して赤くなっている。
(まるで実体のようじゃない!!)
アーシャが瘴気を振り返ると、それは
風に飛ばされたとか、そんな動きではない。
明らかに意志を持って、ゼンから逃げている。
(絶対これは何らかの生き物……いや、生きてはない!絶対生きてない!!これは………レイス!?)
レイスは幽体離脱に失敗した魔術師の霊魂だとか、強い執着をこの世に残してしまった者の霊魂だとか言われている。
しかし彼らはいわば生きた人間の残骸で、留まる肉体をなくせば、やがて消え失せる儚い者たちだ。
間違ってもこんな、動くヘドロのような存在ではない。
(止まった)
十分な距離を稼いだあたりで、瘴気の塊は新たな獲物を狙っているのか、動かなくなる。
何とも禍々しい水たまりだ。
(あのままには出来ないわ)
アーシャは眉根を寄せる。
家から近い位置なので、ユズルが一人で外に出たときに危ないし、近くに住む、親切でご飯の美味しい老婦人たちが襲われたら大変だ。
とは言え、殆ど神気を感じない土地だから、アーシャにも上手く浄化できる自信がない。
「ゴホッ」
そう思っていたらヨロヨロとユズルが立ち上がって、何と瘴気の方に歩き始めるではないか。
「ユズゥ!!」
慌ててユズルを止めようとアーシャは声を上げる。
止めて欲しくてゼンを見上げると、何故か頭を撫で回される。
「ゼン、ユズゥ!ユズゥ!!」
指を差して何とか訴えていたら、アーシャの体はフワリと浮く。
「じゃあ、縞儒睦俣、店也還」
「へ?あっ、あっ、へ?」
そして次の瞬間には、少女の腕の中に収まっていた。
荷物のように、ゼンから少女に受け渡されたアーシャは、突然の事にポカンと、新しい止まり木を見上げる。
緩やかな曲線を描く黒髪に、きめの細かい白肌、血色の良い薄紅の唇。
可愛いと美しいが絶妙に混ざった、魅力溢れる少女だ。
「遂狂鍍穂脳怠選倉押由、師刑仰柱希俺あい!鍾忽竃襲基部逼餌鍾巨!!」
しみじみ見つめていたら、妙に大きな黒目が、生き生きとした表情でアーシャの顔を見つめ返す。
アーシャを支える腕は思っていたよりも硬くて力強い。
ゼンと比べて硬いというわけではなく、外見から柔らかい抱き心地かと思っていたら、そうではなかったので、意外に思ってしまう。
アーシャが呆然としている間に、ゼンはユズルの後を追い、追い越す。
瘴気のヘドロは向かってくるゼンを認識したのか、怯えたようにズルズルと逃げ出すが、ゼンと比べて動きが遅い。
全くヘドロが見えないらしいゼンを撒こうとする知能があるようで、必死にその進行方向から逃れるように右へ左へと、ジグザグに移動して遠ざかろうとしている。
しかしヘドロが方向を変えるたびに、ユズルがゼンに指示を出す。
行き過ぎたり、回り込んだりしながら、ゼンはヘドロを追い詰めていく。
ヘドロはゼンの神気にあてられたのか、どんどん小さくなっていき、動きも更に鈍くなっていく。
「あ」
そして呆気なくプチュンとゼンに踏まれて、ヘドロは地面に広がる。
ゼンは踏んだことにすら気がついていないようで、ユズルに止められるまで走り続けている。
完全に動けなくなったヘドロをユズルが指差し、ゼンはその指示に従って、その上に立つ。
容赦という言葉を知らないらしいユズルは、上を指差し、その場で何度もゼンに飛び跳ねさせる。
「あ、あ、あぁ〜〜〜」
瘴気は聖女の天敵。
しかしその容赦のなさに思わず声が出てしまう。
ビクンビクンと動いていたそれは、何度も踏まれて、やがて空気と同じ色になって消えていく。
そんな光景を見ていたアーシャの頬がプニュプニュとつつかれる。
「?」
見上げると、興味津々という顔で少女がアーシャを覗き込んでいる。
「お・な・ま・え・わ?」
何か聞かれているようだが、残念ながらアーシャには意味がわからない。
首を振ってわからないと伝えるが、何故か少女はキラキラとした顔で、アーシャをギュッと抱きしめて、奇声をあげる。
「?????」
知らない人に突然抱きしめられた戸惑いもあるが、その胸の硬さにアーシャの理解が追いつかない。
ゼンと同じぐらい、否、ゼンより硬くて骨張っている。
そう、骨張っているのだ。
ドレスの下に当然あるであろう膨らみがない。
女性はスカート以外の着用を許されず、男性は誇らし気にコッドピースを着ける。
そんな文化圏にいたアーシャには、理解の範疇を超えた不可思議な現象に固まる。
「壕桂鎮茂、アーシャ栂媛亀斥殉途嘆」
そんなアーシャをゼンが回収する。
慣れた腕の中に帰ってきたアーシャはホッとして体を預ける。
「あ〜〜〜!醒湾各菅!獣齢魁契烈烏蒲浩漫が〜〜〜」
「幌肋鮮盾災肴弱遂況。交限系履港斗」
少女はアーシャを取り返そうとするように、手を伸ばすが、ゼンに顔面を掴まれて阻止される。
まさかゼンが女性の顔を掴むなんて、そんな事をすると思っていなかったアーシャは驚いて目を見開いてしまう。
少女とゼンはとても仲が良いらしく、元気に何やら言い合いをしている。
ユズル以外と、こんなに柔らかい空気で話しているゼンを初めて見た。
「アーシャ、シ・ノ・ザ・キ」
ポカンと見ていたら、ゼンは改めて少女を紹介してくれる。
「シノザキ椀顛、ユッキー遁贋いよ♡ ユッ・キー」
紹介を受けたシノザキは胸の前で小さく両手を振りながら何か言ってくる。
「…………?」
アーシャは首を傾げる。
シノザキだがユキーでもあるらしい。
(あ!家名ね!?)
しばらく考えて、アーシャは思いつく。
そう言えばドレスも着ているし、彼女はきっと貴族なのだろう。
「シノザキ?ユキー?」
「ユッキー!」
どちらが名前かわからないし、どちらで呼んだらいいのかわからなかったので、聞いてみたら即答された。
どうやらユキーではなくユッキーだったらしい。
親しいゼンが『シノザキ』と呼び、初対面のアーシャに『ユッキー』と呼ばせるなら、家名がユッキーで名前がシノザキなのだろう。
「ユッキー、アーシャ」
ゼンが親しいのならば悪い人でないだろうし、自分も親しくしてくれると嬉しい。
そんな思いを込めて名乗ると、シノザキは組んだ手を口の前に持っていってプルプルと震える。
かと思ったら、両手を広げて、こちらに突進しようとして、再びゼンに顔面を掴まれて止められる。
そして何か二人で言い合いをしている。
「????」
少々活発すぎるご令嬢のようだ。
ゼンに遠ざけられたシノザキはブツブツと何やら文句を言いながら、背中の妙に大きな荷袋を下ろす。
そしてその蓋を開いて、何やら探り始める。
「……………」
チラッと上から覗き込んでみたが、とてもご令嬢の持ち物とは思えない乱雑さ、汚さだ。
どうやらかなり規格外なご令嬢のようだ。
やがてお目当ての物を見つけたらしい彼女は、それを荷物の中から引っ張り出す。
「じゃ〜〜〜ん!」
そして引き出したものを不思議なポーズをして構える。
不思議なポーズはそれとして、アーシャは彼女が手に持った棒状のものを見て、息を呑んだ。
真っ白な木の杖で、その頭部には複雑な形の金属がついており、その先端付近に炎を彷彿とさせる大きな輪がついている。
アーシャが使っていた錫杖に似ているが、流石神の国というべきか、頭についたシンボルがとても煌びやかで美しい。
頭部の輪には左右それぞれに三つの小さな円環がついていて、これらが自由に揺れて、澄んだ音を立てるのが何とも素晴らしい。
明らかに普通の道具とは違う気配を纏った神具だ。
神具の中でも匠が心を込めて作った逸品に違いない。
そんな素晴らしいものが、汚れた布やら木槌やら得体の知れない塊が入った荷袋に無造作に入れられていたことに驚く。
「……しゅごい……」
まさか貴族とはいえ、こんなに素晴らしいものを持っているとは、信じられない。
使い捨て扱いされる農奴出身の聖女になんて、とても持てない素晴らしい品だ。
「ほえ?は?え!?」
うっとりと眺めていたら目の前にその神具が差し出される。
まるで持って良いとでもいうように、持ち手側が差し出されたので、アーシャは驚きながらも、それを握ってしまう。
「ふぉぉぉぉぉぉ!!」
自身の身長ほどもあった自分の錫杖から比べると、随分と小さいが、秘めている力は段違いだ。
握っただけで、自分の力が澄み渡るのを感じる。
何と言えば良いのだろう。
一枚被っていたベールを剥ぎ取られたような感覚だ。
ゼンの神気、彼の足元で常に湧き上がりたそうにしている大地の神気。
ユズルの神気が大きく削れているのも感じる。
そして目の前のシノザキが神気とは違う、何かを纏っていることにも気がついた。
(これは……祝福?)
アーシャには『鑑定』の能力はない。
しかし彼女が何か大きな物に守られた存在であることはわかる。
目には何も見えないが、金属が鳴り響くような気配がする。
「んふふふふふふふふ」
尊敬の眼差しで見ていたら、シノザキは顔を真っ赤にして、鼻の下を擦りまくっている。
皮膚が捲れてしまわないか不安になる程の速さだ。
そして彼女はガシガシと思った以上の力強さでアーシャの頭を撫で回す。
令嬢の手なのに、ゼンの手よりゴツゴツしているのは何故なのだろうか。
「????」
一体何がどうしたのかわからない。
「じゃ!椋抹変酢至!」
彼女は大きく手を振ると、背負い袋を肩に引っ掛けて、踵を返す。
あれだけの大荷物を背負っているのに、軽やかにステップを踏んでいる。
「あ、こ、これっ!」
アーシャは手に持ったままの神具を振る。
しかし彼女は、シャランシャランと涼やかな音を立てる神具を振り返ることなく、ゼンたちの家の二つ隣のドアを開けて、入って行ってしまった。
途方に暮れたアーシャは自分を抱えるゼンを見上げる。
「よかったな!アーシャ!」
しかしゼンからは何ら回答はもたらされず、逆立ってしまった髪を整えられただけで終わった。
(え?これ、もしかして貰っちゃったの!?こんなにあっさりと!?神具を!?)
アーシャはゼンとユズルを交互に見上げるが、どちらもこれ程の神具を与えられたことに、感銘を受けている様子はない。
ゼンはユズルの首を心配そうに眺め、ユズルはそんなゼンをシッシと追い払っている。
アーシャが手にしている神具を見る事すらない。
(こ、こ、こんな貴重なものを私なんかに……!!ま、守り切れるのかしら!?)
アーシャは取り敢えず、大切な神具を落とさないように、しっかりと抱きしめた。
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