12.長男、思案する
幼児が食べ易い肉といえば、薄くて、柔らかくて、味がついた物だろう。
そんな考えから、禅一は、本日の夕飯を、すき焼きに決定した。
いつもはケチって、外国産の切り落とし肉を購入するのだが、今日は贅沢をして和牛肩ロースの薄切りだ。
アーシャの生活費としての送金を、横領しているような気分になってしまうが、初めて肉本体を出すので、『美味しい!』を存分に堪能させてやりたかったのだ。
肉好きなアーシャが喜んで食べてくれる様子を想像して、禅一はウキウキと浮かれて用意をする。
禅一の『すき焼き』は祖母の影響で、少し甘めの割下を使用する関東風だ。
牛脂で牛肉とネギを炒め、割下を入れてから、白菜、人参、えのき、椎茸、焼き豆腐、白滝を入れ、暫し弱火で煮込む。
煮込んでいる間に、テーブルとその周辺を片付け、使い捨てシートをつけたフロアモップで、部屋を軽く掃除する。
途中で鍋が冷えると、譲がうるさいので、食器棚の下に仕舞い込んでいるカセットコンロを出してテーブルの中央に配置し、各々の取り皿を並べる。
皿に玉子を入れようと、手に取ってから、禅一は首を傾げる。
(アーシャは生卵、食べられるのか?)
譲と禅一は生卵必須だが、アーシャはわからないので、どちらでも対応できるように、皿を二枚用意して、片方だけに玉子を入れておく。
禅一が用意を進める間、アーシャは感心な事に、タブレットで静かに自習している。
鍋を運ぶときに、足元をチョロチョロされては危ないので、助かるのだが、少し寂しい。
「アーシャ、良い子、良い子!」
なので、禅一は近くを通りがかる度に、ちょっかいをかけて、勉強の邪魔してしまう。
頭を撫でると、緑の目がキラキラして、張り切って発音の練習をするのが、禅一には可愛くて仕方ない。
褒められている事は伝わるらしい。
白菜がぐったりしてきた辺りで、禅一はうどんを投入する。
割下の染み込んだうどんを、生卵に絡めるのが、禅一の好物だ。
ざっとうどんをほぐして、鍋を卓に移動させようと振り向くと、熱心にテーブルを見つめているアーシャの姿が目に入る。
そんなにお腹が減ったのか、真剣な顔で、ご飯が出てくるのを待っているようだ。
「アーシャ、ご飯だよ」
そう声をかけると、アーシャは輝くような笑顔になって、大きく頷く。
「ユズゥ、ユズゥ」
そのまま駆けてくるかと思いきや、しっかり譲まで起こしてくれるから、良い子である。
寝起きがそれほど宜しくない譲に、とっ捕まって、ちょっと揉めていたが、
「あぁ……メシか」
そんな言葉と一緒に、二人は食卓にやってくる。
自発的でない目覚めなのに、譲が素直に起きるとは珍しい。
流石の譲も子供には敵わないらしい。
コンロの五徳に、しっかりと鍋がのっていることを確認しつつ、大あくびをしている譲を盗み見て、禅一は密かに笑う。
「……春菊は?」
鍋を見た譲は渋い顔をする。
「すまん、買い物に行く時間が遅くて売り切れてた」
香草全般が好きな譲は、ググッと口の両端を下げる。
「……白滝、結んだら味が行き渡らない」
とことん細かい弟である。
「いや、ほら、アーシャが蒟蒻を喉に詰めたら大変だろ?だから混入しないように、まとめてるんだ」
「……詰まったのはゼリーとかの話だろ……糸状のモンなんて、つまりようがないじゃねぇか」
「わからないだろ?弾力もあるし」
アーシャのためと言えば、譲は渋々と言った様子で、大人しく席に座る。
そして自分好みの、大きめに切られたネギが、いつもより沢山入っていることに気がついて、口元を緩めている。
(機嫌が治ったようで良かった)
そう思いながら、禅一は高級肉も譲の目につくように、さりげなく菜箸で移動させる。
一方アーシャは、椅子の足台部分に立ち上がって、真顔で鍋の中を覗き込んでいる。
「アーシャ?」
禅一が声をかけると、ハッとした顔で、行儀よく座るが、表情が硬い。
「へいにぃ!?」
そして生卵が入った器を見て、何やら驚愕している。
やはり生卵にあまり馴染みがないようだ。
(とりあえずは普通に食べさせた方が良さそうだな)
禅一は手を合わせながら、そう判断する。
「い・た・だ・き・ま・す」
「いたぁきましゅ」
舌が上手に動いていない、可愛い『いただきます』を聞きながら、禅一はコンロを点火する。
「よっ……っと」
いつもはツマミを自分の方に向けているのだが、アーシャが勝手に触ったりしたら危ないので、横向きになるように配置した。
「!!!!!!」
安物のコンロながら、きちんと着火した事を確認して、弱火にしていたら、ガタンと音を立てて、アーシャが椅子の上に立ち上がった。
「アーシャ!?」
突然の行動に禅一は驚いてしまう。
「火にびっくりしたのか?大丈夫だぞ、触らなかったら熱くないからな」
そのまま椅子から飛び降りて脱出してしまいそうな勢いに、慌てて禅一はアーシャの体を支える。
確かに目の前に火があると、子供は怖いのかもしれない。
自分達には当たり前すぎる事だったので、幼児に対して無配慮だった。
「チビは鍋から離した方がいいな」
譲が卓上コンロをアーシャの席から遠ざける。
すると少し安心した様子で、アーシャも再び落ち着いて椅子に座ってくれる。
まだ少し顔が引き攣っているアーシャのために、禅一は沢山の食材を皿に盛る。
うどん、焼き豆腐、人参、ネギ、白菜、そしてアーシャが大好きな肉を山盛りにする。
野菜や肉など、アーシャ用の食材は、小さな口でも食べ易いサイズに切っている。
特に肉は食べ易いはずだ。
「ふぅんにぅ………!!」
思った通り、アーシャはキラキラと目を輝かせて、肉に突進していく。
ハフハフと小さな口で肉を頬張り、目を見開く。
そしていつもの、体の時間は停止で、口だけが高速で動く、独特の味わい方を始める。
「その高速咀嚼、何とか止めさせる手段はねぇのか?」
「良いじゃないか。すごく美味しそうに食べているんだから」
「……美味しそう……?いや、どう見てもホラーの絵面だろ」
譲は気持ち悪そうに見ているが、慣れてきた禅一には微笑ましい。
一頻り味わったら、全身を細かく震わせ、そして感極まったようにツイストを始める。
「〜〜〜うぃにぁぃあぅ!!」
ブンブンと体を振ったかと思うと、ゴールを決めたサッカー選手のように拳を突き上げる。
「うぃにぃあぅぅぅぅぅぅぅ!!」
こんなに大喜びしてくれるとは、用意した甲斐があるというものだ。
禅一も箸を進めながら、顔が緩む。
肉がグレードアップした以外は、いつも通りで、なんて事のない料理なのに、こんなに楽しそうに食べる人がいると、自分でも凄く美味しく感じるのが不思議だ。
「毎食こんな調子じゃ、保育園で浮くぞ」
美味しいとも言わなければ、表情もほとんど変えないが、自身の器をネギだらけにしている譲は、アーシャの様子にため息を吐く。
「愉快で良いじゃないか。慣れたら、こんなオーバーリアクションは無くなるんだから、今のうちに楽しんでおこう」
あまりまともな食べ物を与えられていなかったアーシャは、いつも美味しそうに食べるが、人間とは慣れる動物だ。
いずれ落ち着くだろうと、禅一は今を楽しんでいる。
「『慣れたら』とか悠長に言ってるけど、多分、今日出した申請、すぐに通るぞ」
たっぷりと玉子を含ませたネギを、箸で摘みながら譲は言う。
「すぐ?何でわかるんだ?」
食の好みは違うが、最初に好きな物を食べる所は変わらない。
味の染み込んだうどんを食べながら、禅一は首を捻る。
「役所に申請書出しに行ったら、明らかに内部で騒いでた。……誰が手を回したのかわからねぇが、何か通達が出されてるっぽい」
譲は顔を顰める。
見えぬ手が回され、押しつけのように優遇される現状に、気持ち悪さを感じて、禅一も顔を曇らせる。
優遇されていると、見え難いが、これは恐ろしい話だ。
今、プラスに力が働いているから良いが、これがマイナスに振れたらどうなるか。
確実に役所関係は敵に回ると見て良い。
見えざる手の影響範囲を、まざまざと感じさせられる。
「……早く、繋がり全体を把握してぇな」
村が持っているパイプの横取りを企んでいる譲はポツンと呟く。
禅一は夢中で肉を貪り、うにゃうにゃと嬉しそうに声を上げているアーシャを眺める。
今、村側が把握しているのは、アーシャが神を鎮める上で、役に立つ能力を持っている事だけだ。
植物を育てたり、怪我を治したりできる事は誰にも知られていない。
正確に言うと、怪我を治せる事は乾医師も知っているが、彼女は国からの指令も堂々と無視をする人だ。
アーシャの体の特異性も含め、秘匿してくれている。
(味方がもっと欲しいな)
確実に『味方』と言える人の少なさに、禅一は嘆息する。
村の関心は祀りのみなので、今のところ、アーシャを害される心配はない。
しかし村の中に、情報を外部に漏らした奴がいるので、信頼する事はできない。
万が一、アーシャの他の能力が周りに知れれば、どんな勢力が出てくるかすらわからない。
様々な国や研究機関はもちろん、難病を抱えた一般人まで奇跡を求めるかもしれない。
隠しきれれば問題はないが、アーシャは幼く、言葉も通じないので、隠し通せるかがわからない。
困っている者を見つけたら、あっさりと手を貸してしまう、この子の気の優しさが、その首を絞めかねない。
禅一と譲だけでは、彼女を見守るにも限界がある。
特別な力の持ち主ではなく、『アーシャ』を守ろうと思ってくれる人の協力が欲しい。
幸せそうに白菜を齧り始めたアーシャは、目を輝かせる。
「うぃにぃあう!ゼン、みみゅえいうぃにぃあぅねいのぉ!!」
そして嬉しそうに、一生懸命何かを報告してくれている。
あまりに無邪気な様子の報告に、禅一は笑みが溢れる。
(特別な力なんか持っていない、ただの子供だったら良かったのに)
特別な力がなければ、普通の人間ができる範囲の親切をして、手放しで褒められて、何の憂いもなく幸せに成長できたはずなのに。
無邪気な様子に禅一は切なくなってしまう。
「………明日は近所の動物園にでも連れて行ってやれば?」
大量のネギを消費した譲が、唐突にそんな事を言う。
「動物園か?」
あまりに唐突な言葉に禅一は驚いてしまう。
「いくら処理が早くても、まさか明日から通園OKですとか言い出さねぇだろ。フツーのガキはまだ冬休みを満喫してんだ。チビにも休みの思い出とか作ってやればいいんじゃねぇの?」
禅一はそう言われて、近所にある動物園を思い浮かべる。
「連れて行くなら、譲の方が良くないか?」
「何が悲しくて、俺がガキの子守りしなきゃいけねぇんだよ」
禅一が提案すると、譲は渋面になる。
「いや……近くの動物園は、キリンとかゾウとか、大型動物がいないだろう?」
禅一の言葉に、譲は小さく首を傾ける。
「仕方ねぇだろ。寂れた地方都市には、大型動物を養える程の資金的余裕がねぇんだから」
市立の動物園は規模がかなり小さく、猿や鳥などの小型の動物が中心で、こぢんまりとしている。
「いや………大型動物じゃないと……俺が行くと、隠れられるか、めちゃくちゃ警戒して鳴きまくられるから……」
禅一は大きく肩を落とす。
禅一を前に平気でいられるのは、大型動物だけなのだ。
ふれあい動物園に配置されるレベルの小型動物になると、禅一が入るだけで阿鼻叫喚のパニックで、とても触れ合ってキャッキャできる雰囲気にはならない。
楽しい空気が一変、屠殺場もかくやと言う、殺伐とした空気になってしまう。
「……………ええっと…………ほら、あそこって公園と小さな遊園地も併設されてるだろ?そっちがメインでも良いんじゃねぇの?」
動物たちのストレスも考え、禅一は動物園に行くのを我慢している。
歩いて行ける範囲にあるのだが、とても我慢して近づかないようにしている。
それを思い出したのか、譲は気まずそうに、何とか片頬を上げた、無理矢理の笑顔を作る。
「そうだな……遊園地も、良いかもな。………仮に、アーシャが行きたがったら、動物園に行くのも良いかも知れないな。仮に、行きたがったら、だが。その場合は、俺は少し離れた所で見ていたら良いよな」
本当は行きたくてたまらない兄に、譲は憐憫の眼差しを向ける。
禅一が登録している動画チャンネルは、ほぼ動物ものという程、彼らとの触れ合いを熱望しているのに、向こうからは忌み嫌われている。
「あうっっっ!!!!!」
兄弟がそんな会話をしていたら、横で座っていたアーシャが大きく飛び上がった。
「あひっ、うひゃ、ふ、ふ、はふ、はふ」
涙目になって、大きく開いた口から、白いものが見えている。
(しまった!豆腐はそのままのサイズだった!!)
柔らかいから平気だと思っていたが、大きいままだと、熱が冷めないという欠点を見落としていた。
飲み込むことも、吐き出すこともできずに、ハフハフ言っているアーシャの口元に、禅一は取り皿を持っていく。
「アーシャ!ぺっ!ぺっ!!」
しかし目を涙いっぱいにしながらも、アーシャは吐き出さない。
ならばと禅一は麦茶を掴む。
「アーシャ、水!水!」
最早流し込むようにしながら、お茶を飲ませると、痛みに身を捩りながら、アーシャは必死に飲み込む。
「うぅ……」
口の中から危機が去っても、痛みは残ったらしい。
アーシャは口を押さえて、グッと丸くなってしまう。
「アーシャ、火傷したのか?冷やすか?」
口を冷やすといえば、氷を食べさせれば良いのだろうか。
それは返って冷やし過ぎにならないか、喉に詰まらせたりしないか。
とりあえず水をもっと飲ませた方が良いのだろうか。
禅一がグルグルと対策を考えていたら、ギュッとアーシャが抱きついてくる。
(痛かったんだな、可哀想に)
代われるものなら代わってやりたい。
そう思いながら禅一は小さな背中を抱きしめる。
「……馬鹿親子、そんなんで火傷が治るか。これを飲ませろ、これを」
禅一が慰めるように背中を撫でていたら、譲が呆れ顔で、麦茶に氷を入れてやってくる。
火傷ならすぐに冷やしたほうが良い。
そう思って、麦茶片手に禅一はアーシャの様子を伺う。
少し待つと、禅一の腹にめり込んでいたアーシャは、元気良く、顔を上げた。
(良かった……火傷になる程じゃなかったんだな)
その顔が痛みを感じて歪んでいないことに、禅一はホッと息を吐く。
泣いていたら、どうしようかと思っていたが、その表情は明るい。
「チビは玉子につけて食った方が火傷しねぇんじゃねぇの?」
何事もないとわかったら、譲はさっさと自分の席に戻って食事を始める。
確かに、と、禅一は頷く。
「アーシャ、玉子につけて食べると熱くなくなるぞ。た・ま・ご」
禅一は割り入れられたままの玉子を指差す。
「ちゃ・ま・こ?」
しかしアーシャは不思議そうに玉子を見つめるだけだ。
「ほら」
こうやって使うのだと、自分の器を見せたら、アーシャは驚いたように目を見開く。
そして潰れていない玉子が入った自分の皿と、禅一のものを何回も見比べる。
「食べた経験自体なさそうだな」
「日本以外では生で玉子が食える国って、あんまりないって聞くしな」
鶏は総排泄こうという、一つの穴から、排便も卵も出すため、消毒がきちんとできる環境でないと、食中毒を起こす菌が残ってしまうので、生食は難しいのだ。
慣れないのに、無理させることはないか。
禅一と譲が、頷き合って、玉子の皿を片付けようとすると、アーシャは突然フォークを握りしめ、自身の玉子をシャカシャカと混ぜ始めた。
そして混ざった所で、キラキラとした目で、禅一を見上げる。
「チャレンジする気みたいだぜ」
譲が呆れたように呟く。
嫌いだった時のことを考えて、控えめに、うどんと肉を注いで、禅一はアーシャに皿を渡す。
受け取ったアーシャは、好奇心に目を輝かせながら、念入りに皿の中身をかき混ぜる。
「ふふっ」
そんなに念入りに絡めても意味はないと思うのに、せっせとやっている姿を、微笑ましく禅一は見守る。
(やっぱり最初は肉から行くんだな)
アーシャは大きく口を開けて肉を頬張る。
「!!!!!」
そして目を大きく見張ったかと思うと、再び、高速咀嚼が始まる。
ゴクンと禅一にまで聞こえそうな動作で、大袈裟にアーシャは肉を飲み込む。
「うぃにぃあぅううううう〜〜〜!!!」
ブルブルと震えたかと思ったら、彼女はフォークを掲げて雄叫びを上げる。
その様子に某有名ライオンアニメ映画の主人公誕生のシーンが重なり、
「ンナァァァツィゴンニャ〜〜〜」
禅一は思わずBGMをつけてしまう。
「んぶっ!!!」
祝詞で鍛えた喉による、ビブラートを効かせてのモノマネは、中々似ていたようで、譲は小さく噴き出す。
アーシャはそんな二人のちゃちゃが耳に入らないくらい、目を輝かせて玉子の入った皿を見つめている。
そこからは、また夢中の食事が始まる。
「普段は綺麗に食べるのに、夢中になると犬食いになるのがなぁ……」
譲はアーシャの食べ方に不満があるようだが、こればかりは仕方ない。
汁の多い食べ物は、溢さずに食べようと思ったら前屈みになる。
ならば皿を持って食べれば良いと思うだろうが、欧米人に食器を持って食べる習慣はない。
世界的に見たら器を持ち上げる習慣の方が珍しいのだ。
「それでも他の園児より上手に食べているんだろ?こんなに小さいんだから、細かいところは追々で良いだろ。まずは美味しい物を心ゆくまで食べさせて、慣れさせよう」
首をフリフリ、体をフリフリしながら食べているアーシャを見ながら、禅一は笑う。
マナー云々は、落ち着いて食べられるくらいに、美味しい物をたっぷり食べさせ、体もプクプクに太ってからだ。
「一生こんな食い方だったらどうすんだよ」
譲は矯正したくてウズウズしている。
「まぁ、大丈夫だろ。俺だって何とかなったんだ」
元野生児の一言は説得力があったらしく、譲は不承不承、口を閉じる。
禅一も大きく息を吐いて、食事を続ける。
(そうそう。色々焦っても仕方がない。これからちょっとづつアーシャの環境を整えていけば良い)
自身にも、そう言い聞かせる。
(村内部の裏切り者を探し出して、潰す。村と国との繋がりを調べて、いざという時に備える。アーシャの味方になる人間を増やす)
禅一は心の中で指を折り、これからすべき事を考える。
焦って達成できるような事ばかりじゃないし、まだ何をすれば良いかも、はっきりとしない。
「うぃにぃあぅ!」
ご機嫌で皿を空にしたアーシャに、禅一は微笑みながら、おかわりを提供する。
幸せそうな笑顔はプライスレスである。
(今日はデザートもあるから、お腹いっぱいになるな)
ホクホクとする禅一は、その後、食後のデザートが入らない、幼児の胃の容量の少なさに愕然とするのだった。
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